第119話 王都に到着
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次の日の朝、太陽の出る前に起きだし朝食の準備をし始める。
朝食は簡単に済ますため、コロッケパンにするつもりなのでコンロに鍋を掛け油を入れる。
このコロッケは、タダシさんが衣まで付けて凍らして持たせてくれた物で、何かあった時の為多めに40個ほど持たせてくれたが、あと7個となっている。
旧冷蔵庫(冷凍室のほうに氷を入れて、冷蔵室を冷やすタイプ)の食材もほとんどない・・・しかも、パンも少ないし・・・結構ぎりぎりだったなぁ
しみじみ思い出しながら料理を作る・・・昨日の残りのピタサンドが5個残ってるからそれも出すかね。
今考えたら、バスを回収して戻るだけだったはずなのに色々あったなぁ・・・楽しかったけど、皆心配してるかもなぁ。
その後、ケイタ君とショウマ君が起きてきて準備運動だけして、食事をしてもらった・・・が、ベトニアだけ起きてこなかったので起こし食事をしてもらった。
起こしたら、捨てないでください! と大声で叫んで、驚いたが落ち着いたから良しとしよう。
食事も終わり王都に早速出発・・・特に問題もなく走りながら無線で会話をしていると懐かしい声が聞こえてきた。
「皆さん! 無事に帰ってきたんですね! よかった~! 何かあったんじゃないかって捜索隊まで作られるところだったんですよ! 心配させないでください!」
コノミさんの声が無線に響き渡る。
「ごめんごめん、帰ったら説明するけど、ダンジョンの異変調査に行ってて帰ってくるの遅くなっちゃった。 もうすぐ帰るから皆に言っておいて」
「解りました。 ですが、ヨシさんとアヤ師匠から怒られると思いますから覚悟はしておいて下さい」
その言葉に、俺たち3人は顔を見合わせ、帰るのよそうかどうか目で会話をした。
そんなこんなで、すぐに王都に到着し入り口前の列で並んで待っているとき、兵士が前から1人づつ確認しながらやってきた。
「ソメイヨシノの方々ですか? 身分証明書を拝見させていただけませんか?」
「え? はい、いいですよ。 どうぞ・・・あの、この子は私の奴隷なんですけど」
俺達が冒険者ギルドカードを渡すと、軽く確認し返された。
「ソメイヨシノの方の奴隷なのでしたら一応この水晶だけ触っていただいて・・・問題ないですね。 一緒に来ていただいて構いません。 では、こちらについて来て下さい。 フランソワーズ将軍閣下がお待ちです」
「え? あ、はい、解りました」
結局フランソワーズ様が出迎えてくれたのだが用事等ではなく、並ぶのが大変だろうと手を回してくれただけのようだ。
お礼を言うと、公務が途中だったようでフランソワーズ様は早々に戻っていった。
それにしても、商人がかなりの数順番待ちをしている・・・それを門の中で立っている兵士に聞いてみると、新薬の発表があると噂があり、それを求めてこの国に来ているようだとのことだった。
新薬はあるが、数がそんなに用意できたのだろうか? 陛下のことだから心配は要らないが、手伝いをしてお金をもう少しせびっても良いかもしれない。
しっかし、思った以上にお店と農奴の人達の家の工事が進んでるなぁ・・・地盤を綺麗にしてあり、基礎まで出来ている。
この速度なら春位には作り終わるかも知れないな・・・屋敷の周りを見てそう思っていた。
3人で先にLv上げに行こうということになりLvを上げる。【Lv31.Lv30】
結局壁はないようだ・・・壁とは一体なんなのか・・・よく解らない。
現実逃避の考え事をしながら歩くと屋敷に着いてしまった・・・それじゃあ、最大の難敵のヨシさんとアヤコさんに謝りに行こう。
横にいる2人と顔を見合わせ、皆同時に1度頷き屋敷の中に入る。
そこには、笑顔のヨシさんが・・・ダイニングに移動し全員に何をしていたのかを説明した所で、ヨシさんから廊下で正座するようにいわれる。
ベトニアは、アヤコさんが連れて行きお風呂や着替えをするようだ。
