第128話 奴隷解放
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子供達と一部の大人が勉強へと向かっていった。
最初のころは屋敷の事をあんなに怯えていたのに、今では特に怯えて無いように見える。
子供達に屋敷の中の様子を教えて貰ってたからなのかな?
まぁ、なんかあったときの避難所に屋敷を使うつもりだから怖がらないで貰えると助かるね。
フランソワーズ様は、最近忙しいらしく晩御飯のときにしか顔を出さないらしい。
いろいろな国の要人が来ていると聞いているので、忙しいのだろう・・・俺もなんだかんだで忙しいんですけど。
最初はベトニアと共に奴隷商の所に向かおう、ちゃんと解放しておかないと因縁付けられるかも知れないし。
ベトニアを呼び、奴隷商の元へ向かう道中に会話する。
「今からベトニアを解放奴隷にしようと思う。 なにか質問とかあれば答えるよ」
「え? 待って下さい! 何か気に触る事をしたでしょうか? 何かありましたら何なりと申し付けて下さい」
ベトニアは、いきなり土下座をして大声で言う。
「逆逆、忠誠を示してくれるのは嬉しいけど、最終的には自立をして欲しいんだ。 今直ぐ出て行けって訳じゃなくて、いつでも出て行っていいし、もちろん帰って来ても良いって意味で解放しようと思ったんだけど・・・その様子だと、今の所奴隷のままの方が良さそうかな?」
「ありがとうございます! お考えは解りましたが、どうすれば良いのか解らないのです!」
「そっか、じゃあ奴隷のままでちゃんと勉学、体育に従事してね。 ただ、絶対に無理をしないでね」
自由になると何をしたらいいのか良く解らないのかな? いきなり自分で考えて行動しろと言われても難しいんだろう。
おいおい自分でやりたい事が見つかるか、自分の意思で自由になりたいと思うまで奴隷のままでいいのかもしれないな。
奴隷商の所に着き門番に事情を説明し中に入ると、息子のエムドラさんと父親の奴隷商と、見たことが無い人達がいた。
「おや、カナタ殿! 良くぞいらっしゃっていただきました。 歓迎いたします」
奴隷商は、立ち上がると恭しく礼をする・・・すると
「どうも、おはようございます。 帰ってらっしゃっていたんですね」
「ええ、おかげざまで・・・カナタ様が、借金奴隷の少年少女を買っていると言う噂を耳にしまして、方々より仕入れてまいりました。 ご覧になりますかな?」
「はい、見たいです。 不躾なんですが、お名前を忘れてしまっているようでお聞かせねがいませんか?」
「おお! 自己紹介をしていませんでしたね。エムジンと申します。エムドラ共々よろしくお願いいたします」
エムジンさんは、スッと立ち恭しく礼をする。
ん~サマになってるな・・・やっぱりエムジンさんは気品があるように見える。
元貴族とか? いや、執事とかなのかな? 俺もこんな風にスマートに出来たらいいんだけど、無理だなぁ。
挨拶もそこそこにし、ベトニアの奴隷更新も終え、問題の子供達の所へ。
「こちらにいる子供が今回連れてきた者達です」
そこには7歳前後の男女がおり、全員が人族だった。
全員が隅に座り身を寄せ合って振るえている・・・何だ? 前に来たときに獣人の奴隷達は、一様に暗い顔で座っていたが、こんなに怯えた様子は無かったはずだ・・・
「エムジンさん、彼らはなぜ怯えているんですか?」
「前の主人が特殊な性癖の持ち主でして・・・」
エムジンさんは、困ったような顔をしている
「詳しく聞かない方が良さそうですね・・・君達は、ここから出たいかい?」
互いを支えあうように一塊になり、怯えた目でこちらを見ている。
「駄目っぽいな・・・ヨシさんあたりを連れてくるのが早いかな? 彼らにとって俺は怯える対象のようだ」
「他の者も見て見ますか? といっても、犯罪奴隷か戦闘奴隷なのですが・・・」
「いや、他の人を連れてもう一度来て見ます。 手付として銀貨1枚お渡ししますので、食事をよろしくお願いします」
「女神に誓って承りました」
銀貨1枚を渡し、奴隷商の所を後にする・・・正直言って胸糞が悪い! 本人が目の前にいたら手足を引き千切り、ダルマにでもしてやりたい気分だ!
