第139話 久々のまったり
ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。
さて、次の設計図は・・・薙刀を5本なのか。
良く設計図を見ると注意書きがあった。
対魔物用に少し長めになっています。 非力な為、少し重めにして欲しい・・・とのことだった。
非力の為? 朝練で土壁を素手で壊しているのに? まぁいいや。
全長は・・・2.5mなのか、背の高さによって長さを変えるとかはないのかな? えっと、刀の部分は75cmで、結構そりが強いのね。
早速作りますかね・・・って、あれ? 骨が光ってる? この線に沿って切っていけばいいってことかな?
あら、前より切りやすい気がする・・・骨細工の心得になったってことなのかな?
出来栄え的には余り変わらないな・・・まぁいいや、さっさと作ろう。
よし、後は刃を削るだけだな、全部同じ形・重さにしちゃったから飾りをつけたりして個々バランスを取ればいいだろう。
5本完成。 やっぱりガイドが見えるってのは凄いな、ちょっと削るたびに確認しなくても、ここを刃のようにすると思いながら削れば光の色が変化するからほぼ一気に削ることが出来る。
さて次は・・・おっと、先に全員分のナイフを作りたかったんだっけ、えっと設計図はっと。
ナイフの設計図を見ると、マチェットナイフのナックルガード付きが書かれていた。
他の設計図を見ると、細工用ナイフとか解体用ナイフなども書かれており色々作らなきゃいけない物がある。
こりゃあ、大変だな・・・前回みたいにミズキさんが手伝いに来てくれる事もないだろうし。
先にナイフ系を作った方がいいかな? 色々やるときに必要だし、小さいナイフは牙で作れるし設計図通りではないけど、少し長いマチェットナイフなら指の骨と一体化している足の爪で作れるだろう。
というか設計図どおりの大きさだとナイフって呼べるのかな? 刃渡り50cm、全長72cmなんだけど・・・
ロングソードも、売り物より30cmくらい長くて1.5m位だっていってたし長めに作るブームか?
確かに魔物はでかいからある程度の大きさは必要だと思うけど・・・狭い場所で戦うときとか取り回しが利きやすい武器が必要なんじゃない?
ワイバーンの骨の魔剣だと風の刃が出ちゃって全て切り裂いて終わりっぽいし、取り回しも何も無いかも知れないんだけどさ。
まぁいっか、作る時間があると気に作っちゃおう!
そう思ったとき、ベトニアにご飯と呼ばれる・・・最近ベトニアに呼ばれるけど何でだろう? 前はセードルフが呼びに来てたけど・・・まぁ考えても解らない物は解らないか。
ダイニングには既に皆座っていた。
「お待たせしました~」と言いながら入り、席に座るとすぐに料理が運ばれて来る。
「今日の料理は、魚のフライとソテーだ。魚のフライにはタルタルソース、普通のソース、トマトを使ったフレッシュソースを用意した。 魚のソテーには、エシャロットに似たのがあったからヴァンブランソースを作ってみたんだが、久々に作ったもんだから食べて感想が欲しいんだ。 良いか?」
タダシさんは、ヴァンブランソースをかけた魚のソテーを指差して言う。
皆了承の返事をして、一口食べる・・・美味しい! 濃厚なコクのあるソースで魚にもあってる気がする。
まぁ、高い料理とかほとんど食べたことないから味については詳しくないんだけど・・・フランス料理のコースを食べたとき料理名がチンプンカンプンだった事は覚えてる・・・
じゃなくって、魚もふわっとしてて脂も乗ってて美味しい。
「詳しくは言えませんけど、物凄く美味しいです。エシャロットって風味が強いんですね」
「ああ、エシャロットは玉ねぎで代用できなくは無いんだが、風味が全然違うんだ・・・が、やはり香辛料が足らないなぁ」
タダシさんは一口食べるとそう言う。
