第122話 武器調整
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屋敷に戻るともう夕方になっていた・・・今日は、もう出掛けなくていっか~妙に疲れたし。
玄関を開けると、そこには左右に汚れた服を来た子供が3人ずつ並んで立っていた。
一番手前の左右にいた執事服を着たセードルフと王道のメイド服を着たミランダが呆けている俺の傍に来て1礼すると、子供達も礼をする。
「カナタ様、お帰りなさいませ。 先程お話が出来なかったので、聞いていただきたいことがあるのですが」
セードルフが微笑みながら言う。
「えっと・・・何? 今の状態の説明をしてくれるの?」
「はい、もちろんでございます。 この者達は、陛下から渡された奴隷なのですが、現在ここにいる者は犯罪奴隷なのです。 追い返そうと思ったのですが、タダシ様から助けるように言われたのでメイドや執事として働かせようと思って教育しているのです。 大丈夫でしょうか?」
「うん、構わないけど・・・アヤコさんに洋服を貰えるように言った?」
「私は、この者達には洋服はまだ早いと思うのですが、アヤコ様やヨシ様も同じ事を仰っていらっしゃいました。 しかも、誰一人として追い出そうとしないなんて・・・皆様の寛大な配慮に、このセードルフ感動しております!」
「あ! 犯罪奴隷って言ってたけど皆何したの?」
「食べ物に困り、武器を持って強盗をして捕まったようです。 ここにいる6人と、病気で療養している7人が同じ経緯をたどっています」
療養? ってことは、病気の子もいるのかな? 療養って言ってたし、ユカさんもいるし心配する必要はないだろうけど・・・よし! 時間があるときに顔を見に行こう!
「そっか、皆に質問! ここにいれば衣食住は保障するが、どうしても出て行きたい者は手を上げてくれ」
子供達を見回すが誰一人として手を上げる者はいなかった。
うん、教育はセードルフとミランダがやってくれるようだし、手を借りたい時とかもあるだろうから助かるな。
「いないようで安心した。 セードルフとミランダに良く教えてもらうようにしてくれ!
それとセードルフ、犯罪奴隷じゃない奴隷の子はどこにいるの?」
「農奴の方と同じように家を作りそこに住んでいます。 色々な不慣れなこともあるでしょうが、農奴の家の大人が教えてくれるそうなのでご安心を」
「そっか、食料とかは? 足りてる?」
「はい、ジャガイモを蒸かして食べるように周知してあります。 塩も各家庭に配ってあります」
「そっか、何か足らなくなったら言ってね。 俺が居なければ、いつも通りタダシさんとか残ってる人に聞いてみて」
「畏まりました。 本日連れて来た鬼人族の男はどうなさるおつもりで?」
「借金奴隷のようだから、自分でやりたいことを見つけてもらえるようにサポートするよ。 セランみたいにね」
「はい、ありがとうございます。 ご恩に必ず報います」
セードルフはそう言うと、片膝をつき礼をする・・・すると、周りの少年少女達とミランダも同じ格好になり、復唱する。
「あ~・・・無理しないように頑張ってね」
非常に怖い! 何これ、俺は新興宗教の教祖か何かなの? 崇められても困るんですけど・・・
夕食には少し早い時間なので、農奴の希望者の子がタダシさん、ヨシさんの料理を手伝っていた。
こりゃぁ、俺が居ない方が良いかな? だいぶ狭くなっちゃうし・・・
仕方ない、約束の革鎧を作るかな・・・鋲は革細工の部屋に置いておいてくれてるはずだし、さっさとやっちゃおう。
そう考え、革細工の工房として使っている部屋に行きマジックバッグの中を少し整理をして、作業を始める。
鋲やビス等を出来る限り等間隔になるように付けていく・・・こりゃあ防御力を高めると言うより見た目重視って感じだな。
そうなりゃ打刻も全身に入れちゃうか? ゴテゴテし過ぎないようにシンプルだけど目を引くように・・・
ここまで来たら全身作る? いや、他にも作る物があるから、完成したらしまっておこう。
あとは、皆のライダーススーツ(モジモジ君スーツ)とボンテージ(飛竜の甲殻や鱗・皮・翼膜も使い全身ソフトレザーの鎧、出掛ける前に形だけ完成させてあった物)を完成させるか。
と言っても、出掛ける前に形は作ってあるから、貰った血液を血塊脈に垂らしてつけ置きするだけなんだけどね。
さて、フランソワーズ様の防具は黒くなるのかな? もしくは違う色になるのかな? 面白い実験だね~。
さて、次は武器・防具の改良かな。これは俺だけじゃなくケイタ君、タクミ君の話も聞かなきゃだから武器の工房部屋に行くか。
ノックをして中に入ると、床が魔鉄の板になっており壁に一面に様々な武器が飾られて居る・・・作成は全部タクミ君で素材は魔鉄、皆がどんな武器が良いのか調べるために作ったようだ。
試作品は全部魔鉄製、この世界の人からするとリッチなのだろう。
その中で既にショウマ君の武器の調整が行われていた。
ショウマ君は、武器の威力調整機能とセスタス(ナックルダスターに拳ガードがついたような形状)の持ち運び改善、もしくは篭手との一体化か・・・難しくね?
