第117話 皆と合流
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結局、並んでいる人全員にオーク肉の焼き鳥・・・焼き豚を配る事になってしまった。
焼き豚を頑張って配っていると、ショウマ君が歩いて来た。
「カナタさん、何をやってるんだ?」
「お帰りショウマ君、成り行きで焼き豚を振舞う事になっちゃって・・・そっちは大丈夫だった?」
「あぁ、大丈夫と言や~、大丈夫なんだが・・・」
「歯切れ悪いね・・・あ、これどうぞ。 何かあったのなら言ってみなよ。 こっちも焼けたのでどうぞ」
「あぁ・・・女は全員助けられたんだが、困ったことに全員家族が殺されていて身寄りがあっても助けてもらう事は出来ないとか何とか・・・」
「そっか~・・・何人ぐらいいるの?」
俺は、ようやく全員に配り終わり、そそくさと片付けをする。
「全部で4人だ。 今はセンレンとイラクサが付いてるから落ち着いてはいるが・・・ケイタも俺もどうすれば良いか困っちまって・・・カナタさん、どうすりゃ良い?」
「おっけ~、その子達に会ってみるよ。 一段落したし、さっさと逃げよう! また集まると困る」
一応兵士の詰め所の中に入り、兵長に後でお金をとりに来ることを伝え、背中に鬼人族の子を背負い、ショウマ君と助けた子の所に行こうとするのだが、兵長が膝を着いてた事についてものすごい聞かれることになってしまう。
出来るだけ簡潔に要点だけを伝えたが、そんなことか~という反応しか返って来なかった。
解決し終わってるから良いんですけどね・・・もうちょっと反応があったら良いのに。
話しながら歩いていたことと、兵士の詰め所のほうに人の流れがあった事により、進むのが大変だったが助けた子の所に着いた。
そこには、土で作ったテーブルのような物が中心にあり、その周りに土の突起が幾つも出て椅子のようになっている。
全員そこで休憩しているようだ。
「ショウマ! カナタさんを無事に見つけられたようですね」
ケイタ君が、土で出来た出っ張りに腰掛けながらこちらを見て言う。
「あぁ、言われた通り人ごみの中心にいたぞ!」
ショウマ君が、頷きながら言う。
「やっぱり見間違いじゃなかったんですね・・・カナタさん、問題は無いですか?」
ここにくる途中にショウマ君に話したことを、ケイタ君にも話すがショウマ君も呼び3人で話す。
ケイタ君は陛下の意図が読めたのか少し苦い顔をしたが、納得したようだ。
話を一段落させ、センレンさん達に話しかける。
「センレンさん、モンジさん、イラクサさん、本当に助かりました。ありがとうございます」
俺は、土の椅子に座っている3人に頭を下げる。
「いえ、私たちは助けてもらったお礼をしただけですし」
センレンさんは手をブンブン振り言う。
「助かったのは事実です。 後で御礼をしますのでちょっと待ってて貰えますか?」
「いえいえ、本当に大丈夫ですから! このナイフのお返しすら出来てませんから!」
「まぁまぁ、お礼に食事くらいは作らせて下さい。 1人に作るのも皆に作るのも同じですし、皆お腹へっているでしょう?」
「待って下さい・・・カナタさんが作るんですか? クランマスターなのに? そんなに強いのに?」
「そうですよ~、調理の心を持ってますから! 作る物はお楽しみって事で」
先程途中になってしまった料理を出し、続きを始める。
隣にモンジさんが来て作業をじっと見ていたので、何かあったのか聞いたところ
「俺、切り刻む風(センレンさんPT名)の料理担当なんです。 でも、腕が伸び悩んでて・・・邪魔はしないので見てて良いですか?」
とのことだ、最終的には料理屋をやるのが夢だと言う事で、調理の心を手に入れるため頑張っているが、何をどうすれば良いのか解らない。
要は、解らないことが何なのかさえ解らない状態らしい・・・ふむ、良い事考えた!