「やはり、カナタ様はお優しいですね。 ただの奴隷の子供に情けをかけるなんて」
ベトニアが、俺を見てそう言う。
「ん~? どうだろうね? 優しいとは違う気がするな・・・結局は俺のために働いてもらおうと思ってるわけだし」
「働いて食べることが出来ますし、しかも家まで与えてもらってます。 それが幸福でないと言うのならどれが幸福なのか私には解りません」
「そう言うもんなのかな? 俺には解らないよ」
そう言うと、苦笑した。
日本だと、仕事はしたくない休みたい、いつかは悠々自適に毎日を・・・って思っていたんだけど、環境が違うと人は変わるって事なのかな。
考えても解らない物は解らない、相手がどう思うかというのは一応考えているけど、言葉で感謝されても本当に感謝してくれているかどうかは相手次第。
結局は自分を信じて進むしかない・・・やはり、自分は間違っていないといってくれるYESマンが周りに欲しくなる。
だが、自分を批判してくれる人が1番自分の事を見てくれてる気がする・・・見ていてくれなければ批判は出来ないしね。 批判されると凹むけど・・・
そんな事を考えながら、屋敷に戻る。
今日は全員分の、ブーツ、篭手、胸当て、兜、肘当て、膝当てを作る予定だ。
ミスリルコーティングする物も作っておかなくちゃいけないしね。
それと、俺とケイタ君、ショウマ君のブーツも新調しよう・・・中に入れた硬い部分が足の裏まできているスリッパのようになっているため、足の指先とかが使えなくて走りにくいし、ショウマ君から軸足が安定しにくいと指摘があった。
そこまできっちり考えていなかった俺のミスだ・・・せめて足先と足の真ん中と後ろで分ければ良かった。
しかも、現在の俺達の脚力で、飾り紐があるブーツを履いて自転車は、転倒の危険を含む・・・紐無しにするか飾り紐のデザインを変えなくちゃな。
そう考えると、やっぱり仮面ラ〇ダーになって行くんだよなぁ・・・まぁ男の方はそれで構わないけど。
女性の兜がどうするんだろう? 兜の下に付けるフェイスカバーやフェイスガードと呼ばれる、スノボの目の部分だけ出して、他の部分をすっぽり覆う物は作って良いのかな?
一応作る枚数も12枚と頭に耳の部分がある1枚になってるんだし平気だろう・・・でもこれって音聞きにくくならないのかな?
完成予想図と、作って欲しい部位だけじゃ分からないことが多いよね。
まぁ、作っておいて損はないだろうしやりますかね。
そう考え、作品作りに没頭しているとベトニアがお昼ご飯を知らせてくれた。
キリが良い所までやりたい・・・が、折角皆で食事出来るんだし食事が先決!
そう思いダイニングに行くと、ほぼ全員集まっていた・・・俺が最後じゃなかったのね。
椅子に座るとコノミさんに、声をかけられる。
「あのカナタさん、ミスリルを通信機に使って良いでしょうか? 現在の銀だと脆いですし、通信範囲もそこまで広くありません。 ミスリル使えば解決出来ると思うんですが・・・」
「全員分一気に作れそう? そこまで大量に無かったと思うんだけど」
「それは大丈夫です。 回路部分とかに使用するつもりなので、大量に使う事は無いと思います。 試作してみないと正確な量は言えませんが」
「それなら良いよ。 情報共有の意味でも通信は大事だし、フランソワーズ様の鎧が終わったら、最初に渡すね」
「ありがとうございます。 あと、回路を入れる外側を骨で作った方が強そうなのでそれも良いですか?」
「了解、設計図書いて渡してもらえる?」
「はい、解りました」
「それにしても、コノミさんのその格好って・・・保健室の先生のコスプレ? なのかな?」