第15話 廃墟の街から洞窟へ
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「すみません、身体強化を使っている時の感覚も教えて貰えませんか?」
「うむ、使った瞬間にキューンとして、発動するとバンという感じだ。その後はゴゴゴゴゴみたいになるぞ」
うわぁ・・・全くわからねぇ・・・感覚派なのか。
「ありがとうございます。キューン・バン・ゴゴゴゴゴですね、大変参考になりました」
「うむ、身体能力強化はいろいろと便利なギフトゆえ、覚えられるように精進せよ」
「はい、習得できるように頑張ります」
後はグロスさんに聞きたいけど・・・嫌われてるんだよなぁ・・・
仕方がない・・・1人で考えてみるか。
まず、最初はキューンだったな、やはり身体の内側に魔力をためるとかそういうことか?
次はバン、響きからすると一気に開放するとかそういうことかな?
最後のゴゴゴゴゴは、それを維持と言う感じか?
とりあえず、やってみよう・・・一通り頑張ってみたが、結果全く出来ませんでした・・・
う~ん、周りの湿気モドキも、うんともすんとも言わないなぁ・・・
何かが足りないのか、間違っているのかも分からない。
魔力を動かして魔法を使うんだから意思で動くんじゃないのかなぁ?
う~ん・・・解らないし、体を拭いてから寝るか。
井戸に行って服を脱ぐと・・・
え? マジ? 痩せてる? 何で? どういうこと? マジンダイエット?
ダイエット成功した記憶なんてないよ・・・もしかして見た目も?
鏡がないよねぇ・・・そうだよねぇ・・・寝るか・・・
次の日、何故か朝早くに目が覚めてしまったので薪集めしておき、トイレも済ましておく。それでも時間が余っていたため、昨日の魔力を動かす訓練をやってみる。
色々やってみるが・・・やってもやっても、全く動かすことが出来ない・・・
あ! そうだ! 学習をON・OFFしてみたら分かるかも。ギフトも魔力を使うって言ってたし、一度魔力の流れる感覚が分かればいけるんじゃないかな?
ギフトの学習をOFFにして、集中してONにする。
頭から心臓にかけて線? 糸? のようなものが出来た? もう1回やってみよう・・・
その後、数回行いなんとなくだが分かった・・・ものすごく一瞬だけど、心臓の方から頭にかけて筋みたいなのが出来たのが分かった。
ほんの一瞬の出来事なので、完全には分からなかったけど一歩前進かな。
魔力ってどうやったら回復するんだ? そもそも魔力って精神力の一種なのか?
魔力の使いすぎで死ぬってのも良く聞くけど、どうなんだ?
解らない・・・聞いて見なきゃ駄目ってことか・・・
グロスさんが起きてくるまで時間がありそうだし、今の感覚をもう一度再現してみよう。
そう思った瞬間、グロスさんが外に出てくる。
「おはようございます」
「ふんっ」
それだけ言うと、こちらを気にしないで朝ごはんの支度をしている・・・う~ん、やっぱり嫌われてるのかなぁ?
「あの、手伝いますか?」
「いらん」
「そうですか・・・わかりました」
おもいっきり嫌われてるなぁ・・・なんかしたっけ?
触らぬ神にたたりなし、魔力の動かし方の練習をする。
魔力を意思で動かそうとしてみるが、一向にうまくならない・・・というか、流れているのかさえ分からない・・・魔力の流れが分かるギフトがあればいいんだけど・・・
仕方ない、一朝一夕で出来るものでもないだろうし、ゆっくりやっていきますか。
フランソワーズも起きて、3人で食事を取っていると、
「カナタよ、仲間のいる場所は何処なのだ? 大体の場所でいいので言ってみてくれ」
「はい、洞窟があって白い竹と湧き水が近くにあって、湧き水のちょっと下には池がありました」
「それはまことか!?」
「は・・・はい、何かありましたか?」
そこの場所がやばかったのか? そうだったらどうしよう・・・
「安心しろ! 特に何かがあるわけではない。昔私も野営で使った事がある場所だと思ったのでな、そうだな・・・急げば夜に着けるかもしれん。モンスターに出会わず直線でいければだが・・・」
「そんなに近いんですか?」
「いや、そこまで近くは無いが獣道のような道がある。しかもラッキーベアが居たということは、強いモンスターは近くに居ない可能性が高い」
「ラッキーベアってそんなに強いんですか?」
「うむ、色々な国で目撃されているが、出会うのがまず難しい・・・最後に領内で確認されたのが3年も前だからな、しかも最後に仕留めたのは50年前だ・・・本物かどうか確認しても返り討ちにあう、毛皮は火に強く燃えにくい。しかも、刃物の意味がない・・・切れないのだ」