その後、モンジさんの為に焼き鳥のタレ・塩を作り、食べてもらう・・・助けられた4人と切り刻む風の3人が遠慮していたが、匂いにやられ食べてくれた。
食べた瞬間固まり、串を引き抜いて咀嚼をしながら俺達3人以外の全員が涙と鼻水を出していた。
汚いので鼻水をたらさないで欲しい・・・焼き鳥を食べてもらっている最中にピタサンドを作り終えテーブルに持っていき、全員に振る舞う。
「悪くは無いけど、まだまだだね。 60点くらい?」
俺は、ケイタ君とショウマ君に尋ねる。
「美味いと思うぞ? 80点をやっても良いんじゃないか?」
ショウマ君は、もりもり食べながら言う。
「良い出来だと思うんですが、辛味なんかを足したらもっと良いかもしれませんね。75点」
ケイタ君も、食べながら言う。
「はい! すみません! 異常なほど美味しいと思うんですけど、何が駄目なんですか?」
イラクサさんが、手を上げて言う。
イラクサさんって元気っこキャラなのかな? なんか面白いな。
「駄目って言うより、もっと美味しい物をいつも食べてるから、それと比べちゃうってことかな」
首をかしげながら言う。
「待って! 待って下さいよ! これよりも美味しい物? まさかと思いますがドラゴンステーキとかですか?」
モンジさんが手を前に出して驚愕の顔をして言う。
「違うよ、俺達の仲間のタダシさんが作る料理なんだけど、ものすっごく美味しいんだ。 俺は真似出来る気がしない位だね。 王城の料理長が土下座で弟子入りを頼む位の人だしね・・・最近だと一部の人が料理の神とか呼び始めてるよ」
「え? 本当ですか? え? え?」
モンジさんは、パニックになり料理を持ったまま周りをキョロキョロし始めてしまった。
「そう言えば、助け出された4人の女の子達に聞きたいんだけど、行く当てが無いって本当?」
「え? あ! はい! はい、そうです」
4人の女の子で1番年上っぽい犬の獣人の女の子が他の3人に見られ答える。
「うん、了解。 じゃあ、もう1つ質問、読み書き計算はある程度出来る?」
全員に聞いたが読み書きはほぼ完璧、計算は出来る子と出来ない子がいたが特に問題はなさそうだ。
今の所計算はセードルフとミランダが教えているから4人増えても大丈夫だろう・・・お店の店員として働いてもらおう。
「最初に言っておくね。 強制じゃないからいやなときは断ってね? 良いね? えっと、君達4人を俺達のクランで雇いたいと思っています。 働く場所は王都の食堂。 衣食住は提供することを約束します。 どうかな?」
「やります! ぜひやらせて下さい!」
年上の犬の獣人の子がそう言うと、他の3人も雇われてくれるようだ。
「センレンさん、直接依頼があるんですけど良いですか?」
「もい?」
センレンさんは、口いっぱいにピタサンドを頬張りながら返事をしてくれた。
出来れば、口の中が空っぽのときにお願いしたいんですけど・・・食べ終わってからで良いです。
凄い勢いで減ってくなぁ・・・餃子の残りもあるからそれも焼きますか。
モンジさん、質問は食べ終わってから答えますから食べちゃって下さい。
「切り刻む風には彼女達4人の護衛をしながら、王都に来て欲しいんですけどどうですか? ちゃんと報酬もお渡しします」
「不躾な質問ですが、いくらくらいでしょうか?」
センレンさんが、聞いてくる・・・まぁ、気になるよなぁ。
「そうですね~、大銀貨1枚でどうでしょう? もしくは、武器防具の新調しても良いですよ」
多少色を付けといたが、少ないかな?
「あの・・・高すぎませんか? 大銅貨5枚くらいが妥当だと思うんですけど」
「今回の報酬も加えてあるのと、4人に洋服をお願いしたいと思ったので、どうですか?」
「はいはいは~い! 神様の料理を食べてみたいです!」
イラクサさんが手を元気良く上げて言う。
結局、切り刻む風の面々は依頼を受けることになった・・・報酬は後で決めるってことなので大銅貨4枚渡し4人の洋服を買いに行って貰った。
俺は1人で、盗賊の報酬を受け取りに・・・