篭手と一体化させちゃうと誤射というか、いきなり人をなぎ倒しちゃうんじゃ?
「カナタさん! 篭手にギミックを付けて、闘うときに拳ガードが拳の前に動く機能を付けたいんですよ。良くロボット戦闘物であるような、スライドする拳ガードといえば分かりますか? そのギミックについて何か知ってることがあったら教えて欲しいんですけど」
タクミ君が、手を上げて聞いてくる。
「スライドする拳ガードは分かるよ。 普段は手の甲ら辺にあって、スライドするやつでしょ? 本当に作るなら、機械的ギミックとかレールのような物が必要になるから、結構大型になっちゃうと思うし現実的じゃないんじゃない? 篭手を戦闘用に改良して、平常時・戦闘時みたいにモードを2つ作るとかの方が現実的じゃない?」
「なるほど、それなら出来るかもしれませんね。 形はやっぱりガントレットかな? 衝撃反射の付加魔法を外して、硬軟一体を手の甲側に付けて・・・」
「ごめん、衝撃反射って何? ものすごい恐ろしい響きなんだけど」
「衝撃反射は、攻撃した際に自分に返ってくる衝撃をベクトルをかえて相手に向くようにした物です。 凶悪ですよ!」
「え? じゃあ、防具につけたら最強なんじゃない?」
「そうではないんですよ・・・相手の攻撃も衝撃反射されてしまい、威力が上がってしまうんです。 ショウマさんは上手く使いこなせていた様なので大丈夫ですけど・・・」
「なるほど、そりゃ難しいね。 ショウマ君が手応えが全くないって言ってたのはそのためだったんだね」
「そうです。 叩いた一瞬の硬直をなくしたいと言われて作った失敗作です。 ショウマさんは気に入って使ったみたいですけど」
「それなら今のままが1番なんじゃない? 付けたり外したりをスムーズに出来るようにした方が良いと思うけど」
「そうですね・・・どうすれば良いのやら・・・」
「難しいよね・・・ところで、その透明なキラキラしたの何? 食品保存ラップ?」
「グラフェンですよ。 透明に作ることが出来るようになったんです! 強さ・付加魔法の穴の数は変わって居ませんよ?」
「じゃあ、防具をこれでコーティング出来れば、表面だけだけど再生する防具が出来るって事?」
「そうです。 普段着の下に着ている全身タイツも透明にすることが出来ますよ!」
じゃあ、肌の露出が少ないのが解消される? いや、裏当てがあるから黒い全身タイツから白い全身タイツになるだけか・・・セクシーさが足らないのはいつ改善出来るんだろうな。
そんな事を考えながら、ショウマ君の武器案を話しながら色々話した。
そうしていると、セードルフから晩御飯の準備ができたから、玄関に集まるように言われた・・・まさかの秋バーベキューとかか?
それとも、何か新しい料理かな? この異世界での唯一の娯楽が食事なんだし・・・いや、花街にいけるんじゃないか? 今日なら、もしかしたら行けるんじゃないのか?
あとでリョウタロウさんに聞いてみよ~。