第102話 お屋敷の中で
ブックマーク・評価 本当にありがとうございます
オルトウス様についていくと、兵士? かなり綺麗な鎧に包まれた2人を従えた少年がいた
少年は、帽子を被っていたが身なりはかなりいい様に見える・・・魔糸だろうな・・・てことは貴族の子供か?
「ヴォルディン殿下、【ソメイヨシノ】のカナタ殿がおいで下さいましたぞ!」
オルトウス様は、恭しく礼をする
おいおいおい・・・殿下って事は王子様かよ! 何で王族がここにいるのさ? いい子だったらいいけど、ショウマ君が絡まないことを祈ろう
「何!? 姉上の手紙に書いてあった者達か! 直ぐにそちらに行く!」
ヴォルディン殿下と呼ばれた少年は、そう言うと駆けて来る
周りの兵士達の制止を振り切り、捕まえようとした兵士達を全員かわし、こちらの方へ駆けて来る
えっと、元気なお子様だね。 陛下の子供だから頭脳派だと思ってたんだけど? 獣人だから肉体派なのかな?
「そなたが・・・いや、そなた達が【ソメイヨシノ】か? 姉上よりも強いと書いてあったが真か?」
殿下は目をキラキラさせながらそう言う
「殿下でよろしいですね?」
「うむ、第1王子のヴォルディンだ、よろしく頼む」
殿下は大体10歳前後かな? シャツのような服にハーフパンツ
顔はかなり整っている・・・犬耳・・・いや、狼耳なのかな? 国名にウルフって入ってるし
それにしても・・・あんまり陛下に似て無い気がするけど、何でだろう?
「はい、よろしくお願いいたします殿下。
話は変わりますが、人の強さは一定ではありません。 その時そのタイミングで勝ち負けが決まるだけです。 たまたまそのタイミングで・・・あの、姉上とはフランソワーズ様でよろしいですか?」
「うむ、その通りだ・・・しかし、その口調からするとやはり姉上に勝ったのだな! どうやったのだ? 不意打ちか? 罠か?」
「そこにいるショウマ君が、正々堂々組み手をして勝ったのです、今はフランソワーズ様も一緒に組み手などをしていますよ?」
「正面から戦ったのか! 私も1度で良いから勝って見たいものだ!」
なんと言っていいのやら・・・
「えっと・・・頑張って下さい」
挨拶を交わし折角なのでポンプの設置を見せてもらい、オルトウス様の屋敷に招待される
オルトウス様は、この迷宮都市の元領主らしい
前回のウェーブが終わってから息子さんに領主の座を渡して、隠居してたが今回のウェーブで被害が大きく王都との橋渡しに奔走していたらしい
聖女様のおかげで、冒険者や兵士の回復が著しく早かったので、大進行前に戻ってこれたと言っていた
しかも、殿下とオルトウス様は、表彰式に出席するようで明日出発するところだと言う
俺達が何故ここにいるのか? そう質問されたため、今回のカルジャスさんの件を話す・・・口止めをされてる訳じゃないしね
オルトウス様は、「またか」と呟いていた・・・兵士を呼んでカルジャスさんが来たら領主の屋敷にくるように言ってくれたらしい
手間が省けてラッキーだなぁ
「いやはや、ソメイヨシノの皆さんに迷宮を調査してもらえると言う事は、こちらとしては利益が大きいですな」
オルトウス様は、微笑みながら言う
「それは何故ですか? 他の冒険者でも調査は滞り無く終わると思うのですが」
「たぶん仰る通りなのですが、冒険者が倒れる事になった場合が大変なのです」
「怪我をして動けなくなるからですか?」
「いえ、命を失うと迷宮に食われてしまうのです・・・もしそうなった場合、魔物が外に溢れる事になりますので」
今の話を総合すると、冒険者を食うと迷宮の中の魔素量が増えるってことか?
