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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第135話 謁見前

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 朝練が終わり、いつもなら屋敷に入って食事をするのだが面倒なので外で皆と同じ物を食べ、食事を終える。

 その時に、ミミリさんの妹のミリアさんに、今日行けるかどうか解らないと伝えてきて欲しいと頼む。

 ミリアさんは快く引き受けてくれた。 お小遣いとして銅貨2枚ほど渡しておいたが・・・


 片付けも終わり協会に皆で行く【Lv33.Lv32】となり、おのおの思い思いの場所に向かっていく。

 俺も早速王城へ向かう事を告げると、タダシさんヨシさんが、明日の料理の最終打ち合わせに行くようで一緒に行くことになり、荷物持ちとしてリョウタロウさんが呼ばれる。

 すると、アヤコさん、コノミさん、アカネさんも王城へ衣装の最終確認へ行くそうで、一緒に行くことになり、それを聞いていたユカさんとミズキさんもまた、ペニシリン作成のお手伝いに呼ばれてるみたいで一緒に行くことになった。


 屋敷に残るのはショウマ君、ケイタ君、タクミ君になる。

 3人で大丈夫かな? なんかケイタ君とショウマ君で喧嘩でもしそうな感じがするけど・・・

 まぁセードルフとかいるから平気かな? 本当に平気なのかなぁ?

 悩んでてもしょうがないか、なるようになるだろうし。


 王城に行きそれぞれ目的地の場所に向かう・・・心の中で料理と衣装の2つ持っているリョウタロウさんを応援しておく。

 謁見の間の前にいる兵士の人に話をすると、現在謁見中らしい・・・さっき入ったばかりだと言うので王城の中を散歩することに・・・と言っても、勝手に見て回るのはまずいだろうしペニシリンの工房予定地でも見に行くかな。

 そう思いながら謁見の間に続く廊下を歩きながら進む。


 階段から人が上がってくる気配がし、どうしたらいいか分からず廊下の端に立っておいた・・・目の前に来たときにお辞儀すればやり過ごせるかな?

 階段から上がってきたのは、ワンピースを着た羊の角の女性と革鎧を着た同じく羊の角の女性、騎士の格好をした大きく渦巻いた角を持つ男性だった・・・羊? なのかな? でも髪の毛カールして無いし、教会のラーモン神父(羊の獣人)の角とは違うんだよなぁ・・・なんだろう? (ムフロンという羊の原種の1つだと言われている動物です)

 会った事のない人だったのでマジマジと見てしまったが、はっと気がつきすぐにお辞儀する。

 だが、俺の前に立ち止まり話しかけてきた。


「貴様は人族だろう? なぜこんな所にいる?」

 騎士の男が前に出て武器に手をかけて言う。


「私ですか? 陛下に謁見しようと思い登城した者です」

 俺はそういい頭を下げる。


「人族の者がここに呼ばれているはずが無いだろう? 怪しいにも程がある・・・曲者がいるぞ! 衛兵! 衛兵は何をしている!?」

 騎士は叫ぶと武器を抜きこちらに構える。


「怪しい者がこの城にまぎれていると申されるのですか? こんなに厳重な警戒をされていると言うのに?」

 俺ってそんなに怪しいか? いい訳しても問答無用なんだろうな・・・


「益々怪しいな、貴様の目的は何だ? 捕らえた後できっちり話して貰おうか!」

 そう言うと、突きを放ってくる。


 遅いな・・・はたから見ると鋭い突きなのかも知れないが、ショウマ君の突きと比べる・・・いや比べるほどでもないか・・・

 右手の指で剣を掴む・・・これぞ真剣白羽掴み! というかいきなり攻撃してくるのかねぇ?


「何!? くそ!」

 騎士の男はナイフを抜き切りつけようとしてくる。


 俺は掴んだ剣を思いっきり引っ張り、足を出して引っ掛け転ばせる・・・どこかの国の貴族なんだろうけど先に攻撃して来たんだし自衛ってことになるはずだよね?

 もしかして、封建社会だとならないのか? あれ? もしかしてやらかした?

