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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第154話 食堂に足りない物

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 屋敷に帰る前に、慰安金詐欺の被害者の奥さんに会いに行く。

 奥さんに旦那さんの最後に残した言葉を伝える為だったが、出来れば自分で読めるようになりたいと言うので針子の仕事を午後からにして勉強して貰う事にした。

 文字が解らないという事はかなり大変な事なんだな・・・俺もギフトが無ければ苦労していたのかもしれないな。


 その後屋敷に帰ると、未だに行列が出来ていた・・・しかも、お店の前の椅子とテーブルも増設されお酒を飲みながらつまみとして食べている強者も現れ初めていた。

 フードコートスタイルで自分で席に運び食器は自分で片付けるスタイルなのだが、食器を置く棚が一杯で食器洗いが間に合っていない。

 ミズキさんは水が出るコックの付いたでかい樽に、水を補充している・・・ミズキさんは、テーブルと椅子の増設もしているらしい。

 タダシさんは、全部の料理を監督している。

 ケイタ君とショウマ君、カルジャス隊は見まわりと喧嘩の仲裁。

 リョウタロウさんとユカさん、ユカさんの護衛のタクミ君はお出かけ中。

 コノミさんは食器洗いの手伝い、ヨシさんは俺達と頑張っている子供達の晩御飯の準備。

 アカネさん、セードルフとミランダは盛り付け等の料理補助。


 お店の裏手にあるプレハブには数人のダウンした子供達がいる・・・まさに地獄絵図。

 俺は、今から入っても邪魔になると思い改善策を考えることにした。

 まずは、行列・・・これはパーテーションの設置が必要だな、1人で並んでもらった方が良いだろう。

 次に注文について・・・1個づつ名前を書くのは大変だから数字で分かるようにしてたのは良かったが、数字が汚くて間違えちゃうのは不味い。判子でも用意するのが良いかもしれない。

 次はお金・・・まずはお釣りが足りない、計算が遅い、となると計算を間違える事もあるだろうな。

 やはり計算機か? いや、いっその事券売機にするのが良いかもしれない。

 券売機はすぐには出来ないだろうし保留だな。


 あと、食器類のストックも作っておかなくちゃな・・・あとボタンか? そう言えば、ファスナーって出来上がったのかな?

 料理のストックもどうにかしないといけないな・・・マジックバッグ無しでやってみたが、冷蔵庫に入る量が少ないから屋敷から持ってこなきゃいけなくなっちゃう。

 1畳ぐらいの冷蔵庫が3台で駄目って事はどうすればいいんだよ・・・いっその事でかい倉庫作った方がいいかも・・・

 営業時間もどうにかしないとな・・・このままだと今日みたいに倒れちゃう子が出てきちゃうかもしれないし。

 日本を基準にして食堂を作ってみたけど、ここだと色々問題が出てくるもんなんだなぁ。


「ヨシさん、料理中にすみません。ちょっと良いですか?」


「いいわよ。 と言っても食堂の事かしら?」


「そうです。 現状でオープンすると難しいですよね? 何か良い案とかありますか?」


「そうね。 1番良いのは料理1つにカウンターが1つの屋台のような方法が良いと思うわ。 でも、いきなり作りかえるのは難しいから、数軒の屋台を作って隣に広げるのはどうかしら?」


