第151話 計画進行
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まったりとお茶を飲みながら、皆の近況とかを聞いていると盗賊から助けた女性と切り刻む風の女性が現れた。
服は、農奴に渡した物と同じツナギを着ている・・・素材はラムダーマトンの毛、羊毛だ。
上位種の羊毛はまだ残っているが、普通のラムダーマトンは半分以上無くなってしまっている。
これから冬だと言うのに、かなりやばい・・・
ユカさんと2人で討伐したときに手に入れた羊毛が補充されたが、この速度で人が増えれば足りなくなるだろう。
それを考えてアヤコさんに相談したところ、麻布を作るのが良いのではないか、材料となる大麻草を探すのが1番楽だろう、と言わた。
どんな物かも分からないので、アヤコさんに雑木林へを見てもらえるように言ったときカラムシが見つかった。
カラムシの栽培をヨシさんに頼んでみると、3日後には大量のカラムシが育ち産業にするべきだと言う意見が多かったので産業にするつもりなのだ。
しかし、カラムシや草花の俺に知識は無いし任せるしか無いだろう。
この世界に来てから、人のことばかり気にしている気がする・・・俺ってこんな性格だったっけ?
まぁいい、自分が出来ることを1つずつこなしていくしかないんだから。
「カナタさん! どうしたんですか? 気分が優れないようでしたら休んだ方が良いと思うんですが」
隣に座っているリョウタロウさんが俺の肩をたたき言う。
皆が来て、自己紹介をしている時に自分の考えに没頭してしまったらしい・・・自己紹介の進行はケイタ君が行ってくれてたようだ。
「ごめんなさい、考え事をしていました。 麻布を産業にする為にはどうすれば良いかとか」
「そうだったんですか。 根を詰めすぎない方が良いですよ? 無理はしないでくださいね」
「そうですね、その通りです。 無理しないで皆に頼りますからその時はお願いします」
自己紹介が終わり、全員がテーブルと椅子についた時に切り刻む風のイラクサさんが手を上げる。
「はい、質問です! この料理振舞ってくれるのって報酬ですか? それとも無料?」
イラクサさんは、元気良く質問する・・・パーティーメンバー2人はアワアワしているが・・・
「今の所無料だね。 もし、料理屋が繁盛しなかった場合宣伝してもらうってのが無料の条件だよ。 それなら別に良いでしょう?」
「は~い! 解りました! じゃあ、いっぱい食べます!」
そんな会話をしている時に、フランソワーズ様がダイニングに来た。
「今日は大人数なのだな! して、夕食は何だ?」
フランソワーズ様が頷きながら言い、料理を作っているタダシさんに聞く。
いきなりの登場で、切り刻む風と盗賊から助けた4人は固まってしまっている・・・
数秒たち状況を理解したのか全員椅子から立ちフランソワーズ様に頭を下げた。
その頃フランソワーズ様は、タダシさんヨシさんに料理の説明を受けていた。
「あ、皆椅子に座って。 言うの忘れてたんだけど、フランソワーズ様がここにいる時は冒険者ってことになってるから頭を下げる必要はないよ。 不敬罪で裁くようなことは絶対にないと断言するから」
「む? そうか、すまない。 頭を上げてくれ、カナタの言うように私の事は冒険者と思ってくれ。 いや、料理のファンだと思ってくれればよい」
フランソワーズ様は笑顔で言う。
「ほれ! 出来たぞ! 料理は熱いうちに食べた方が美味い。 さっさと椅子に座れ、フランが何かをいう訳無いが、もし言ったら儂が料理をフランに作らぬようにするからな」
タダシさんが、スープを持ってフランソワーズ様の前に置く。
「そんな事をされたら、私はどうすればいいのか解らん! 料理が食べられなくなるくらいなら、単身でウェーブに挑んだ方がマシだ」
フランソワーズ様は、笑いながら言う。
皆も椅子に座り始め、メイドや執事達が皆の前にスープを置いて行く。
スープはオニオングラタンスープだった・・・本当に異常なくらい美味しい・・・
しかし、タダシさんは「コンソメはひき肉等が無駄になるから、また今度な」と言ってた気がするんだけど・・・
