第13話 初めてのPT
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6/8 改稿あり、加筆あり
「皆様、ギルドカードの記入をしてしまいますのでカウンターにお越しください」
言われるままに、カウンターに近づく・・・いつの間に戻ったんだろう?
「ギルドカードの転記をします、お名前・Lv・ギルドランクは記載が義務づけられておりますのでご了承ください・・・魔法の属性・どの魔法が使えるか・ギフトは任意となります。よろしいですか?」
「Lv? えっと、解らないんですが・・・いいんですか?」
「ええ、転記の際にこちらの水晶で読みますのでご心配なさらずに」
「はい、名前はカナタで、他のものは全部転記しない、でお願いします」
「はい、かしこまりました。任意の部分を隠しているとPTに誘われにくくなったり、PTの斡旋も出来かねますのでご了承ください・・・ただ任意のものは後で無料で変えられますので必要になれば言ってください・・(略)・・簡単な説明は以上です」
定番のギルドの説明だった。
命の補償はしない
冒険者同士の喧嘩には介入しない
ランクは1~15で1が一番高い
ランク1の人が国に属したものが、ランク『特』になるそうだ。
プレートは、15~11は青銅、10~6は銅、5~2は銀、1は金、特は金だったりミスリルだったりするらしい・・・特に決まっていないそうだ・・・ミスリルあるのかよ!
解体はギルド倉庫で出来るが、場所を借りるのに手続きが必要。
解体専門の解体員も居るが、結構高い・・・専属の解体員は、ほとんどの魔物の解体が出来るらしいので、解らなければ頼むのが得策。
しかも、解体を頼んでいた場合は、解体員が失敗しても、素材は綺麗なままと同じ金額で買い取ってくれるらしい。
税金は、クエスト報告時に引かれるらしい・・・クエストボードの紙は、天引きされた後の金額なのだそうだ。
ざっと覚えているのはこんなもんだ・・・超早口で捲し立てられながら言われたので、覚えて無くてもご愛嬌だろう。
「よろしければこのプレートに一滴血を垂らして頂いて、水晶に手をかざしてください」
そう言って針のようなものと青銅のプレートがカウンターに置かれる。
言われた通りに、血を一滴プレートにたらすと、血がプレートに染み込んでいく・・・数秒で血が跡形も無くなった・・・マジックアイテムってやつなのか? これ・・・
まじまじとプレートを見ていると
「アーティファクトですよ、プレートにマジンを染み込ませ個人のデータとリンクさせているので、このギルドカードはカナタ様専用になりますよ」
「どういった仕組みなんですか?」
「女神の作りし品なので、細かいことは存じ上げません。次の更新から、水晶に触れていただくだけで終わりますのでご安心ください」
「はい、解りました。更新しないとどうなるんですか?」
「特に規定は無いのですが、討伐記録が更新されませんので、クエストクリアできないこともございます。こまめに更新することをオススメします」
「討伐記録? ですか?」
「はい、先ほど申し上げたのですがもう一度ご説明させていただきます。このギルドカードには、持っているだけでモンスター討伐の記録が登録される機能がございます。
モンスターを討伐すると、討伐記録がPTだと6人全員に付きますし、複合PTでも18人全員に討伐記録が付きます。
ですが、人数が多いとLvが上がりにくいと言う弊害もありますので、弱い敵ですと少人数のPTをオススメします。他に不明な点があればその都度聞いてください。
あとは、PTの解散や脱退はいつでも出来ますが、解散・脱退したら、倒した魔物の討伐記録が消えてしまうので報告してから解散してください」
PTは最大6人ってことか? 複合PTってのは大型ボスに挑むときの同盟みたいなものなのかな? 最大で組めるのは、3PTってことだろうな。
「ありがとうございます、色々理解できました」
「いえいえ、PTや複合PTの登録は当ギルドで行っております。いつでもご利用ください・・・フランソワーズ様は、カナタ様とPT組むんでしょうか?」
「ああ、そのつもりだ、よろしく頼む・・・グロスお前もカードを」
そう言いながら、銀色のカードを渡す・・・ミスリルか? いや、2~5ランクだろうな・・・・それでも高ランクだったんですね・・・
小さい人の名前が今解ったよ・・・グロスさんか。
「・・・かしこまりました」
こちらを一瞬睨んでから、しぶしぶ渡す。こちらも銀色だ。
うわぁ・・・嫌われてるなぁ・・・なんでだろう? なんかやったかな? 全く身に覚えが無いけど・・・
2人は同じランクなのかな? 聞ければ聞いてみよう。
「登録も全て滞りなく終わりました。何かクエストを受けていただけるとありがたいですが、いかがですか?」
「うむ、わかった。何があるか確認してくるので待っていてくれ」
壁際の募集の紙を見るが、モンスターの名前を見ただけじゃ全く分からない。
「カナタ、ここの採取クエストでやれそうなものはあるか?」
そう言われ、確認してみると・・・薬草採取、解毒草採取、野草採取などがあった。
その中の1つに、ホワイトバンブーの実500Fo毎に100レティア と言うものがあり、気になって手にとって見る。
ホワイトバンブー? って白竹だよね? 500Foってなにさ?
