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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第116話 解決

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 マジックバッグの中から、前に渡された王家の紋章入り木札を取り出して渡す。


「おいおいおい! 本物なのか!? 偽物だとしたら死刑だぞ!?」

 兵長は驚愕の声を上げる。


「フランソワーズ様から直接渡されたので本物だと思いますよ? 王城にも木札では入れましたし」


「解った・・・おい! この木札を照合を行え! 今直ぐにだ!」

 兵長は、他の兵士に怒号を飛ばし木札を大切そうに両手で持ち渡す。


 何で木札を表彰状のように貰ってるんだ? そんなに凄い物だったのか? 紋章が書いてあるとしても、木札だぞ? あとで、どういう事なのか聞くか。

 そんな事を思いながら、盗賊風の男と魔術師風の男を見る。 2人ともポカンとして、何が何だか分からないようだった。

 うん、出した本人の俺が1番解ってないから・・・と2人に心で話しかけておいた。


 すぐに木札を持った兵士がきたが、持ち方がものすごく変だ。

 胸の高さに両手を上げ、手のひらを上にしてその上に木札を乗せている・・・要は、神への供物を持ってくるような感じと言えば言いのかな? 木札を兵長に渡し、ボソボソ話しかける。

 兵長も同じ格好をしながら俺に近づくと、膝を地面に着き手を上に上げ頭を下げて渡してくる。


「本物でございます。 今までの無礼を平にご容赦いただけませんでしょうか」

 兵長や兵士達が、俺に向かって膝をおる。


「いや、別に良いんですけど。 この木札について説明してもらって良いですか?」


「はい、その木札は王家の縁者にのみ渡されるトレントの木札に御座います。 縁者以外に持っているお方もいますが、王家の縁者として扱うように言い渡されている次第でして・・・」


 ん? 何でそんなに重要な物をポッと出の俺達に渡したままにしたんだ?

 大将軍様の病気が治ったら即回収した方が良かっただろうに・・・あれ? そうか! なんとなく陛下の考えが解ったぞ。

 簡単な考えだが、たぶん子供のころにやった「唾付けた」のようなものなんだろう。

 こいつらは俺が先に見つけたからお前らは手を出すなよ! こいつらは俺の物だから! そんな感じなのだろうな・・・

 しかも、俺たちのことを上手く使おうとか全く思っていない、フランソワーズ様から渡されたのが1番たちが悪い。

 まぁ、渡してから陛下が知ったとみるのが妥当だろうが、回収しなかったのは陛下の入れ知恵だろう。


 渡されたら平民の俺達は受け取らないと、陛下を侮辱したと見られるだろうから受け取るしかないんだろうが・・・

 帰ったら陛下に文句の一言でも言うか! 物の価値を調べなかった俺も悪いんだから一言だけね。

 喋り方も流れに乗って少しだけ偉い人風の感じにするかな・・・出来るか解らないけど。


「あぁ、じゃあ無罪放免で良いのかな?」


「はっ、もちろんでございます。 王家の縁者様が、嘘をつく訳ございません!」

 兵長が、片膝を着き頭を下げたまま言う。


「あ~、出来れば普通の冒険者として接して欲しい。 ここの兵士達に迷惑がかかれば本末転倒だ」


「はい、畏まりました。 して、この者共は死刑でよろしいでしょうか?」


「いや、迷惑料として金を貰うのが良いだろう。 そうだな、王家に泥を塗ろうとしたんだからいくらが妥当なのか私でも分からん。 そして、金が出せないと言うなら奴隷として売るのが良いと思う。 その金は、税金や寄付として処理しておいてくれ。 ただし、外の奴隷達のお金はちゃんと貰うぞ。 外の奴隷の値段は色等を付けずに正規の値段にしてもらいたい、良いかな?」


「はい、畏まりました。 すぐに用意いたします。 さぁ、お前ら! ぼさっとせずに動け!」

 兵長は立ち上がり、周りで膝を着いてる兵士達に激を飛ばす。


「皆の働きに感謝する。 背中に背負っているこの子を寝かせといてくれると助かる。 起きたら私を呼んでくれ。 そして、仲間が帰ってくる前に、料理をしようと思うのだが、外で作ってもかまわないかな?」


「はっ、特に問題はありません。 ご自由にお使い下さい」


「ありがとう。 では、外で料理を作っているので何かあれば声をかけてくれ」


 外に出る前に、盗賊風の男と魔術師風の男に近づき、肩に手を置いて

「残念だったね。 君達2人は立派な奴隷になってくれたまえ」

 と言っておいた・・・泣きながら命乞いをしていたが、無視をして外に出る。


 さて、作る物を考えるか・・・何か良い物あるかな? パンは・・・10個も無いし・・・今から作るのは無理・・・タコスとかかな? いや、ピタサンドにしよう!

