第113話 盗賊との遭遇
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買い物は、食材と鉄や鉛、銀、アルミなどの鉱物、良く解らないが使用不明で格安で置いてあった魔道具など様々な物を買った。
武器や防具なども見たが、能力がついた剣や魔剣はどれも高く必要度も低いため止めておいた。
買い物中に2人と会ったので、そのまま門に向かっていく。
門のある場所に近づくと、兵士が道の左右にたくさんおり物々しい雰囲気だった。
何だろう? 何かがあったのかな? また魔物でも出たとか?
そう考えながら門に近づくと、隊長の号令と共に兵士達が俺達に向かって剣礼をする。
「何だ? 偉いやつでもくるのか?」
ショウマ君がキョロキョロし首をかしげる
「僕達に対してって事ではないんでしょうか?」
ケイタ君が、メガネをクイッと上げる
「でも、なんか怖いね。 武器を持ってるガタイのいい兵士が両脇にいると」
「そうか? なんか偉くなった気分だな」
ショウマ君が笑う
その奥には、領主様一家と殿下、オルトウス様が立っていた。
「ソメイヨシノの方々! 大変世話になりました! 何かあればいつでも言ってくだされ」
領主様が頭を下げ、代表して言ってくれた。
そう言えば、領主様の名前・・・何だっけ? 聞いたっけ? 聞いてなかったっけ? よし! 呼ぶときは領主様に統一すれば大丈夫なはずだ!
「ありがとうございます。 我々も貴重な経験をさせていただきました。 また美味しい物を持ってまいります」
「はい、感謝します。 では、いつでも我が領地へお越し下さい」
最後まで腰の低い領主様だったな・・・影が薄くてあまり話さなかったけど、今度来た時は話せればいいな。
あ! そう言えば、ギルドカードの更新しなかったなぁ・・・まぁいつでも来れるから良いか。
3人とも兜や鎧などを確認してから門を出て、本気で走り始める。
「時間を買い物とかで消費しちゃったから、急いで行こう! 魔物は無視しよう」
「おう!」 「解りました」
2人から了承の返事が来る。
しばらく走ると、ケイタ君が叫ぶ!
「カナタさん! あっちに盗賊だと思われる集団がいます! 人が人を囲んで・・・ちっ! 今、1人殺されました。 どうしますか?」
ケイタ君が顔を歪め言う。
「おい! さっさと助けに行くぞ!」
ショウマ君が、叫ぶと走って行ってしまった。
「そうだね。 ケイタ君も助けたかったんでしょう? 無理しないで助けに行きたいって言って良いんだよ?」
「そうですね。すみません、すぐに行きましょう!」
ケイタ君もショウマ君を追って走り出す。
そして、置いていかれる俺! やっぱり2人の走りは異常だな・・・・ぜんぜん追い付ける気がしないよ。
2人に追いつくと、20人ほどの盗賊たちは倒されていた。 もちろん殺した訳ではなく、全員気絶していた。
しかし、襲われていた商人と思われる人は死に、護衛の冒険者3人と馬も数匹死んでいた。
「カナタさん! この子だけ、命があります! お願いします!」
そこには、奴隷の首輪を付けた角の生えた女の子? いや、男の子? え? まさかの男の娘・・・か? いやいや、それどころじゃないだろう!
お腹に刺さったナイフの所にポーションを垂らしながら、ナイフをゆっくり抜いていきそのスピードにあわせて回復魔法も使う。
これってある意味、ジョ〇の奇妙な冒険の肉〇芽を取ってるところを思い出すな・・・じゃなくって! 集中しなきゃ駄目だろ!
