第125話 タクミ君の武器
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「でも、恋人を作るなって言う意味じゃない。 ちゃんと居なくなる可能性があるって事を話しておくこと、夫婦のようになった場合は、居なくなっても生活出来る様にしてあげること、それさえ出来れば俺から何かを言う気はないです」
皆をみると、解ってくれたようだ。
「あと、ハーレムとか逆ハーレムとか作っても良いからね。 ただ、無理やり従えたり奴隷だからっていうのは絶対やらないでね」
急に異世界に飛ばされて強くなってしまったんだし、皆それぞれに色んな考えがあるんだろう。
俺は、自分を従えるのは自分のみ、相手のことを縛るようなやり方を出来るだけしたくないし出来るとも思っていない。
まぁ、自分の利益や仲間の利益になるような事は頼んだり、それとなく誘導するつもりなのだが。
話が終わったとき、革鎧が血塊脈に浸けたままな事に気が付き急いで革の工房部屋へ・・・
やはり俺達の鎧(ライダーススーツ、ボンテージスーツ)は全部黒くなっている・・・が、フランソワーズ様の鎧は白くなっていた。
これはどういうことなんだ? 普通の血塊脈だと赤くなり、俺達だと黒くなる、フランソワーズ様が白・・・なんかあるのか? 色の変化があるって事は強さも変わっているのか?
革鎧を隅々まで見ると、そこまで強さに違いは無いようだし柔らかさも変化はないようだ。
何故色が変わるんだ? 全然解らん・・・一人ひとり色が変わるならおれ達も変わる気がするんですけど・・・
まさか・・・髪の毛の色に変化する? 髪の毛の色は属性が濃く出るっていってたけど・・・
あぁぁ、わっかんねぇ、考えるのやーめた。 白い鎧の予定だったしラッキーってことで良いや。
それにしても、フランソワーズ様の鎧の完成形はプリンセスラインのドレスような形になるのか。
後は、布とミスリルを使って装飾を施すだけだな・・・
ミスリルは、フランソワーズ様の元の装備の胸や腕等に付いていた銀色の部分が、ミスリルと魔鉄を混ぜた物だったらしい。
調べてみると、魔鉄とミスリルを分離出来るとのことで、分離させたようだ。
今回の鎧では、見た目ぐらいしかそこまで使う場所が無いので、余ったら貰えることになりかなり嬉しい。
さて、皆の革鎧が乾くまで他の物を作るとしよう。
えっと、食事前に渡すの忘れてましたって言われて、設計図を結構な量渡されたんだよなぁ・・・最初の1枚目は、防具のデザイン変更? え!? まさか!
紙を確認するとデザインが全然違う物になっている・・・うわぁ、どうしよう、血塊脈に浸けちまったよ!
紙をもう一度確認してみると、下地となる全身タイツ(開いてる部分が首だけで肩のボタンを外して着る物:ガン〇の黒いスーツに近いイメージ)は作った物と変わらない物だった・・・良かった、ものすごく焦ったよ・・・まぁ上下で分かれるように改良しちゃったけどさ。
アヤコさんに、使いやすさとかケイタ君とかショウマ君が話したって言ってたからだろうなぁ。
でも作って欲しいのって全身タイツだけ? ん~? 鉄鎧とかにするんかな? 解らん・・・解らない物は後回しでいっか!
さて気を取り直して・・・そう言えばタクミ君が、先に作って欲しい物があるって言ってたな・・・どれだ?
2枚目の設計図を見ると、タクミ用と書いてあり、真ん中に大きな槍・・・その少し下の左右には斧? 剣? のような直角三角形に穴が開いてる物がある。
なんで直角三角形の直角の部分に穴が開いてるんだろう? 軽量化? いや、紐で固定化するためなのか?
これだけ見ると変則的なハルバードにも見えるけど、直角三角形を取り外して武器にも出来るようにするのかな? 使い勝手がものすごく悪い気がするんだけど・・・
試作品ありって書いてあるな・・・無難に、確認してから作るかな。
次は何かな? ケイタ君用の小太刀2本? なるほどクナイも数本作るのか・・・忍者でも目指すつもりなのか?
まぁいいや、最初にこれを作ろう・・・骨を削りだし整え仕上げ削りをして、完成。
もう1本も同じように作ろう・・・うん、結構良い出来! 鍔と柄と鞘も作っておこうかな! 折角作るんだしね。
さて、小太刀は2本完成したし、乾かしてた鎧とコルセットも乾いたようだし気分転換もかねて、アヤコさんに鎧を渡しに行こう。
最終仕上げは、血塊脈のケイタ君仕様の物に浸けて置いて放置!