「理由は分かったわ。 でも、手紙を冒険者ギルドに依頼するとかいろいろな方法で連絡は出来たと思うのよ。 カナタ君は色々先のことを考えて行動しなきゃ駄目だって言うのが解ってるでしょ?」
ヨシさんが、俺たち3人を正座させてお説教の真っ最中だ。
「今回は成り行きといいますか・・・異変の調査に行かなくちゃ誰かが怪我をしていたわけで・・・」
「それは結果論でしょう? 復興中の村で手紙を出しても良かったと私は思うのだけど?」
「はい・・・おっしゃる通りでございます。 反省しております」
俺が頭を下げると、ケイタ君、ショウマ君も同時に頭を下げる。
その後20分ほどお説教があったが、タダシさんの「もういいだろ」の一言でお仕舞いとなった。
長期間留守にするときは事前に皆に言うこと、緊急の場合は手紙を屋敷に送ること・・・この2つがルールとして入れられる事になった。
というか、ルールって今まであったっけ? まぁいっか。
タダシさんにグルングロッコの肉や岩塩・魚などを渡し、解体場へはリョウタロウさんが行ってくれる事になりお願いした。
そして、色々なところから帰ってきたら顔を出すようにいわれているらしい・・・最初は陛下からの呼び出しだ。
タダシさんからお菓子とお茶のセットを貰い早速王城へ向かう。
道中、家を潰して立て直していたり、露天や屋台などが並んでいたり活気が戻って居ることに驚き、同時に復興が進んでいることに嬉しく思う。
(※ 王都土地は買い取って自分の物になるが、基本的に1年ごとに更新納税をする事を決められている)
王城の端っこの新薬開発所はどうなったのか気になるが、先に陛下に挨拶に行くべきだろう。
「ようやく帰ってきたか! 待ちかねたぞ!」
陛下が執務室のようなところで出迎えてくれた。
というか、俺と2人で会うのって危ないんじゃないの? 用心しないのかな? まぁ、何もする気はないけど。
陛下に今まであったことを話し、お茶と菓子のクッキーを呼んだメイドの人に渡す。
「なるほど、世話になったな。 木札は嫌かもしれないが取っておいて損はないだろう? 絶対に使わなくてはいけない物ではない。 何か困ったことがあった場合、王家を後ろ盾として使ってくれ」
「はい、ご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします」
「よい、新薬も順調に準備できている。 聖女ユカに聞いているか?」
「いえ、まだ詳しく聞いていません。 どのくらいの量を準備なさったのですか?」
「1万ほど準備できている。 しかも、薬師の人数を11人に増やし、ファウストにもう10人の指導をさせているところだ」
「そうなのですか。 このままいけば、世界中で1番有名な街になるかもしれませんね」
「あぁ、復興をと思っていたが街を作りなおさなければならん。 忙しくて堪らんが、嬉しい悲鳴だな」
「そうですね。 門の数も増やす必要もあるかもしれませんね」
「そうなって欲しい物だ・・・突然だが話は本題だ。 カナタよ、街を1から作ってみないか?」
「私がですか?」
「そうだ。 管理等はこちらで代官や領主を用意しよう。 どうだ?」
「いえ、やめておきます。 街を作ってしまうと、いろいろなところに赴いたときに気になってしまうと思いますので」
「やはりそうか・・・では、屋敷を・・・今いる屋敷を褒美として渡そう。 税金も一切取らぬように書面に残しておく。 畑や学校も無償で貸し出すように手続きをしておこう」
「ありがとうございます。 え~、もしかしてですが、表彰の褒美ですか?」
「ああ、他にも色々用意しているが土地についてどうするか意見が割れてな。 本人に直接聞くのが良いという事になったのだ。 そうだ! 先に農奴や15歳以下の者達はすでに、カナタの奴隷になっている。 奴隷商の所で確認をしてくれ」
どうやって俺の奴隷にしたんだろう? あ! 武器防具作ったときに渡した血か~、なるほど。
そのあとも色んなことを話し、表彰のときの段取りも簡単に話した。
執事が屋敷に来て後で段取り等を全員に説明してくれるようで、かなり助かる・・・覚えきれないもん。




