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努力の実る世界  作者: 選択機
第1章 異世界サバイバル
18/406

第16話 洞窟の中へ

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


6/11 改稿あり 加筆あり

 その後は何事もなく洞窟の近くに来れた。

 そう、戻ってこれた! だが、もう夜も遅い。

 洞窟の外の焚き火などももう消えている・・・どうするか・・・


『すみませんが、フランソワーズ様、グロスさん、ここで待ってて貰えませんか? 1人で仲間の元に行ってみます』


『うむ、それはよいが、危険ではないのか? こう・・暗くては顔の確認も出来まい』


『そうですね・・・たぶんですが大丈夫だと思います。服装も出たときのままですし』

 言語理解のギフトをOFFにすれば、100%日本語で話せるだろうから、俺だと気づいてくれるはず・・・たぶん・・・気づいてくれたら良いな・・・


『解った、ここで待っていよう』


『ありがとうございます、いってきます』


 そう言って、森の中から出て、洞窟に手を振ってみた・・・反応がない。

 ゆっくりと近づきながら手を振る・・・反応が無い・・・一応ギフトをOFFにしておくか。

「皆~帰ってきたよ~」

 近づきながら、手を振って出来るだけ小声で呼び掛ける。


 男が2人出てくる。たぶん敬太けいた渉真しょうまのように見える。

 持っていたハルバードを下におき、

「ただいま~、帰って来たよ~」

 と言うと、ゆっくりこちらに近づいてくる。

 2人が顔を見合わせてるっぽい動きをしている・・・よし、ダメ押しに、

榊原さかきばら 叶奏かなた戻ってきました」

 と言った瞬間、2人は武器を放り、駆け寄ってきた。


「「カナタさん!」」


「ただいま~、無事に帰ってきたよ~。みんなにも変わりはなかった?」


「詳しい話は後で、皆を起こしてきます」


「何処に行ってたんだ? 心配したんだぜ! ホントによぉ・・・この洞窟の周りだけじゃなくて、散々探しまわったんだぜ? まぁ・・・なんだ、無事で良かった」


「そっか、本当に心配してくれてありがとう。説明は皆と一緒でいいかな?」


「了解、そろそろ皆起きるんじゃないか?」

 そう言った時、敬太けいたが洞窟の前で手を振っていた。


 渉真しょうまの方を向くと視線が重なったが、何も言わずに洞窟の方へ向かう。

「ただいま戻りました。ご心配おかけしました」


「カナタさん(くん)、無事で良かった」「おかえり、怪我はない?」「良かった~良かった~」

 などと皆一様に喜んでくれている。

 こんな風に迎えられるなんて、ものすっごく嬉しい・・・泣けてくるな。


「なんか痩せたね、なにがあったんだい? やせた秘密は何なんだい?」


「えっと・・・最初から説明します。その時でもいいですか?」


「ああ、解ったよ、絶対に痩せた秘密は説明しておくれよ! 良いね?」


「はいはい、了解ですよ、まずは、熊に襲われた後のことを説明しちゃいますね・・・えっとですね、何処を逃げ回ったのか解らなかったんですけど、必死になって逃げてる途中に、急な下り坂があって転んでしまったんです。熊と一緒に」


「え? 大丈夫だったんですか? 怪我なかったの? 怪我をしているのなら、すぐに言って下さい」

 有華ゆかさんが、急に近づいてきて手足を見てくる。


「いや、本当に坂道ですって急な坂道。崖だったら死んじゃってるでしょ・・・

それで、熊が木の根に引っかかって動けなくなって、逃げ切れるって思ったときに魔法を使ってきたんです。熊が」


「魔法! あるんですか? どんなのなんです? 呪文は? どんな風に使ってたんですか?」

 瑞稀みずきさんが、いきなりつかみかかって来る。


「魔法あったよ、熊が使ってきたのはね、空気の玉みたいなやつ。はじける感じだったから結構当たったらヤバそうだったよ・・・空気の玉とか衝撃波の玉とかそんな感じじゃないかな?・・・それで、その時に獣人の女の人に助けられたんだ」


「獣人! いたんですか? 本当に?」

 好未このみさんが、キラキラした目で見てくる。


「獣人の女の人!」

 たくみ君が、驚いたように叫ぶ。


「うん、街に行ったら結構な数の獣人の人が居たよ」


「街はどんな感じだったんですか?」

 良太郎りょうたろうが、気になったのか聞いてくる。


「ちゃんと見て回ってないけど、西洋風?・・・ごめんなさい、話を戻しますよ、でね、獣人の女の人と、会話が出来なかったんだよ・・・」


「それは、意思疎通が出来なかったと言うことですか?」

 今度は敬太けいた君が聞いてくる。


「いや、そうじゃないですね、ジェスチャーでも会話は出来たし、今は会話できるよ」


「いきなり会話できるようになったということですか? どうやって覚えたんですか?」


「待って待って、話をもどすね、何処まで話したっけ・・・

そうだ! その獣人の女の人はフランソワーズ様といって、街まで連れて行ってくれたんだ。

そこで、マジンというのを注射されて気絶して、起きたら会話できるようになってて、冒険者登録をしてここに皆を助けに来たんだ」


「待ってくださいカナタさん、マジンって何ですか? 魔物の魔に人? 神? って書くやつじゃないんですか?」


「異世界の文字だから、どう読めるのか解らないけど・・・どうなんだろう? とりあえず聞いてみたら、この国の人もマジンはなんだか解らないらしいよ・・・一応、神からギフトを貰うためのものって感じなのかな?」