「屋台だけなら数軒作れますが、魔道具については全く解らないですね」


「魔道具を使わなくても出来る、串焼きや蒸かし芋とかの屋台を作れば良いんじゃないかしら?」


「それもそうですね。 木材で外側だけ作ってレンガを並べて・・・前にケイタ君タクミ君が作ったレンガ製魔力炉の素材が余ってたかも」


「とりあえず屋台は作りますが、他には気が付いた事は無いですか?」


「調味料が欲しいと言う商人さんは多かったわね。 ストックは一杯あるから作っても良いけど、長期保存するにはマジックボックスが必要なのよね」


「それは薬の容器にもなってる瓢箪では駄目ですか? 液体なら長期保存が出来たはずですが」


「それも考えたんだけど、薬の容器は売り切れなのよ」


「なるほど、ペニシリンの影響か・・・陛下が全部買ってるようですね。 限定販売しても良いかもしれませんが、難しいですね・・・とりあえず屋台を2軒ほど作ってきます」


「解ったわ。 あと、頼まれていた物は出来てるから渡すわね。 ただ、夕食前には帰っていらっしゃいね」


「はい、ありがとうございます。 早めに帰るように努力しますね」


 そう言うと、外に出て屋台について思案する・・・俺にデザインセンス等無いし、適当に作ると使い勝手が悪くなるかも知れない。

 こういうときはコノミさんに相談だ! 食器洗いを手伝ってるだけだったようだし大丈夫だろう。

 そう思ったのだが、一応農作業の手伝いをしている子供を2人借りてきた。


 子供達に皿洗いを任せ、コノミさんに事情を説明し早速屋台のデザインを考えて貰う。

 コノミさんがデザインした屋台は、前がテーブル後ろがグリルになっていた。

 前のテーブルの引き出しの中にはレジがあり、テーブルの上には現在のレジで使っている注文表代わりの木を薄く削った物と鉛筆を置くそうだ。

 基本は2人体制で回すらしい・・・現在の状態では人数が足りないし、商人を目指している子の勉強の場にもなるからという事だった。

 現在のレジだと2人ぐらいしか入れずてんてこ舞いになっているから、商品数と金額が少なくなるのは良い事だろう。


 このデザインならすぐ作れそうだな・・・多めに作っておくのが良いだろう。

 しかし、屋根は一応あるが大雪や大雨が降ったらやばそうなんだよね・・・まぁ、そこら辺はあとで考えよう。

 今は出来ることをやった方がいいだろうな。

 コノミさんに麻でロープを作りパーテーションを作る事を言い作ってもらう事にする。

 俺は、屋台を作る為に外に出る・・・材料はどうしよう。

 マジックバックの中に木材も十分あるが真っ直ぐの木が少ないんだよね。

 ミミリさんの所に行って木材を貰うかな・・・行くなら最初に冒険者ギルドだろうな。


 冒険者ギルドに行き、受付に顔を出す・・・セネラさんを見つけ近づいていく。

 この冒険者ギルドは俺達が落とす素材で結構儲かっているらしく、受付場が2人になっているし事務員っぽい人も増えている。

 人を雇うのは良い事だけど、雇ったばかりの頃に朝の訓練にギルドマスターと来て挨拶をしなくて言いと思うんだよね。

 別に凄い人って訳じゃないんだから・・・いや、1級冒険者って凄い人なのか?

 少し考え事をしていると、セネラさんが気が付き立ち上がって頭を下げてきた。


「セネラさん、こんにちは。ギルドマスターいる?」


「はい、居ますよ。 何か用事ですか?」

 セネラさんは、首を傾げて言う。


「用事って程でもないんだけど、食堂が出来たでしょ? そのご挨拶に来たんだよね」


「なるほど、あの行列はやっぱりソメイヨシノさんだったんですね」


「うん、そうなんだよね。 まだちゃんとしたオープンして無いんだけど、ここまで大騒ぎになっちゃったら挨拶しておかないとって思ってさ」


「そうなんですか~。 おみや・・・いえ、ギルドマスターを呼びますか?」


「いや、俺が執務室に行くよ。 あと、ちゃんとお土産あるから安心して、ヨシさんのお弁当が人数分ね」


 俺がそう言うと、セネラさんを含む受付2人が立ち上がって抱きしめあっている。

 階段を上がる頃には、受付場が事務をしていた人達にも言ったのだろう大歓声が聞こえた。

 本当はちゃんとしたオープンの時に渡すつもりだったが、ヨシさんの機転で先に作ってくれていて今回渡せる事に感謝。

 大歓声を後ろに聞きながら、ギルドマスターの執務室に行きノックをし部屋の中に入る。


「いい所に来たわねカナタ君。 ちょっと聞いて欲しい事があるんだけど」

 ギルドマスターは、笑顔でそう言う。


 何かいやな予感がするんですが・・・

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