第110話 手合わせ、決着
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今回はいい勝負だったな、色々策をめぐらすケイタ君がショウマ君に真っ向勝負!
自分のギフトを考えた末の戦い方だろう・・・危なっかしくもあるけど。
しかも、あのショウマ君が1度引き、体勢を立て直すとは・・・その後1撃で終わるとは思わなかったが。
ケイタ君は、それほどダメージは無く体に付いたほこりを払い準備運動をしている。
負けても切り替えが早いな。 最初のころは負けると悔しさや怒りを次の試合にまで持ち込んで、あっさり負けたりしてたからなぁ。 成長したってことだろう
そんな事を考えていると、ソテツさんに両肩をガッとつかまれ正面に向かされる
「カナタ殿! 何です! あれは一体何なんですか! どうすればあそこまで! あのお二人のようになれるのですか!」
涙をためて興奮しながら、ソテツさんが聞いてくる
カナタ殿って何さ・・・しかも、お二人って・・・何だ? ものすごい怖い・・・顔も近いのでやめて下さい
「落ち着いて下さい! うちのクランの近接戦闘のエキスパートですよ。 勝ったショウマ君は皆に体捌きなどを教えている立場にありますし」
「なんと! あの若さで師であられますか・・・私も是非クランに入れていただけませんか?」
「ソテツ隊長! 何をおっしゃっているのですか! 貴方が抜けたら誰が兵を導くのですか!」
ヒレザンさんが、隊長に向って怒鳴る。
そうだそうだ! 言ってやってくれ!
「私が弟子入りをして来ます! 免許皆伝まで覚えた暁には、ここに戻るとお約束します!
あんたもか! あれ? この流れってどこかで・・・いや、2人が抜けたら大変な事になる。 止めなくちゃ。
「2人とも待って下さい! 立場がある身だと言う事を忘れないでください! オルトウス様に良いと言われない限り教えません!」
2人は驚愕の表情をして「強くなりたい」と呟いていた・・・あんな戦いを見せられたらあこがれるよなぁ。
チラッとカルジャスさん達を見ると、へたり込んで座ってワナワナしていた。 うん、今声掛けるのはめんどくさそうだな、後で声かけよう。
「さて、休憩も終わったようですよ。第2試合も面白いのでじっくり見て下さいね」
「はい、参考にさせてもらいます」
ソテツさんとヒレザンさんが敬礼をする。
「準備が出来たようだから第2試合始めるよ?」
「おう!」 「はい」
2人から返事が返ってくる
「第2試合は、魔法および遠距離攻撃のみでの戦闘! 開始!」
まず最初に動いたのはショウマ君、ストーンアローを出しケイタ君に放つが特に苦も無く避けられる。
ケイタ君は建物の陰に入り、何かをしているようだ。 何か仕掛けでもするのかな?
ショウマ君が、ケイタ君を追いかけて行くと地面から槍が出てくる。 思った通りショウマ君がジャンプして避ける・・・と、姿が消える。
あぁ・・・王道の落とし穴に嵌ったな。
近くに行くとショウマ君が案の定落とし穴に嵌っていた。 解りやすいな・・・
「勝者ケイタ君! ショウマ君、這い上がってこれる?」
「ああ、大丈夫だ! 地面がそのままに見えたとしても危ない可能性があるってのは分かってたはずなんだが」
ショウマ君が、立ち上がって手を振って答える
第2試合はやっぱりケイタ君の方が強いんだよねぇ、ショウマ君は良い意味でも悪い意味でも真っ直ぐだからな。 攻撃の中にフェイントとかは入れられるのに、行動が単純なところはいくら注意しても、まだ直らないんだよねぇ。
魔法の事は、観覧者3人にそれほどバレなかったからいいかな。
隣の3人をよく観察して見るが、何が起こったのかよく分かっていないような感じだ。
「大きな怪我とかしてないようだし、第3試合をするよ? 元の場所に戻って」
全員同じ位置まで戻ると、ケイタ君とショウマ君が向かい合い構える
「では、第3試合何でもあり! 試合開始!」