 そんな考え事をしていると、騎士が立ち上がりこちらにナイフを構える。


「貴様! フルオーロ国第1王女エカテリーナ・フルオーロ様と知っての狼藉か!」

 騎士が大声で叫ぶと兵士達が集まり出した。


「いきなり剣を抜き襲い掛かって来ておいて狼藉も何も無いでしょう? しかも、そちらの方が王女様とも知りませんし、フルオーロ国というのも知りません」

 俺はため息を吐き、呆れた様に言う。


「貴様! 愚弄する気・・・・」


「お待ち下さい! 何があったのか説明をお願いします」

 駆けつけた兵士は、俺と騎士の間に入り叫ぶ。


「ここに人族がいるはずが無いと言って剣を抜き、切りかかって来たんですよ」


「それは貴様が姫様をじっと見ていたからではないか!」


「それはここに見た事が無い人がいると思って見ていただけです。 あのですね、私が人族が多く住む国のの重鎮だった場合どのように責任をとるおつもりだったのですか? 貴方の首一つですべて解決出来るわけでは無いんですよ? 戦争でも起こされれば民達になんといい訳をするおつもりですか?」

 俺は頭を振り、呆れた様に言う。


「貴様! 愚弄する気か! 決闘だ!」

 騎士が剣に手をかけ顔を真っ赤にして言う。


「それは構いませんが、何を賭けるんですか? お金ですか? それとも・・・」


「お待ちなさい! フュリュッテ! 下がりなさい!」

 先程エカテリーナと呼ばれた王女が大声で騎士をたしなめる。


「しかし・・・こやつは・・・」


「黙りなさい! 私のような素人が見ても、お相手の方の強さは数段上ですわ。 それが解らぬ愚か者ではないでしょう?」


「ぐっ・・・失礼いたしました・・・」


「供の者が粗相をいたしまして、失礼いたしました。 謝罪いたします」

 エカテリーナ姫は、優雅にスカートのすそを掴みこちらに頭を下げる。


「呆然と見ている時間が長かったように感じますが、謝罪を受け入れますエカテリーナ姫」

 俺は軽く会釈する。


 騎士の男は怒りの篭った目で見てくる・・・そんなに怒る事したっけ? というか、何がしたいんだろう?

 もう1人の護衛のローブの女性は半歩前に立ち周りを警戒して要るようだ・・・普通護衛ってこんな感じじゃないのか? 騎士の奴はフュリュッテって言ったけ? こいつは、いきなり攻撃して来たんだ?

 そんな事を考えながら睨んでくる騎士に指で剣先を掴んだままの剣の柄を差し出す。

 フュリュッテは舌打ちをしながら剣を取り、鞘にしまう。

 そう言えば王城の入るとき武器を預けるんじゃなかったっけ? あれ? 俺も預けたこと無かったような気がするなぁ・・・


 その時、謁見の間から大将軍と近衛兵と、バスの回収に向かったときに出会ったネズミの姫のサミルとサミルの女騎士さんが連れ立ってこちらに来ていた。

 大将軍達も含め全員に今までの経緯を説明する・・・説明中にフュリュッテが何か言おうとしていたが、エカテリーナに叱責を受けて黙っていた。


「なるほど、カナタが騒ぎの元凶か! がっはっはっは。 まぁ双方に怪我が無い様で良かった。 すまんが、私の顔に免じて双方とも不問にして欲しい」

 大将軍が笑いながら話しかけ俺の肩に手を置く。


「もちろんそれは構いませんが、人族はずいぶん嫌われてるようですね。 何となく察していますが、すべての人族が悪いという事は思わないでいただきたいですね」


「それはそうだな。 この国でも人族への反発があったが、カナタ達ソメイヨシノの面々に助けられた者が多く、人族への反発は少ない・・・いや、むしろ歓迎している。 この俺も助けられた一人だしな。 がっはっはっは」

 大将軍は、俺の肩をバンバン叩き大声で笑っている。


「そうですわね。 私もカナタ様に助けられた1人ですし・・・その節はありがとうございます。 シャツをお返しいたします。 私の手で返したかったので、返すのが遅れたことをお詫びします」

 ネズミの姫サミルが女騎士からシャツを受け取ると、俺に渡してくる。


「いえ、役に立って良かったです。 私も挨拶が遅れたことをお詫びします」


 結局、お互いの誤解により諍いはあったが全て水に流すと言うことになった。

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