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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第123話 スピーチ

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます

 玄関に行くと、皆が正装をして集まっていた。

 えっと・・・何? どういうこと? パーティって今日じゃないよね? 何で?


「驚いたかい? 試着をかねて、畑で働く皆と最近加わった子供達に挨拶しようってことになってね。 カナタ達の着替えも階段下の魔晶石の部屋にあるさね。 ほら! 行った行った」

 アヤコさんが、呆けて居る俺達の前で簡単に説明してくれた。


 言われた通り階段下の部屋に入ると、黒いスーツっぽい物がハンガーに掛けられ裏地の胸ポケットを見ると名前が刺繍してある・・・芸が細かいな。


「ボタンが1つしかない・・・という事は、タキシードですね。 蝶ネクタイではなく普通のネクタイのようですが」

 ケイタ君が、服を手に取り見ながら言う。


「最初は、スーツにする予定だったみたいだけど、女性陣の服がウェディングドレスだったでしょ? それに合わせて俺達も変わったんじゃない?」


「そのようですね。 ある種の執念を感じます」


「そうだね。 出来栄えがめちゃくちゃ良いしね」


「でも、見た目はあまり変わらない? あ! 中に着るベストの色が違うんですね。 ほら! 僕はこげ茶です」

 タクミ君が、ハンガーから洋服を取りながら言う。


「僕は、青ですね。 イメージカラーとかでしょうか?」

 ケイタ君が、洋服を着替えながら言う。


「俺はオーソドックスに黒だね。 あれ? 俺のイメージカラーって黒なの?」


「「はい、間違いなく」」

 2人は声をハモらせ、力強く頷く。


 まじか・・・なんとなく紺とかこげ茶がイメージカラーだと思っていたんですけど・・・腹黒いとかそう言う事なんですかね? 自覚はしてますけども・・・


 着替え終わり外に出る・・・皆のイメージカラーが気になり、見ていく。


 俺が黒。 タダシさんが濃い緑。 リョウタロウさんが灰色。 ショウマ君が赤。 ケイタ君が青。 タクミ君がこげ茶。 ヨシさんが黄緑。 アヤコさんがオレンジ。 ミズキさんが紫。 コノミさんが黄色。 アカネさんが水色。 ユカさんがピンク。 となっている。

 たぶん、フランソワーズ様が白なのかな? 


 それにしても、女性陣のドレスは凄いな・・・スレンダーライン、エンパイアライン、マーメイドライン、プリンセスライン、Aライン・・・これは何? 合同結婚式?

 色は基本は白で、裾の刺繍が色付きになってる・・・しかも、かなりさり気無い。


「アヤコさん、そのヴェールや刺繍とかキラキラしたのってダイヤとかですか?」


「いいや、石英だね。ミズキちゃんが、石英ガラスを作ってくれたのさ。 それで、コノミちゃんに石英ガラスを加工してもらったって訳さ。 綺麗だと思わないかい?」

 アヤコさんが、ヴェールについた物を手にとって微笑みながら言う。


「ええ、皆とても似合っていますよ。 エスコートできる事を嬉しく思いますよ」

 俺は、アヤコさんに恭しく礼をする。


「がっはっは、そうかい? じゃあ、お願いするとするかね」

 アヤコさんはそう言うと右手を俺の前に出す。


 俺は、アヤコさんの手をとり外へといざなう。

 セードルフとミランダが扉を開け、順次外に出て行く・・・まるでダンスパーティでも始まるかのように。


 外に出ると朝の朝礼のように全員整列して立っている・・・しかもちゃんと背の順・・・

 全員の前に朝礼の台のような物があり、そこで挨拶をするようだ。


「少々よろしいいでしょうかカナタ様」

 後ろからセードルフの声を掛けられる。


「ん? 何? どうしたの?」


「カナタ様の順番は1番最後となります。 最後の締めに相応しいスピーチをお願いしたいとタダシ様が・・・」


「え? まじ? どうしよう・・・セードルフ、なんか良いアイディアある?」


「前に見せていただいたワイバーンの氷漬けを出して、言う事を聞かせるのが得策だと愚考します」


「待って! それじゃあ恐怖政治を行ってる人みたいになっちゃうじゃん!」


「何を仰いますか! ここにいらっしゃる12人に忠誠を誓えない者等不要でございます!」


「どうしたんだよ! セードルフ! 目が本気すぎて怖いよ!」


「リョウタロウさまに、ワイバーンを出していただけるようにお願いしてまいります」


「いや、待って! 思いついたから! 言いたい事あったから!」


「左様でございますか。差し出がましい真似をいたしまして、申し訳ございません」


 さて、困ったぞ・・・思いつかねぇ・・・3つの袋の話し? いや、帰るまでが遠足? あぁぁ! どうしよう!

