第106話 ボス部屋
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「カナタさん、ゴブリンをここに置いておきますね」
ケイタ君が俺の後ろにゴブリンを置いて行く
「ありがとう、1本食べる? 焼き立てだよ」
焼いていた串を1本持ち上げながら言う
「あ、いただきます。 美味しそうですね」
ケイタ君が串を受け取り食べ始める
「これはショウマ君に持って行ってあげて」
「了解しました。 またゴブリンを持ってきますね」
「うん、よろしくね」
その後、焼き鳥のタレと塩をどんどん焼き2人に持っていく・・・タレは味醂が無いとタダシさんが嘆いてたっけなぁ・・・そんな事を考えながら合間に俺も食べる。
やっぱり、美味しいな~ただ焼いただけなのに味が濃いって言うかなんというか。
肉は凍らせると味が落ちるってタダシさんが言ってから、狩ったばかりだとどれほど美味しいんだろう。
今度探して狩ってみてもいいかもしれないな。
ゴブリンが一段落したのか通路に来なくなった・・・ちょうど焼き鳥も一段落し、出発する事に。
炭壷って便利だな、火が付いたままの炭が入れられマジックバッグにしまえるんだもんな・・・取り出し時火傷に注意が必要だけど。
「よし、じゃあケイタ君、ショウマ君行こうか」
「おう」 「はい」
2人は同時に返事をする
ゴブリンを多く倒したからだろう、移動中にゴブリンに全く出会わない。
そう言えばリポップってどの位なんだろう? そんな事を考えながら進んだが、敵に全く会わずに岩塩の採掘場所に到着する。
「敵は狩りつくしちゃったのかな? まぁいっか、適当に掘って持ってきてみて、塩は多くても困らないしね」
そう言うと、2人は思い思いの掘り方でこちらに岩塩を持ってくる。 試しに岩塩を削り舐めてみる
あれ? 今までの塩とちょっと違う、断然こっちのほうが美味しい。 ミネラル分が多いのか? 何でだろう? 折角だし、取れるだけ取ろう!
「この岩塩美味しいよ! いいお土産が出来たね! 取れるだけ取っちゃおう」
これは、バーベキュー用品の所で売ってた岩塩プレートを作ってもいいかも・・・いや、出来るか解らないけど作って持って帰ろう! タダシさんなら何とかしてくれるだろ!
出来るだけ綺麗なところを選びプレート状に切り出してマジックバッグにしまう
「それじゃあ2人とも攻略に向かいましょうか!」
「おう! 待ってたぜ! ボスと対決だな!」
ショウマ君は拳を握り笑いながら言う
「了解です。 ここのボスはゴブリンキングとジェネラルのはずですが、異変が見当たらないので用心するに越したことは無いと思います」
ケイタ君は、腕を組み言う
「うん、そうだね! じゃあ出発しよう!」
ボスの部屋に向けて進むが、ゴブリンはまだ出てこない。 リポップはまだなのかな? 結構時間が経ってるけど
色々考えてるうちにボス部屋の前に到着する。 入口と同じような重厚な観音開きの鉄の扉がある
道順が違ってないとなると地図が変わってるわけじゃないってことかな
う~ん結局異変ってなんだったんだ? ぜんぜん解らないな
「ケイタ君、ショウマ君、入り口の扉と同じように開けるよ、いいね? 異変が何なのか本当に解らなかったから気を抜かないようにね」
「おう!」 「はい!」
2人が同時に返事をする
扉を開ける・・・そこは本当にただただ広い空間が広がっている
それにしてもだだっ広いな・・・・草は少しだけ生えてるが木などはぜんぜん生えていない岩石砂漠か?
しっかし、このダンジョンにはここまで大きいフリーフィールドは無かったはずなんだよな?
やっぱりそうだ! ボス部屋はキングと側近のみの謁見の間の様な形だと、地図に書いてある
これが異変なんだろうな・・・いやな予感がする・・・何があっても対応出来る様に、気を引き締めないと
そんな事を考えてると後ろの鉄の扉が自動で閉り、扉が消えていく・・・これが、逃げられないってやつなのかな?
