第131話 調べ物
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早速屋敷に戻り、ダイニングへ向かう。
「タダシさん、ヨシさん、ただいま戻りました」
「お! ずいぶん早かったな。 今日からミミリの所で手伝うんだと思ってたぞ」
「あ! 忘れてました・・・後で走って行ってきます。 手伝えるかどうかだけでも聞かないと」
「カナタは、結構忘れっぽいよな。 大事な事忘れないようにしろよ?」
「はい、気を付けます。 話しは変わりますが、ケイタ君達って帰って来ました?」
「いや、まだ帰って無いぞ?」
「じゃあ、タクミ君は?」
「タクミもまだだな」
「それじゃあギルドに行って、木工の工房に行って来ます」
急いでギルドに向かう。
色々考えすぎて奴隷達の事を言うのを、すっかり忘れていたことに気が付く・・・こりゃあ、いよいよメモでも持ち歩かなきゃ駄目かもなぁ・・・
ギルドに入り事情を説明すると、ギルドマスターのところへ通される・・・なんでギルドマスターの執務室に通されるんだ? 通信設備への入室許可は取ったはずなんだけど・・・
そう思いながらも、ノックをして入る。
「あらら、いらっしゃい。 皆奥で色々調べてるわよ? 貴方も見に来たのかしら?」
なるほど、執務室の奥の部屋が通信設備がある部屋なのか・・・色々とレア素材とか使ってそうだもんな。
「それもありますが、ブラッディルビーワイバーンの解体をしたいんですけど場所ってお借り出来ますか?」
「う~ん・・・今日の深夜帯なら確か空いてると思ったわ・・・でも、人手を貸し出す事は出来ないわよ?」
「さすがにそこまでお願いするほど愚かじゃありませんよ。 使用料はいくらですか?」
「ギルドのランクをきちっと上げてくれれば、お金は要らないわよ?」
ギルドマスターは、ビックリするくらい笑顔でこちらを見る
あぁ・・・そう言えばランクを上げろって言われてたんだっけ・・・驚くほど怒っていらっしゃる。
「失念していました。 出来る限り善処します」
「はぁ・・・まぁいいわ。 解体場は今夜押さえとくから・・・じゃあ、こっちが通信室よ、付いてきて」
ギルドマスターはそう言うと、横の扉へ向かっていった。
隠し扉とかでは無いんだな・・・盗まれたりしないのかな?
扉を開けられると、5畳ほどの大きさの部屋の真ん中に30インチくらいのモニターのような透明な板が天井からつり下がっており、部屋の奥の角には黒い箱が2つ、入り口を入ったすぐ脇には同じような黒い箱その上には巨大な魔晶石が輝いている。
コードのような物は見当たらないが、床や壁天井に幾何学模様のようなデザインが施されている。
その真ん中でコノミさんが、地面に紙を広げ何かを書き、ケイタ君、アカネさん、ミズキさんが壁際にあるコードが出た箱のような物を開けてる最中だった。
「あれ? カナタさん来たんですか? もしかしてご飯ですか?」
コノミさんは気付くなり首を傾げて言う。
「いや、そう言うわけじゃないけど・・・なんか凄いね」
「そうですか? 後はその箱だけで解析終わりですよ。 ただ、遠距離通信は難しそうです」
「え? やっぱり無理なの?」
「いえ、材料が足らないんです・・・部屋の模様や、この箱の中身もコードも全部ミスリル製なんですよ・・・」
「うわぁ・・・それは無理だね」
「はい、なので魔法回路? 魔法紋? 魔法陣? 何でも良いですけど、書き写して何とかできないか調べようと思いまして」
「なるほどね~、上手く行けばいいけど難しいのかな? あ! コノミさん、これ見てくれない?」
白金鉱だと思う物をマジックバッグから取り出し、コノミさんに渡す。
「銀ですか? え? まさか! プラチナ? これってプラチナですよね?」
「やっぱりそうだった、良かった。 魔力回路とかに使えないかと思って持ってきたんだよね。 あとで、使えるかどうか調べて見てくれる?」
「ええ、了解です! でも、高かったんじゃないですか?」
「いや、偽銀って呼ばれてて捨てられてる物なんだってさ。 じゃあ、他にも行く所があるから、後はよろしくね」