 生地はタコスで1度作ったものの代用で良いだろう、強力粉と薄力粉と・・・酵母っているのかな? まぁ少し入れとくか、後は室温くらいの水を入れて捏ねて、おいて置く。

 10分くらいだったよね? その間に野菜を切りボウルに入れ仕舞っておく・・・あれ? そう言えば兵士の人数ってどんなもん? まぁいっか、多く作っておけばなんとでもなるだろう。


 グルングロッコの肉も出来るだけ均一の大きさに切っておく、肉の凸凹があるなら出っ張ってる部分を開くように切り出来るだけ厚みは同じ位にし、仕舞う。

 生地が出来たようなので円形にして伸ばす。 それをフライパンで両面焼き、半分に切り野菜などを詰めやすいように生地を開く・・・結構良い出来。

 生地が出来たら、肉を炭火で焼いていく・・・タレを何度か絡めて、焼いているので焼き鳥独特の良い匂いがしてくる。

 その匂いにつられて、商人や冒険者達が集まって来てしまった・・・あれ? どうしよう・・・


「すみません、その肉いくらですか?」

 人族の男の商人っぽい人が話しかけてくる。


「これ売り物じゃなくてPTメンバーの食事なんです。 すみません」


「そうなんですか・・・物凄い良い匂いですし、手際も素晴らしいですね。 どこかの料理人だったとかでしょうか?」


「いえ、私は料理人ではなくて一介の冒険者ですよ。 料理は王都のいる時に習っただけで・・・」


「そうなんですか・・・いや~、それにしても素晴らしい手際・・・」


 話し長いな・・・1口味見すれば満足して立ち去ってくれるかな? やってみよう。


「あの~・・・少し待っててもらえれば、味見程度の物は作れますよ。 時間がかかりますけど」


「そうなんですか! じゃあお願いします! ここで待ってますので」


「はい、解りました」


 今気が付いたんだけど、グルングロッコを解体すると騒がれそうだな・・・じゃあ、オークで良いかな?

 焼き鳥じゃなく焼き豚でも大丈夫でしょ。

 この世界の屋台と定食屋は本当に酷いからなぁ・・・いつのか解らない肉・野菜、カビや汚れが凄いキッチン、手等も洗わない衛生管理・・・潔癖症ではないけど、それを見たら食べれなくなっちゃったんだよねぇ。

 そんな事を考えながら、オークの解体をする・・・なんとなくだけど、解体上手くなった? もしかしてギフト覚えられたのかな?

 木の串に一口大より少し大きい肉を刺して炭火で焼き、焼き鳥のタレに付けて焼いていく。


「この浸けてる黒い液って何ですか?」

 さっきの商人は、タレの入った壷を指差して言う。


「これは私の故郷の調味料です。 お肉を焼くときに絡めて焼くと美味しいですよ!」


「へぇ~、そうなんですか~」


「焼きあがりましたね。 焼き豚です! っとその前に、お願いがあるんですけど良いですか?」


「変な願い出なければ良いですよ?」


「簡単なことです。 王都で料理屋を開く予定なので、美味しかったら宣伝もかねて王都に来て下さいね」


「そんな事ですか・・・もちろん、喜んで・・・しかし! 美味しかったらですよ?」


「それはもちろん! では、どうぞ」


 商人は受け取ると、一口で食べる・・・そこで、商人の動きが止まってしまった。

 あれ? おかしいな・・・フランソワーズ様だとものすごい喜ぶところなんだけど・・・

 そう思っていると、商人は天を仰ぎ涙を流し、地面に膝から崩れ落ちてしまった。


「あの~、大丈夫ですか? もしも~し」


「いきなりで申し訳ありません! その調味料をお譲り頂くわけにはいかないでしょうか? 金額は金貨1枚・・・いえ3枚出します! どうか! お願いいたします」

 商人は、いきなり土下座をするとそう叫び始めた。


「あの、王都で料理屋開く予定なので、そこにいって頂きたいのですが」


「そうでした! 荷物を纏め王都に向かいます! そこで会いましょう!」

 商人はそう言うと走っていってしまった。


 えっと、なんか行列できてるんだけど・・・どうすんのこれ・・・

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