「そうなのか? 物凄く美味しいと思うぞ?」
フランソワーズ様がパクパク食べながら言う。
そんなにハイピッチで食べて骨が刺さったりしないのか? 逆に見てるこっちが骨刺さりそうな気がして気が散って仕方がないんですけども・・・
「折角作ったんだ、明日の料理として出すとするか」
「うむ、それがいいと思うぞ。 やはりタルタルソースと言うのはうまいな、これだけでおかずになりそうだ」
「なら、パンを2つに切ってサラダとフィッシュフライとタルタルソースを挟んで見ろ」
「なるほど、ハンバーガーのようにするのだな・・・ふむ、美味いな。 両方ともおかわりを貰えるか?」
だから食べるの早くない? 同じ時間に食べ始めましたよね? 熱くないんですか? とか思ったが何も言わずに食事を終える。
ホッと一息ついているとき、アカネさんから声をかけられる。
「ねぇねぇ~カナちゃ~ん、ワイバーンの目が欲しいんだけど~使っちゃ駄目?」
アカネさんは、拝むようなポーズで言う。
「ん? 別に良いよ。 魔石も使う?」
「やった! 魔石も欲しい~」
「通信機とかに使うの?」
「そ~、コノミ~ン説明して~」
「え? え? あ、はい、簡単に説明しますね。 石英ガラスの中に魔法陣を封じ込めることが出来たんです」
「短すぎて概要が分からないんですけど? どういうことなの?」
「石英ガラスを作るときに金を入れ、ガラスが固まる前に金を動かしで魔法陣を作るんです。 待ってて下さい、今試作品を持ってきます」
コノミさんが試作品をとりに行った時、アカネさんは紙に何かを書きながら「う~んう~ん」と唸っていた。
何か行き詰ってるのかな? でも、魔道具のことを学んでないし変な事言うと邪魔になるかもな。
「アカネちゃん、白竹の実のキャラメリゼよ。 頭を使うと糖分が欲しくなるでしょう? 頑張るのもいいけど、明日は早いから無理し過ぎないようにね」
ヨシさんがアカネさんの前に白竹の実のキャラメリゼと温かい紅茶を置く。
俺のところにはベトニアが持って来てくれた。
お礼をいい一口食べてみるとカリカリしてて美味しい、明日の立食パーティのマフィンの飾りで多く作って余った物らしい。
久々にのんびりしていると、コノミさんが戻ってきた。
「お待たせしました、カナタさん。 これが魔法陣を入れた石英ガラスです」
コノミさんが俺に小さいビー玉みたいな物を渡してくる。
ビー玉の中には銀色の魔法陣が描かれていた・・・小さすぎて細部までは分からないがイメージ通りの魔法陣のように見える。
「へぇ~ビー玉みたいだね。 これが魔法陣を入れた石英ガラスか~、すっごい細かいね」
「はい、これが進化系の多重魔法陣を入れた石英ガラスなんです」
コノミさんは、リップスティックくらいの大きさの円筒形の石英ガラスを渡してくる。
「なるほどね。何層も魔法陣が入ってるのか・・・でも、魔法陣と魔法陣の隙間をもっと小さく出来ないの? さすがに大きいよね?」
「そうなんです。 多重にするのは思いついたんですけど、魔法陣の魔力同士が干渉してしまってこの幅が最短なんです・・・しかも、通信機に使うとなると多重の魔法陣入りの物が100個くらい必要で・・・」
「なるほど・・・昔の肩掛けの携帯電話みたいになりそうだね」
「そうなんですよ、新しい魔法陣を作ったとしても幅が大きくなってしまって、全体的にはそんなに小さく出来ないんです」
「そっか、魔法陣入りの石英ガラスを小さくしようと思ってアカネさんが唸ってたのね」
「そうです。 私は大きくなるのは仕方ないと思うんですけど、やっぱり納得いかないみたいで」
「前の無線機試作品を流用できないの? 通信できたんだし」
「無理ですね。 前の物だと出力を上げても、音質が良くなるだけで範囲は変わらないので新しい魔法陣じゃないと範囲を広げられないんですよ」
「う~ん・・・難しいもんなんだね」