「はい、解りました」
皆と別れ、ギルドマスターに挨拶をして外に行き、ミミリさんの木工の工房へ。
1度来ていることもありすんなりと奥へ通され、ミミリさんに手伝いをしたい旨を伝える。
「じゃあ、カナタさんが切断、運搬をやってくれるってことでいいんですか?」
「はい、秋に入ったばかりですけど冬前には終わらせたいですので」
「ふ・・・冬前!? ですか? むむむ・・・確かに、カナタさん達が手伝ってくれるのであれば、食堂と集合住宅? でしたっけ? は出来ると思うんですけど、学校は無理だと思いますよ?」
「学校は春くらいに着工でも良いですよ。 まぁ、出来るだけ早く終わらせないと木工所の職員さん達も落ち着かないでしょうし」
「そうですね。 アドバイスいただいたように一応、家屋大工、家具職人、小物職人に分けていますが、それでも回って無いですからね」
「それじゃあ、明日の午前中に来る予定ですが、来れなければ午後には来ます」
「はい、解りました。 お待ちしてます。 あと、お弁当の籠をお返しします、美味しかったです」
ミミリさんと話し終わり、ご飯まで少し時間があるのでゴラントさんのお店へ。
プラチナは魔力回路に使用出来なくても、日本に持って帰れればお金になる! いくらあっても別段困らない物だ。
今現状である物だけを確保しておこう。
「あら、カナタ様どうしたんですか?」
ゴラントさんの奥さんが笑顔で迎えてくれる。
「お名前を聞くのを忘れてしまって、申し訳ありません」
「そうでしたわね。 私はゴラントの妻のネリウムと申します。以後よろしくお願いします」
「先程の偽銀を大量に買いたいのですが、どのくらいありますか?」
「そうですね・・・知り合いの鉱石商が、少し前に銀のインゴットの中身を偽銀にされ騙されたとぼやいていましたので、まだ残っていればかなりの量になるかと」
「その確保をお願いしても良いですか? 屋敷に持ってきていただければお金をお渡ししますので」
「畏まりました。 早速手配させていただきます」
やっぱり商人としての腕がいいのだろう、話が早いな・・・なんでゴラントさんなんかと結婚したんだろう? 家同士の結婚なのかな? まぁいいや。
急いで屋敷に戻り、ダイニングに行くと通信装置を調べていたケイタ君、アカネさんが紙を広げ話し合っているところだった。
「ただいま。 どう? なんか掴めた?」
「おかえりなさい。 そうですね、色々と勉強になりますね。 上手く利用できれば通信機器を色々と作れると思います」
ケイタ君が、メガネをクイッと直しながら言う
「色々と? まぁいいや、自転車とかよりも通信機器は重要だから頑張ってみてね」
「ええ、もちろんです。 アカネさん、この回路なんですが・・・」
ケイタ君は、嬉しそうに笑うと話し合いに戻る。
「あ! カナタさん、お帰りなさい。 早速ですけど、プラチナなんですけど面白いことが分かりましたよ?」
コノミさんが、ダイニングに入ってくるなりそう言い紙を渡してくる。
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青銅 魔力抵抗 50% 最大量 100
黄銅 魔力抵抗 55% 最大値 200
魔鉄 魔力抵抗 55% 最大値 350
銅 魔力抵抗 20% 最大量 1200
銀 魔力抵抗 15% 最大値 2600
金 魔力抵抗 10% 最大値 5500
プラチナ 魔力抵抗 100% 最大値 6000(魔力を500最初に流すと、魔力抵抗 0% 最大値 5500となる 効果継続時間不明)
ミスリル 魔力ブースト 10% 最大値10000
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「魔力抵抗と言うのが、流したときに失われる魔力量で、最大値は溶け始める魔力量ですが、絶対と言うわけじゃなさそうです。 あと、青銅を100とした時の量なので、正確な値は分かりません」
コノミさんがドヤ顔で俺に言う。