「50年前って・・・切れないってどういうことですか? フランソワーズ様は切っていらっしゃったじゃありませんか」
「並みの剣なら弾かれる。私の持つ剣はダンジョンで見つけた魔剣だ。しかも罠にかけられた身動きもろくに出来ないモンスター位どうとでもなる」
魔剣きたー! 魔剣もあるのか~、欲しいな~。
罠にはめたわけじゃないんだけど・・・まぁいっか~。
「知らずに戦っておったのか! なんと言う強運だ・・・いや、悪運と言うべきかな? 死ななくて良かったな」
「はい、本当に・・・あと、魔力って何ですか? 回復するためには何をしたらいいんですか?」
「魔力とは、力だ・・・使い切れば死ぬ諸刃の力ってところだ。回復はご飯を食べたり寝たり休んだりすると回復する」
「はい、勉強になります」
やっぱり使いすぎると死ぬのか・・・でも、最初から魔力を持っていなかった俺は死ぬのか? どうなんだろう? 試してみたい・・・だが、今は止めておこう・・・死にたくないし。
食事が終わり、かなり急いで進む。
街道ではなく草原を突っ切る感じで進んでいく。
すると小川が見えてきた。
あの小川が、みんなの所につながってるのか? 皆無事だといいけど・・・
「あの小川の本流の一つが仲間の場所だろう。川の側には薬草や雑草しか生えておらんし、走りやすいはずだ」
な・・・薬草あるの? どれ?・・・走りながらだと解らん・・・くっ・・・帰りに来れたら来てみたいな。
軽く駆け足で進んでいくと、いきなり速度が遅くなり、手で静止させられる・・・テンプレ? 魔物がいるみたいな?
「モンスターだ。数は3、オークだ」
小声で先を見据えながら話しかけてくる・・・・ほらね、テンプレ・・・ってオーク? 見てみたい!
オークは、ゴブリン系? ブタ系? どっちなんだ! 出来れば、グロくない方でお願いします!
「カナタよ、1匹だけなら足止めは出来るか?」
「はい、やってみます・・・自信はありませんが」
「何を弱気な・・・ラッキーベアと戦って・・・・来るぞ!」
奥の茂みから二足歩行のブタが急に出てくる・・・ブヒィィィ
うおぉぉぉ思った以上にこえぇぇぇ
「カナタ左、グロス右、真ん中は私だ、いくぞ!」
そう言うと、フランソワーズは剣を抜き真っ直ぐ真ん中へ走っていく。
3匹のオークは、フランソワーズを囲むように移動し始める。
ファンタジーの定番通り女性を狙っているようだ。
俺のことなど眼中に無いと言わんばかりの行動。チャンス! と思い頭目掛けてハルバードを振り下ろす。
だが、オークに気が付かれ、オークは武器を片手で上に構え防御の構えを取った。
いきなりの実践で大振りすぎたか・・・そう一瞬よぎったが、身体が止まらずにそのまま打ち付ける。
ハルバードの斧の部分が剣にぶつかり、駄目だ・・・と思った。
しかし、オークの手首が曲がり、頭には当たらなかったが左肩に当たり、そのままお腹まで切り裂かれ前のめりに倒れる。
切り裂いた感触はあったが、怖かったので後ろに飛びのく。
オークは全く動かない・・・あれ? マジで? 勝ったのか? あ! 他は?
フランソワーズの方を見ると、頭を切り飛ばされたオークの死体が2つ。
くるっと、フランソワーズがこちらを向き、
「うむ、やはり相手にならなかったようだな」
やはりって・・・ちゃんとした戦闘は初めてですけど・・・
「はい、何とか」
「そうか、無傷で何より・・・グロス、回収してくれ」
すばやく回収すると、また速度を上げて走り始める。
走るのか・・・走るの苦手なんだよなぁ・・・
走っていると息苦しさを全く感じない。早歩きしているときのような感覚で、坂をかけていく。
やっぱり、体力上がったのかな? Lv上がったとか? 気になるな~・・・ステータス魔法ってないのかな? 欲しいんですけど!
おっと、時間がないんだったなぁ。迷子にならない様に急いでついて行きますか。
走っていると・・・あ、グロスさんが限界っぽい。
「フランソワーズ様、グロスさんが」
「何だ? どうしたのだ?」
「グロスさんが、限界っぽいので速度を落としませんか?」
休憩している時間はないだろうと思い提案してみる。
「解った、速度を落とそう」
「お嬢様! 私は大丈夫でございます」
「うむ、解っておる。だが今のままモンスターに襲われれば危険だ」
「かしこまりました」
渋々だが了承してくれたみたい。
もうちょっとでみんなの所へ帰れるっぽいけど、無茶したら意味ないしね。