もしくは、進化が起こるとかそう言う事も考えられるけど、詳しくは分からないだろうな
「でも、私どもは9級の冒険者ですよ?」
「はっはっはっは・・・いや、すまん、ブラッディルビーワイバーン・・・倒したのだろう?」
「え? 知ってたのですか?」
「もちろんだとも、陛下からの手紙にも書いてあった。
そんな皆様に依頼したい! 迷宮を踏破もしくは出来る限りの敵を倒して欲しい。
表彰式に間に合うまでの日数でいい、頼む」
「もちろんです、取ってきた素材などは貰いますし、1つお願いを聞いていただければ・・・」
話し合いも終わり折角なので、オルトウス様のお屋敷で料理をご馳走する事になった・・・さて、何を作ろう
「今ある材料で1番多いのはグルングロッコ・・・味に不安があるんだよなぁ・・・美味いのかな?」
「どうなんでしょうか・・・僕は料理とか余りしたことが無いですし、異世界の食材のことなんて解りませんね」
「そうだよねぇ・・・料理人の人に聞いてみるのがいいかなぁ」
そう思い調理室を訪ね、声をかける。
すると、茶色っぽい服を着た太った豚耳のおじさんが出てきた。
「何だ? 何か用事でもあるのか?」
豚耳の男は腕を組み言う
「少し聞きたい事があるんですけど、グルングロッコってどんな味がするんですか? セントバードと同じような味ですか?」
「お前が話しにあった客人か? 良く分からんが、セントバードよりも歯ごたえがあり、そのまま焼くだけでも美味いぞ?」
「なるほど! 解体が上手い人っていますか?」
「あぁ、居るが・・・なんだ? 何かあるのか?」
「解体をお願いしたいんですよ、グルングロッコの」
そう言い、氷漬けにしたグルングロッコを取り出す
「おぉ・・・こいつは・・・待ってろ、今呼んで来る・・・あ! 呼んできます」
「喋り口調はいつも通りでいいですよ~」
遠くのほうで「助かる」と聞こえた
さて、戻ってくるまでに何を作るか考えなきゃな・・・と言っても、すごい物が出来るわけじゃないし・・・
グルングロッコが軍鶏の味だと仮定すると、焼き鳥・鍋・親子丼・すき焼きかな?
他にも色々あると思うんだけど、後はわかんないなぁ・・・さて、どれがいいんだろう?
フランソワーズ様の好きなものは、肉料理とうどんだったよなぁ
あぁ! すき焼きで〆にうどんにすればいいかな? あ! 割り下ってどう作るの? 砂糖と醤油・・・後は? 無理だな
見栄を張らずに鍋かな? 冷凍されているトンカツとコロッケでも出せばいいか
こんな事になるならワイバーンの肉でも持って来れば良かったなぁ
鍋の準備で野菜を切りながら待つことにして、調理場の場所を借りる
ここでも、調理場は汚いなぁ・・・王城でもそうだったみたいだし、何とかならないのかねぇ
場所だけ借りて、調理器具は全部自前の物を出す・・・まぁ、野菜の水洗いをするために排水溝だけ借りたが
そんな事をしていると、解体がうまい人がやってきた
折角なので解体だけしてもらって、折角だし内蔵系も貰っておこうかな
まぁ食べられる内蔵がどれなのかなんて、ほとんど解らないんだけど・・・
あれ? 鶏じゃないから食べられないのかな? セントバードはレバーとハツだけ食べられたんだよなぁ
まぁいっか、後でタダシさん行きだな
1匹だけ解体してもらい、内蔵も全部渡してもらうことにした
タダシさんの手伝いをやっているおかげでかなり手際よく、野菜を切りざるに入れていく。
他の料理人達が何を作っているのか気になったのか、何を作ってるのか色々な憶測が飛び交っていた。
出来るだけ気にせずに、うどんをこねていく・・・かなり近くで豚耳の人が必死になって見て来る。
うどんを茹でている間に驚くほど色々なことを質問されたが、分からない事が多く王都に来たら分かる人を紹介することに・・・タダシさんですが・・・
結局、王城へ頼みこんでついて行くと言っていた。
豚耳の男はこの屋敷の料理長として、新しい料理を覚えると意気込んでいた。
また、料理長ですか・・・そうですか・・・
そんなこんなをしていたが鍋の野菜・うどんの準備は終わり、少し待ってお肉を受け取り
折角なので食堂で調理することにして、色々準備をする
カルジャスさんいつ来るんだろう?