ショウマ君は真っ直ぐにケイタ君に突っ込んで行く、ケイタ君は土の壁を作り出し後ろに飛ぶ。
ショウマ君は、土の壁を殴って壊しその瓦礫を殴ったり蹴ったりしてケイタ君に飛ばす。
ケイタ君は、ショウマ君を中心に時計回りに走り避けながら、ナイフや針を投げる。
ショウマ君は、篭手や武器でナイフなどを撃ち落とすと、風の刃を放ちケイタ君に向けて走り出す。
ケイタ君は立ち止まりショウマ君が走ってくる方向に土の槍を放ち、ストーンアローを作り出し手に持つ。
ショウマ君は、土の槍の上にジャンプして乗り足場にしてケイタ君に向ってジャンプする。
ケイタ君は、空中にいるショウマ君に向けて先程作ったストーンアローを投げる。
ショウマ君は空中でストーンアローをたたき落とし、勢いを落とさずにケイタ君に迫ろうとするが、ストーンアローのすぐ後ろに、ウィンドボールが数個ある事に気が付いた。
これは、ケイタ君の勝ちかな? 流石に体制的に避ける事は出来ないし、防御にも手数が足らないだろう。
しかし、ショウマ君は自分自身に風の玉を当ててギリギリでかわし、ケイタ君の直ぐ近くに降り立つと超接近戦を仕掛ける。
第1試合のように、2人とも避け受け流し、受け止め虚実を織り交ぜ攻撃を繰り出している。
ショウマ君が、力を込めたテレフォンパンチを繰り出すとケイタ君が余裕を持って避ける。
いつもならあんなテレフォンパンチなんて繰り出さないのに何があったんだ?
そう考えていると、パンチをよけたケイタ君が吹き飛んでいった。 パンチに隠れてウィンドボールを同時に放ったのか・・・お返しって感じなのかな?
「勝者ショウマ君! 2人ともかなり良い戦いだったよ!」
「おう! 見えないところに見えにくい攻撃を隠すって言うのは勉強になった。 ありがとうございました、ケイタ・・・さん」
ショウマ君が、ケイタ君に向って頭を下げる
「負けたのは悔しいですが、こちらも色々と勉強になりました。 ショウマく・・・いえ、ショウマ、僕の事もケイタと呼んで下さい。 これからは対等な関係でよろしくお願いします」
ケイタ君は、兜を取りショウマ君に近づき握手を求めるように右手を出す。
「おう! こちらこそよろしくお願いする! ケイタ!」
2人はがっちりと握手して笑っている・・・青春だねぇ~。
「ただ・・・第1試合で使った技? ですか? 教えてもらえるんですよね? 急に大きくなったかと思ったら攻撃をくらっていたので何をされたのか分からなかったんですから」
「おう! ちゃんと教えるさ! しかし、隊長達は何で泣いてるんだ?」
え? 横を見るとソテツさんとヒレザンさんが拍手をしながら涙を流していた。 いや、怖いんですけど、何かあったんですか?
カルジャスさんは、いまだにへたりこんだままで、隊の他の人は・・・水溜り? いや、見なかったことにしよう!
「2人の戦いを見て、感動したようだよ。 そうだ! ショウマ君は、ソテツさんとヒレザンさんとカルジャスさんに稽古を付けて上げられない?」
「何だかわからねぇが、3人に稽古付けりゃいいんだろ? 身体強化はしていいのか?」
「うん、王都では、完全にバレてるしいいんじゃない? あと、何か食べたいものある?」
「そうだな。 ラーメンは作れるか?」
「卵が無いから、ラーメン風うどんしか出来ないかな」
「じゃあ、それと餃子を頼んでいいか? 出来れば全員分」
「いいよ、じゃあ俺とケイタ君はお屋敷の厨房を借りて作ってるから、後は任せたよ~」
「おう! みっちり鍛えといてやる」
その後、オークの解体を頼みケイタ君に包丁でひき肉にして貰ってる時に、うどんを捏ねて茹でておく。
とんこつスープを凍らせて、ひき肉、キャベツ、ニラ、ニンニク、生姜のすりおろしの餃子のオーソドックスなタネと大葉やチーズを入れたタネを作り。
ギョーザの皮で包む・・・が、上手く包めるのが俺しかいない・・・まぁ難しいよねぇ
折角なので、鉄板をホットプレートのようにして、夕食は皆で餃子パーティかな