無事にナイフを抜く事に成功するが、臓器にナイフが刺さっていた場合は助からないだろう。
臓器の修復が出来ても、臓器の中に入っていた物がお腹の内側に広がって炎症など様々な事が起こりえる。
ここまで来たら、無事を祈るしかないな・・・
「傷は塞いだよ。 ただ、助かるかどうかは運次第だね」
「そうか! 苦しんでる顔じゃなくなったんだから大丈夫じゃねぇか?」
ショウマ君が、頷きながら言う。
「そうですね、早めに街に向かった方が良いと思います」
ケイタ君が、ほっとした表情で言う。
「いや、待って! 本拠地から根こそぎ倒さないと駄目でしょ? 喋ってもらおうよ」
そう言うと、3人で盗賊たちを全員縛り上げ、水を掛けて起こしていく。
全員起こしたところで、1人の盗賊に話しかける。
「さて、本拠地もしくは塒はどこかな? 素直に喋ってもらえると嬉しいけど」
「さっさと兵士にでも突き出しやがれ! 俺はしゃべらねぇぞ!」
盗賊は、ビクビクしながら答える。
「そっか~、見せしめが必要なのかな?」
「しらねぇって言ってんだろ! 俺は何も知らない!」
「あ~そっか~この中で頭領とかいれば、その人が知ってるはずだよね? 大丈夫、ちゃんと他の人にも聞くよ? これだけ人数いるんだから、数人がいなくなっても仕方がないよね? あと俺達は、嘘つきが本当に嫌いなんだよね・・・でも、俺達がどのくらいの強さなのか分からなければ言いにくいかな? じゃあ、空を見上げて」
そう言うと、爆発の魔法を空中に発動する・・・簡単に言うと、花火を2・3発打ち上げる。
折角だから、花火を練習しようと思って発動したんだが、大きな音と光で盗賊たちが涙を流しながら震えだす。
「さて、皆さん! 正直に頭領もしくは1番偉い人の事を見て下さい! 嘘ついた方は、体が燃える痛みを何度も味わって貰いますよ? 回復魔法も使えるのでね」
1人の人族の男を全員が見る、その男は下をむき地面を見ていた。
うんうん、皆素直だね。
「さて、頭領。 ここに居ない人数と塒の場所を教えてもらえないかな?」
「頼む、見逃してくれ! これからは真っ当に働く! 頼む!」
「黙れ! 聞いた事だけに答えろ!」
そう言うと、二の腕に奴隷の子に刺さっていたナイフを刺し、すぐに抜き回復魔法をかける。
「もう1度聞くけど、ちゃんと喋れよ? いいな?」
「はい、すみません・・・塒はその奥にある森の中に洞窟を掘って作りました。 残している人数は5人です」
「よろしい! ケイタ君! ショウマ君! 行って来て貰える? ロープと梯子渡すから、出来る限り持って帰って来てね」
「おう」 「はい」
2人は元気良く走って行く。
2人が帰ってくる前に商人の馬車の修復と荷物をマジックバッグの中に入れて、あとは、落ちてる盗賊たちの武器とかは全部回収して、盗賊たちの隠し武器とかも警戒しといた方が良いか。
マジックバッグから、枝を落としてない木を取り出し根の方を少し削り尖らせ地面に突き刺す・・・盗賊たちが下をむいて益々震えだした。
1本のロープで盗賊たちを縛り上げていたので、突き刺した木にロープを結ぶ・・・その時、一人一人に、隠し武器が無いか尋ねる。
ちゃんと言わないと思ったのだが、予想に反して素直にどこに何があるか答えてくれた。
その後、馬車の中の荷物をしまい、馬車を見る・・・車軸というよりも車軸の受け側が折れてる。
これなら作っちゃった方が早いか・・・それともバスを使う? いや、駄目だな
となると、作るしかないよな・・・そんな事を考えて馬車もしまう。
盗賊全員乗せるから、おおまかな形は檻で良いな。
あとは、車輪とベアリングだな・・・ボールベアリングはすぐには作れないし・・・うん、決めた足回りは鉄で、ベアリングは木にしよう魔糸の布で包めば強度も大丈夫だろう。
鉄で枠組みだけ作り、つり橋を足元に敷き横はロープをぐるぐる巻きにし天井も同じようにする。
馬車ではなく、車輪は左右に1つづつで手で引くタイプの荷車が完成し、動かしてみると・・・結構重いが一応動く。
ベアリングの魔糸が美味く滑らないようだ・・・仕方がないので取り、車輪の全周に魔糸の布を付け衝撃吸収を付加魔法で掛ける。
急いで走らすと、ベアリングの木が摩擦で燃えそうな気がするが気を付ければ大丈夫だろう。
盗賊たちを縛ったまま中に入れ、少年? の容態を見る・・・顔色が悪いが、ただ寝てるだけに見える。
よし、大丈夫そうだな、軽く回復魔法もかけておこう。
それにしても2人が帰ってこない・・・何かトラブルでもあったのかな?