裁縫の工房部屋へ行くと、アヤコさんだけではなくメイド達を除く女性全員がいた・・・もちろんフランソワーズ様もそこにいた。
「出来上がったやつマネキンにつけたまま置いてっていいですか?」
「いいですよ。 やっぱり私達のは、真っ黒なんですね。 フランちゃんのは真っ白なんですか! 完全に白で統一してもいいんじゃないですか?」
コノミさんが、ニコニコしながら言う。
「白に統一しても良いのだが、やはりミスリルを身に付けることに意味があるのだ。
ミスリルが無ければ、どのような魔物からとれた物が装備に使用されているのか一目で解らず、侮られることがある。
自己防衛と仲間に対する安心感を与えるためには欠かせないのだ」
フランソワーズ様が頷きながら言う。
「じゃあ、ワイバーンの骨に、ミスリルをコーティングしたら良いんじゃないですか?
普通の状態のワイバーンの骨の強さでもミスリルと同等位で、重さは少し軽いって言ってましたし、なんと言っても多く装備すればするほどそれと比例して大きな風を纏える様ですから、矢とか刺さらなくなって安全になると思うんですけど?」
「なるほどな・・・うむ、カナタよ。 頼めるか?」
フランソワーズ様は大きく頷き、こちらを見て言う。
いきなりこっちに振るのね・・・まぁ、骨細工の領域だし良いですけど。
「それは構いませんよ。 その代わりミスリル貰う量が増えても良いですね?」
「もちろんだ・・・が、表彰式の時に着る予定なので出来れば早めに頼む」
フランソワーズ様は、ウェディングドレスで出るわけじゃないのか・・・マーメイドラインの姿を見たかったんだけどなぁ・・・まぁ仕方がないか。
その後、ケイタ君とタクミ君の所に行き、ミスリルをドロドロに溶かしコーティングできるかどうか聞いてみる。
「出来ない事は無いですけど、屋敷の施設じゃ無理ですね。 鍛冶の工房にあるちゃんとした魔力炉を使用しないと」
ケイタ君は座りながら腕を組んで言う。
「そっか・・・魔力炉って借りれない? ミスリルがコーティングですめば、余ったミスリル貰えるからどうしてもやりたいんだけど」
「聞いてみないと何とも言えませんね。 明日に聞いてみますよ。無線を持っていくので何かあれば連絡します」
「ごめんね、ありがとう。 あと、小太刀2本作ったから明日にでも渡すね」
「ありがとうございます。 ああ! カナタさん、鍛冶で作って欲しい物とかありますか?」
「えっと、自転車と自転車に繋げられる荷台が欲しいかな」
「自転車ですか・・・なるほど、盗賊での事を鑑みてということですか」
「そうだね。 作るときに俺の知識必要だったら言ってね。 一応元自動車整備士だし」
「了解です。 とりあえず試作品を作ってみてアドバイスをください」
「うん、了解・・・あと、タクミ君に質問」
「うぇぇえ? なんですか?」
タクミ君は無言で、お店で使う揚げ物装置の外側を組み立てていたが、いきなり声をかけられ驚いたようだ。
「あぁ、この武器のことで質問したいんだけど」
「良くぞ聞いてくれました! 試作品を持ってきます・・・えっとですね、大きさは縮小サイズなので気にしないでください。 説明しますね・・・」
タクミ君の説明的には、3形態の変化がある装備なんだとか・・・益々使い勝手が悪そう。
最初の状態がハルバードのような槍の形態、直角三角形の部分を外して両手に持つ双剣の形態。
最後は、槍から直角三角形を取り、直角三角形の1番短い部分を上にして二等辺三角形を作り、鞘のようにしてあった布に魔力を流すと腕ごと巻き付き、盾のように扱う・・・見た目だけなら、カイトシールドに見えなくは無い槍と盾の形態。
「タクミ君、こんなに形態って要る? 行く所によって準備するのが当たり前なんだから形態を変えるってことが無駄にならない?」
「カナタさん! ロマンですよ! 武器の形が変わるのって夢があるじゃないですか!」
「それなら、騎士のようにドラゴンが全面のデザインとして彫られた盾と馬鹿でかい騎士剣とかの方がかっこいいんじゃない? 盾の裏にはショートソードとか投げナイフも隠してあって・・・」
結局、俺の説得が実を結びタクミ君は、大きな騎士剣と、隠し武器がいっぱいのでかい盾にする事が決まった・・・やれやれ。