「ギフトですか? プレゼント? 何か貰えたんですか? 何も持っていないように見えますが・・・」


「ギフトはスキルだよ、能力ね」


「能力(ですか)!?」

 みんな一様に驚いた顔をする。


「そうそう。俺は、言語理解ってギフトがあって、それで話が出来るって感じかな?」


「その、マジンだったか? それは、副作用のようなものはないのか?」

 ただしさんが、まじまじと見ながら質問してくる。


「ありましたよ・・・注射したら、今までに味わったことのない激痛が来ました」


「だから痩せたのか?」


「どうなんでしょう?・・・解りませんが、痩せたのはその薬のおかげだと思いますよ。あと健康には支障がないと思いますので、大丈夫だと思いますよ、今は体が軽いですし」


「そうか、健康ならいい」


「痩せ薬かい! 欲しいね」「苦労しないでやせれるなら~何でもOK~」「あらあら、誰でももらえるのよね?」

 女性達は、【ダイエット】の言葉に反応しているようだ。


「たぶん、誰でも注射してもらえるんだと思います。でも、注射されたときものすごく痛いですから覚悟してくださいね。そして、皆に聞きたいことがあったんです・・・助けてくれたフランソワーズ様もここに来てるんですけど、呼んでもいいですか?」


 意見は2つに割れた。こうなることは大体予想できたが、実際この場に立つと、どうすればいいのか迷ってしまうな。


「フランソワーズ様は魔剣を持っていて、殺すつもりだったら最初から助けないと思います・・・しかも、みんなを助けに行け! 私も手伝うって言ってくれたんです・・・余り話してませんが、性格的にかなり真っ直ぐな人だと思います」


「あの・・・魔剣って・・・魔剣って言いませんでしたか? そんな物があるんですか?」

 たくみ君が、手を上げながら恐る恐る聞いてくる。


「うん、あるよ、ダンジョンで見つけたって言ってたから、ダンジョンもある・・・話戻すね、みんなを助けるために、ここまでフランソワーズ様達と一緒に来たけど、出身国のこと・技術のことなど、こちらの不利益になるようなことも聞かれなかった。最初に敵か? みたいに聞かれたけどね、違いますって言ったら信じてくれたし」


 みんないろいろ思うところがあったのだろうが、渋々了承してくれた。

 現状このままでは手詰まりになってしまうから、仕方のない事なのだが・・・


「では、みなさん、呼んでくるけど、たぶん言葉が通じないと思うから」

それだけ言うと外に出た。


『フランソワーズ様、どこですか?』

 戻ってみたけど、隠れているようなので呼んでみる。


『カナタか? 話は終わったのか?』

 茂みから、2人が出てくる。


『はい、洞窟の中へどうぞ』

 俺達3人は、出来るだけ静かに洞窟へ向かっていった。


 2人を連れて、洞窟内に入った。

『な・・・なんだ・・・あれは・・・』

 いきなり説明前にバスを見つけてしまい、2人とも非常に驚いている。

 あ・・・説明するの忘れた・・・


『あれは魔道馬車でバスという名の乗り物です』


『魔道馬車とは何だ? 聞いたことすらないのだが』


『馬が引かなくても、自由に動かすことが出来る馬車のことです。運転には経験が必要ですが』


『馬がなくても動くのか? あんな重そうな鉄の箱馬車が?』


『その通りです・・・ですが、作り方・直し方などはわかりませんし、燃料という特殊なものが無ければそもそも動かせません』


『そうなのか・・・作る事も直すこともできず、燃料と言う物で動くのか・・・魔力で直接動く訳ではないのだな・・・残念だ』


『申し訳ありません』

 周りでは皆が2人が何言ってるかわからない・・・などと言っている。


「カナタさん、そろそろ・・・」

 良太郎りょうたろうさんが、痺れを切らしたのか話しかけてくる。

『すみません、おまたせしました。フランソワーズ様とグロスさんです』


「すみません何を言ったか解りません」

 ありゃ? 喋る言葉が1つに統一されるって感じのギフトなのかな? 両方の言葉がわかるし・・・いや、テレパシーのように意思疎通が出来るとか?


「あ! ごめんなさい、フランソワーズ様とグロスさんです」

 フランソワーズ様グロスさんにも仲間の紹介をしておいた。言葉が通じないというのは結構めんどくさいね。


「町に向かうのは明日、その前にドングリを拾う予定ですのでもう寝ましょうか」

 あ・・・フランソワーズ様の寝るとこってどうしよう・・・バスの中? だいじょうぶか?


『フランソワーズ様何処で寝ますか? バスの中に入りますか?』


『何!? 入れるのか!! 是非そうしてくれ』


『お嬢様、危険です! おやめください』

 やっぱり駄目っぽいか・・・明日バスの中に入ってもらえばいいか。


『では、明日入って貰いたいと思いますので、今日のところはテントでお願いいたします』


『そうか・・・しかたない・・・明日だな、解った』

 渋々だけど何とかなったか。皆には明日バスの中の掃除を頼めばいいか~・・・じゃあ、寝よ。

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