もう一度見てみると・・・白竹の実500gで100レティアとなった
ん? ルビの部分が、変わったな・・・もしかして言語理解の効果なのか? 日本語に近くなるように翻訳した形とか?
「フランソワーズ様、この白竹の実の採取なら出来ると思います」
「白竹か、う~む・・・集めるのは結構大変ではないか? 薬草辺りのほうがいいのではないか? 何処にでも生えているしな」
「えっとですね、白竹の実って拳位の大きさがありますよね? 1個で重さはクリアーだと思うのですが・・・」
「馬鹿を言うでない、白竹の実はこの位ではないか。簡単に集まるが量を取るのが大変なのだ」
そう言うと、指で2cm位の隙間を作ってみせていた・・・やはりあの場所が異常なのかな?
「では、亜種とかなのですかね? 仲間がいるところのものは拳位でしたよ」
フランソワーズが考え込みながら、まさか・・・いや・・・などとブツブツ呟いている。
「結局助けに向かいますので、そのとき確認すれば良いかと・・・」
「うむ、それもそうだな、白竹の実は常時依頼のものだから話をしておくだけでいいだろう。グロス! 念のためマジックバッグの整理をしておいてくれ」
「かしこまりました、一度屋敷に戻りますが、よろしいでしょうか?」
「ああ、わかった。2の門の前で待っているぞ」
「かしこまりました」
と言うと、走って外に出て行ってしまった。
「そういえばカナタ、おぬしはLvいくつなのだ?」
確認していなかったな、そう思いながらカードを取り出す。
「えっと、Lvは・・・え? 0? ゼロ? なし?」
初期Lvって1じゃないの? てか、Lv100とか出て、ヒャッハー俺tueeeって出来たらよかったのに・・・
「はっはっは、冗談がうまいな、Lv0なんて生まれたての赤子じゃないか。どれどれ・・・む? ゼロだと・・・そうか! 一度マジンがとまってしまったんだったな・・・その影響かもしれん・・・また最初からか・・・気を落とさず精進するがよい」
「はい、ありがとうございます。まぁ、生きているだけで儲け物です。また上げれば良いだけですよ」
「フランソワーズ様! 受けるクエストは決まりましたか? あと、昨日の精算も残っていますのでお願いします」
「ああ、すまん今行く、カナタ行くぞ」
頷き後ろを付いて行く。
「クエストは常時の物をする事にしたので後で報告に来る。精算を始めてくれ」
「はい、かしこまりました。ラッキーベアの買取ですが状態が非常によかったため高額の買取となりました」
ラッキーベアってシマウマ柄の熊のことか? ラッキーって何? ラッキーって・・・
「まず、熊の頭ですが、剥製に欲しいと言う行商人の方が居たため金貨5枚。
皮は剥製ではなく防具としての販売を予定しておりますので通常の金貨2枚。
手足の爪の買取金額と討伐報酬を合わせて金貨1枚にサービスさせていただきました。
骨の部分は全身で大銀貨1枚です。肉と魔石は兵士の方に運んでいただきました。
頭が思いのほか高く売れたので、解体手数料もサービスさせていただきます」
そう言うと、金貨8枚と大銀貨1枚が出てくる・・・皮の袋もサービスなのかな?
ラッキーベアって高いのね~・・・倒せてたらウッハウハだったのに・・・ちょっと残念。
「そうか、すまない。カナタ受け取れ」
「え? う? ひゃい?・・・え? わた・・・私ですか?」
「そうだ! あそこまで追い詰めたのはカナタであろう? もう一度は言わんぞ! 遠慮なく受け取れ!」
「ひゃい! (かんだ・・)ありがとうございます」
頭を深々と下げる。
「よい、防具を買いに行く時間が無いのでそのまま行くぞ、いいか?」
「はい! よろしくお願いします」
こうして、みんなの救出に向かうこととなった。