第103話 迷宮に向けての話し合い
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殿下が料理しているところをみて見たいと言う事で、キッチンではなく食堂で料理をする
最初に鉄鍋を取り出し、水に骨を入れて沸騰させる
灰汁取りは、料理長が立候補してくれたから、ちらちら見ながらアドバイスしてやってもらった
その出汁が出たお湯にお肉・生姜の細切り・ニンニクの摩り下ろしを入れて火にかける
出汁を効かせた水炊き? 出汁炊き? のままでもいいが、折角なので昆布とシイタケが浸かった醤油と、味噌で味付けをしていく
火が軽く通ったら肉を煮た鍋のスープを野菜を並べた大きいすき焼き用の鍋に移す・・・かなり大雑把な男の料理だが、まぁいいだろう
でっかい鍋で作っているから、なんとなく鍋ではなく汁物作ってるかんじだな
その間に、ソースを取り出しスプーンを入れてテーブルに持っていって貰い、普通より小さい1口サイズ位のコロッケを揚げて直ぐに出す
やっぱり揚げたてが1番おいしいもんね! 殿下とオルトウス様一家のエスコートはケイタ君とショウマ君に任せよう
一応、まだまだ出す予定だから一杯食べないように釘を刺しておく
さて、次はトンカツかな? そんな事を考えていると
「美味しい! これはなんだい? 初めて食べるよ!」
「これは手紙に書いてあった物ではないか?」
殿下やオルトウス様や家族の方が驚きの声を上げて、ショウマ君やケイタ君に細かく質問している
この光景を見ると、作る側で良かったかも・・・
「すまんカナタ殿、後で俺にも作ってもらえないか?」
料理長は、こっそりとこちらに言う
「手伝ってもらってるんですし、いいですよ」
「本当か! いや、ありがとう! 楽しみだ!」
小さいトンカツを揚げて、キャベツの千切りの隣において出す・・・その時にロールパンも出してカツサンドの説明をする
もしかすると、これだけでお腹一杯になるかもしれないなぁ・・・大丈夫か?
そんな事を考えながら鍋を見る・・・かなりいい出来だな
1つ1つ器に分けて皆に出すと、俺も食事をし始める・・・片付けは後でいいだろ
「カナタ殿! どれもこれも美味いな!」
殿下が、興奮気味に立ち上がりながら言う
「それは良かった、私の料理は王都にいるタダシさん、ヨシさんにはまったく敵いません
王都の表彰式にタダシさんの料理が出るはずですので、楽しみにして下さい」
「何!? そんなにか? これは楽しみだ! 今まで城では勉強ばかりで楽しみが無かった・・・
しかし! このように美味い物が食えるのであれば、帰郷も楽しみと言うもの!」
「はい、楽しみにしていて下さい」
というか、うどんも食べられるのか? これだけ一杯食べてお腹壊さないでいただきたいなぁ
その後、迷宮の情報を聞きながら楽しく食事をした。
料理のお礼に泊まっていくことになった・・・ラッキーだね!
俺達3人以外が食べすぎで、まったく動けなくなってしまい、皆を移動させるときメイドさんや執事さんに迷惑をかけた
そう言えばカルジャスさんはいつ来るんだろう?