後で聞いたら子供たちにコンソメスープを教えるために作ったようだ。
灰汁を取ったひき肉は、肉味噌にして子供たちが持って帰ったとのこと・・・
「今日は、オニオングラタンスープとブラックビーフのタンシチューだ。 タンを食べたことがないと聞いたんで作って見たぞ。 隣のクリームをかけるともっと美味しくなるからやってみてくれ」
タダシさんが皆に簡単な料理の説明をする。
タンシチューのタンは、スプーンを乗せただけで崩れるほど柔らかくシチューも濃厚なのに重くない、物凄い美味しい物だった。
今日来た皆は恐る恐るスプーンでスープを飲む・・・すると、飲んだ姿勢のまま固まってしまった。
漫画とかだと結構ある描写なのだが、現実世界で見るとちょっと笑えてくる。
その後、今日来た皆はお腹いっぱいになるまで「お替り」しか喋らずに終わった。
食事を終え、皆と雑談・・・というか盗賊から助けた4人に質問をする。
今まで何をしていて、今から何をしたいか。 4人全員同じ家に住むのか、分かれるのか。 色んなことを質問する。
今までやってきた事をしたいが、別に変わっても特に何も思わない。
今から料理の勉強がしたい・・・というか、こんな美味しい料理を作りたい、作ってみたい。
住む場所は得に拘りはない、服も今着ている物のようにいい物じゃなくても良いなどと返って来た。
料理をやった事がある人はいない様で、料理は却下になりそうだが、今までやってきた事に近いことならさせてあげられそうだ。
行商の武器商人の娘が1人、布や糸・服の行商人の娘が1人、雑貨やいろんな物の行商人の娘が2人だった。
武器商人の娘以外の3人は、簡単な針仕事ならやったことがあるようなのでアヤコさんに預ける。
武器商人の娘は1番若く武器の知識もないし計算等も得意じゃないようなので、結局全員針子見習い兼アパレル店員予定となることが決まった。
その後、リョウタロウさんに王都のリノベーション計画について聞き、どこに何のお店を配置するかの計画を立てる。
リョウタロウさんが、石材のことを習いに言ってる事を初めて聞き、良い情報を言われる。
「コンクリートの素材となる塵を土魔法で固めることが出来る事が判明し、強度は普通に作ったコンクリートとほぼ一緒だと言う事が解りました。 しかし、材料の塵はそこまで多いわけじゃないので今まで通り家の基礎を作るのに使った方が言いと思います」
「なるほど・・・それで、地震とかそう言うのはないんですか? 家を作るならそこも考慮しないと」
「地震はないようですよ・・・と言っても断層の有無等があるかなんて解りませんので確証はないですが、建国してから1度も地揺れ等に見舞われたというのが報告されてないようですので」
「解りました。それなら地震を考慮して枠組みを魔鉄で補強する程度で出来そうですね」
「はい、大丈夫だと思います。 ですが、屋根はどうするんですか? 日本の様な瓦はありませんよ? レンガの瓦にするんですか?」
「それしかないと思います。 窓についても鎧戸を使用するしか無いですね・・・貴重品の管理等をどうするかは検討中です」
「貴重品ですか・・・貸し金庫のような物があれば良いんですが、現実的には無理ですね」
「エルフの国に、マジックハウスの材料となるトレントがいっぱいいると聞きましたので、それまでは保留でしょう」
「なるほど、マジックハウスならば場所もそんなに要らないですしいけますね」
「ところで、平民区画の住居の移動は上手くいきそうですか?」
「土地自体は国の物となってますし、家はそのままで移動するだけですから今の所は問題ないですよ」
「そうですか、色々やってますから無理しないようにお願いしますね」
「お互いにですよ、カナタさん。 出来ることから1歩ずつ頑張りましょう」
木工所での店舗・住居・学校の作成や武器の削り出し及び魔剣化など、様々な事をしてあっという間に10日間が過ぎてしまった。
【Lv45.Lv44/冒険者ランク1】となる。
その日の夕方、ユリより借金取りが来たとの報を受けユリの家に急いでいく・・・