 チラッとタダシさんを見るといたずらっぽく笑っている・・・勝手に迷宮に行き連絡を怠った罰だと思われる・・・

 なんでケイタ君とショウマ君はお咎め無しなんだよ!

 俺が行く事を決定したからなんでしょうね・・・分かってますよ!

 そんな事を考えていると、セードルフが壇上に上がり喋り始める・・・ちゃんと全員に声が届くようにミズキさんが魔法でサポートしているようだ。

 そんな場合じゃないけど、皆が何を話すかものすごく気になるな・・・最初はタダシさんのようだ。


「最初は儂だ。 知ってる者が多いと思うが、料理と畑の管理をしている。 名前は、タダシと言う。 よろしく頼む」

 タダシさんは、言い終わり頭を下げると大きな拍手に包まれる。


 思ったよりシンプルだ。 このくらいならいけそう!

 そんな事を考えると、次にヨシさんが壇上に上がる。


「私は、ヨシって言うわ。 さっき喋ってた夫のサポートを中心にやってるわ。 女性特有の事とか、夫に言いにくい事なんかがあったら私に相談してね。 よろしくね」

 ヨシさんは、喋り終わり、皆に向けて小さく手を振ると大きな拍手に包まれる。


 全員の挨拶は、続いていく・・・リョウタロウさん、アヤコさん、ケイタ君、ユカさん、ショウマ君までは、何事もなく挨拶が終わる。

 次のコノミさんは、うずくまり顔を伏せて小さく挨拶していたが、なんとか終わらせ。

 次のタクミ君は、階段でつまずいてこけて、壇上で顔からダイブし鼻血を出して中断。

 中断の間は、アカネさんとオモチが、良く解らない大道芸をして間をつなぐ等があったが、皆挨拶は一言ほどで終わっていた。

 最後の俺の番となった・・・よし! 早く終わらせてご飯を食べよう!


「カナタ様! 皆様、素晴らしいお言葉でしたが、カナタ様は思う存分、先程の話したいと仰っていただいた事を話していただければと思います。 期待しております」

 セードルフが階段を昇ろうとしていた俺に向けて目をキラキラさせて言う。


 うわぁ・・・何でそんなに期待してるの? さっさと終わらそうと思ってたのに・・・

 そんな事を考えながら、頷き階段を上がって行く。


「皆さん、今晩は! 私はクランのリーダーをやっているカナタです。 1人所用で出ていますが全員で色々やってみようと思っています。 それを皆様に助けていただきたいと思っています」

 チラッとセードルフを見てみると、お祈りのような形で膝をついている。


 ミランダやセラン・・・他の子達も膝をつき始める・・・・うわぁ・・・これで終わりにすることが出来ないっぽいな・・・仕方ない、もう少し・・・


「皆さんに、私から・・・いえ、私達からお願いがあります。

 私や仲間達の言う事は絶対にあっている、どんなことも間違っていない、そのように考えないでください! しかし、絶対に疑えと言う意味でもありません。

 自分で良く考えて、皆さんの頭であっているのか間違っているのか決めて下さい。

 もちろん、迷っても良いですし、誰かに助言を求めても良いです。 ですが、最後は自分で考えて決めて下さい。 悔いのないように、今現在の最善を選んで下さい!

 私達は勇者を目指しています! なので、魔物との戦いで怪我をする事もあると思います! 下手すれば死ぬこともあるかもしれません! 私達がいなくしまった場合でも、1人で大丈夫! 家族となら、友人達となら、どんな事があっても生きていける! そう胸を張って言える様になってくれることを、皆様にお願いします」


 話が終わったのに全く反応がない、いや子供達だけは「ねぇねぇどうしたの?」とか聞いているが。

 数秒後、一気に大喝采が起こった。 大きな拍手や叫ぶ者、俺の名前を叫んでる人までいる・・・

 もしかして、なんかやりすぎた?


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