「敵が正面からお出ましのようです。 数は約2万ほどです」
ケイタ君が前を指差しながら言う
「え? 2万って・・・」
「軍隊を相手にするのか! 面白そうだな!」
ショウマ君が笑いながら言う
とりあえず武器をワイバーンの剣に替えとかなきゃな・・・それにしても、ボスは何がいるんだ? ゴブリンの軍隊って・・・
槍と盾を持ち綺麗なフルプレートを着た者達(顔も体も見えない)、その後ろに弓を持ち革鎧を着ているゴブリンアーチャー達、その後ろには杖とローブのゴブリンメイジたち、その奥にはハーフプレートを着たゴブリンライダーの姿も見える。
それが、ゆっくりと進んでくる・・・映画のワンシーンの様に見える・・・こりゃぁ圧倒されるな。
角笛の様な音が聞こえたかと思うと、少しはなれた場所で軍隊は急に停止する。
1人のゴブリンライダーが軍隊より出てきて、紙を開き片言の言葉で言う
「お前! 良く来た! 降伏か! 戦闘か! 言え!」
ゴブリンはそう言うと、立って返答を待っているようだ
言葉を片言でも話せるだけでも凄いのに、ゴブリンの兵士達は1人も微動だにしていないように見える・・・練度も申し分ないのだろう
「カナタさん、言葉を話せるゴブリンですよ・・・どうしますか?」
ケイタ君が無線で聞いてくる
「話が出来るか聞いてみるよ、無理だったら戦闘だね」
「はい、解りました。 情報を集めるためにも、対話が出来ればいいんですが・・・」
俺もそう思うよ・・・そして、数がいるってだけで恐怖がわいてくるから戦闘したくは無いな
「対話をしたいが、それは出来ないか?」
「降伏か! 戦闘か! 言え!」
ゴブリンは、大声で叫ぶ
やはり対話は無理か・・・この人数差で戦うのって馬鹿げてるよなぁ
しかし、やるしかないか・・・
「戦闘を申し込む!」
そういった瞬間、ゴブリンたちは一様に咆哮を上げる
「解った! 戦闘を!」
そう言うとゴブリンが軍隊の中に消えていった
さて、敵が行軍を開始する前にワイバーンの魔剣が効くのか試すか!
「風の斬撃を飛ばしてみるね! 2人ともいい?」
「おう!」 「はい!」
2人が同時に返事をする
じゃあ、戦闘開始しますか! ちょっと不意打ち気味だけど!
魔剣に魔力を込め、ど真ん中に向けて斬撃を飛ばす
ゴブリン達は、盾を前に出して密集陣形をとるが、抵抗むなしく斬撃に触れた者は切り飛ばされる
魔剣すげぇ! 圧倒的だな!
そう思ったとき、斬撃が上に向かって軌道を変更し始めた
これは、ゴブリンメイジによる風の壁かな? でも、風の斬撃が効く事が解った。 よし、これなら何とかなる
「ケイタ君右から、ショウマ君左から、俺は真ん中で戦闘しよう! 死体回収はしなくていいからね!」
「おう!」 「はい!」
「じゃあ! 戦闘開始!」
敵の動きは、3つに分かれ各個撃破を狙っている様に見える
これで、仲間に当たる心配は無いな
そんな事を考えてると矢と火の玉が雨の様に降ってくる
風を纏った鎧に当たるわけが無いが、火の玉は燃え広がると厄介だな、押し返すか
風の壁と魔剣と鎧の風で、矢と火の玉をすべて押し返していると、右側からゴブリンライダーが隊列を組んで走ってくる
予想されてたのか・・・しかし! もう1つ魔法が使える俺には無意味だ
ウィンドカッターで先頭の狼達を切ると、その後ろを走っていたゴブリンたちが躓き転ぶ
もっと後方のゴブリン達は左右に避け、こちらにもう1度突っ込んでくる
しかし、俺はそのわずかな時間で、矢と魔法を全部押し返すことに成功していた
矢と火の玉を物ともせずに突っ込んできたのは褒めたいが、無意味に終わったね! じゃあ、さようなら!
そう考えると、魔剣で風の刃を飛ばしゴブリンライダーを壊滅させる
本隊の方は矢と魔法で瓦解しかけている・・・俺達の強さは、本当に異常だな
さて、時間が勿体無いから終わらせてもらおうか!