オルトウス様にカルジャスさんが来たら呼んでもらえるように言い、調理室で料理長のための料理を作り渡しておき、俺達にあてがわれた客室に戻る
「2人ともただいま、ふぅ・・・疲れた」
「「おかえり(なさい)」」
2人はハモリながら言う
本当に2人は仲がいいな・・・もう少し踏み込んでいければ最強のコンビになると思うんだけどな・・・まぁ今は無理かな
「カナタさん、明日の朝1番に塩の迷宮に入るんですよね? カナタさんの武器はどうするんですか?」
「あぁ・・・そっか~、取り回しのいい武器持ってないんだよねぇ」
「僕のロングソード1本使いますか?」
「いや、ケイタ君にしか使えないのは解ってるでしょ? 能力が使えなきゃただの切れ味のいい剣なんだからさ。
それなら、今から削りだして作っても同じ位の物ができると思う・・・まぁナイフが2本あるしそれを使うよ」
「解りました。 サブとしてグルングロッコのナイフを作っておきますか?」
「そうだね! 折角だし上位種の羽根で作っておこうか・・・予備のナイフとしても使えるから数本作ったほうがいいかな?」
魔物を取り出し羽根を数本ナイフでとり、使いやすいように削りだす
上位種だけあって、羽根が結構長いな最長で60cm位か・・・折角だしもう少し作ろうかな
「ケイタ君、投げナイフとかも作ってみる? 折角だしさ」
「いえ、投げナイフなら魔鉄かノーマルの羽根で作りましょう。 今は予備武器のみで良いですよ」
「それもそうだね、じゃあ作っちゃおうか」
ナイフを数本作ったときにメイドの人に呼ばれ、オルトウス様の執務室へ
ノックをしてから、中に入ると長椅子の後ろでまったく微動だにしないカルジャスさんと、テーブルを挟んだ向かい側に長いす椅子に座ったオルトウス様がいる。
オルトウス様の両脇には、全く知らない体が大きく鼻が角のようにとがったサイの獣人と背が高く髪の毛が鬣のように長い馬の獣人が立っていた
何があったのか分からず、入り口付近で様子を見るとオルトウス様に呼ばれた
「カナタ殿、ケイタ殿、ショウマ殿、申し訳ありません。 向かい側にお座り下さい」
「はい、解りました」
「まずは紹介します、右手にいるのが我が騎士団の隊長であるソテツと左にいるのが副隊長のヒレザンです、この街の警護の任についてる我が騎士団の猛者です」
お互い挨拶を交わし、握手をする・・・右が隊長のソテツさんでサイの獣人、左が副隊長のヒレザンさんで馬の獣人か・・・覚えられるかな?
「まずは、騎士団の者が迷惑をかけたことに深く謝罪します」
ソテツさんが、苦い顔をしながら頭を下げる
「いえ、それは構いません。 こちらも迷宮には興味があったので」
「そう言っていただけるとありがたいです。 オルトウス閣下から聞いた依頼の件はお受けしたく思っています」
「おお! こちらこそありがとうございます」
「カルジャス! 皆様に謝罪をせぬか! こちらの皆様は陛下のご友人のかたがたであるぞ! お主はそのような方に・・・」
カルジャスさんは、今にも泣きそうな表情でぶるぶる震えている
「し・・・失礼しましたカナタ殿! 高貴なお方とは知らずに失礼な態度の数々! わた・・・私の首1つでどうかお許し下さい!」
カルジャスさんは、土下座をして頼みこんでくる
「いや、首はいりませんし・・・あ! じゃあ王都に研修に来てもらって俺達の手助けしてもらえますか?」
「おお! それはいい、カルジャス今回の件が終わりしだい行って参れ!」
オルトウス様がそう言うと、ソテツさんとヒレザンさんは頷いて返す
「謹んでお受けいたします!」
カルジャスさんは頭を上げずに大声で叫ぶように言う
「カルジャスさんのことは、これくらいで良いとして、明日の打ち合わせをしましょうか」
俺は笑顔でそう答える
「ええ・・・しかし、いつもこのような策を考えるのですか?」
「そりゃあそうですよ! 頭を下げれば何とかなるなら、直ぐに土下座でも何でもしますよ」
「そ・・・そうですか・・・ならば我等が手助けをいたします」
「良いんですか? いや、ありがとうございます」
「いえ、1級と同じ位の実力があることは伺っておりますので、こちらとしても利益が大きいです。 地図をお持ちしましたのでお使い下さい」
「え? そんな貴重な物を貰えるんですか?」
「いえ、お貸しするだけです」
「そうですよね~。 貰えるなら欲しかったですけど」
コノミさんが居れば地図を写すことも出来たんだろうなぁ・・・後で写させてもらえないかなぁ・・・
そんな事を考えながら、話し合い俺達が塩の迷宮に1日先に入る作戦を明日実行するだけとなった