第99話 逃げれない?
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全モンスターと切ってしまった木と白竹をマジックバッグに入れ、洞窟の入り口を元に戻し冒険者のPTに声をかける
「グルングロッコは、全部倒しましたので私どもは街に帰りますので、またどこかで」
何か言われる前に、逃げよう!
「ま・・・待って下さい!」
ベージュのローブの女性が声をかけてきた
チッ! 聞こえない振りしてにげ・・・
「何だ? 何かあるのか?」
ショウマ君が返事をしてしまった
無線入れておけば良かった・・・無言で逃げようって・・・あぁ、やだなぁ・・・
「こ・・・こんな事を頼むのは筋違いですが、護衛をお願いしたいんですが」
ベージュのローブの女性が祈りのポーズをしながら言う
「申し訳ないですが、急ぎの用事がありますのでそれは出来ません」
俺は、言ってから頭を下げる
「何でだ!? 頼むよ! そんなに強いなら余裕だろ?」
盗賊の男は、土下座をしてきた
いきなり態度を変えてきたな・・・本当にウザイな
「では聞きますが、何かを対価に払えるんですか? 言っときますが、高いですよ?」
本当はお前が欲を出さなきゃ街道まで護衛してもいいと思ったんだが、今は助ける義理はないと思ってるぞ? さぁ、お前はなんて答えを出す?
「い・・・一日・・・一人銀貨1枚でどうだ? いや! 成功報酬で倍にする! どうだ? いいだろ?」
マジックバックから財布を出し、金貨を4枚出す
「魔物を討伐するだけで、半日もせずに1日で金貨5枚ほど稼げる私どもに、たったそれだけですか? お話になりませんが?」
討伐は、肉目的だから値段など分からない・・・完全なハッタリだ
「あ・・・あの! 生きて街にたどり着くことが出来れば私が体で払うので、イラクサ・・・倒れてる女の子だけでもお願い出来ませんか?」
ベージュのローブの女性が言う
傷はほぼ完全に癒えていたが、目を覚ましていない女性を助けたいか・・・う~ん、そう言われると助けたいんだが・・・
こういう場合の想定もしておいたほうがいいのか・・・
「この場所の近くに街はあるんですか?」
「モンスターに会わなければ1日で復興中の街にたどり着けると思います」
そのくらいの距離なら何とかなるが・・・この盗賊の男だけをおいていく方法はないかな? 本当にウザイんだよなぁ
「質問ですが、このPTは固定されたPTですか? もしくは今日明日だけのPTですか?」
「急遽組まれたPTです・・・わた・・・あ、すみません、自己紹介させていただきます
水魔法使いのセンレンと言います、よろしくお願いします
私と軽戦士のイラクサ、その大柄の戦士のモンジの3人PTです・・・残りの2人は別PTですね」
男の魔法使いと盗賊は2人PTか・・・男の魔法使いは何も言わないが、見下すような態度が気に食わないから助けなくてもいいかな?
たしか、練習用のただの鉄の剣とナイフがあったはずだから、渡して後は自己責任でいいか
「解りました、ではセンレンさんのPTを助けましょう・・・ただし、今回の報酬は放棄して土下座をしている彼に渡す事を約束して下さい」
「はい、ありがとうございます」
盗賊の男は、反論をしようとしたが、男の魔法使いが何かを喋りかけると、盗賊の男はニヤニヤしだした
たぶん、勝手に付いて行けば報酬が増えるとでも言ったのだろう
そんな事を気が付かないとでも思ってるのか? なんか、馬鹿にされてる気分だな
(PTリーダーは、盗賊の男のため他の人が抜ければ討伐報酬やクエスト達成報酬などは全部残りのメンバーの物となる)
盗賊の男は、当然反論をせずに全部の事を了承した・・・鉄の剣とナイフを渡し、ケイタ君がイラクサさんを背負って行く事となった
カーボンナノチューブとグラフェンを使いオンブ紐を作って出発する事に・・・
やはり、盗賊の男達も準備を終え付いていく気満々だ
無線を使い、小声で2人に声をかける
「俺がセンレンさん、ショウマ君がモンジさん、相手にかけるのは身体強化の筋肉痛無い版で、維持も俺たちでやるよ? 良いね? ケイタ君は背負ってるから無しで・・・じゃあOK?」
「おう」 「はい」
センレンさん、モンジさんにこっそりとポーションを渡す・・・身体強化の秘薬だと嘘を付いて・・・
そのまま2人は飲み、ばれない様に2人に身体強化の魔法をかける
「先頭はケイタ君、次ショウマ君、モンジさん、センレンさん、俺の順で進みます、ケイタ君方角の確認は良い? センレンさん、分かる道に出たら教えて下さい」
一気に駆け抜けたいが、モンジさん、センレンさんは、それなりの速度でしか走れなかった・・・もちろん盗賊の男の2倍速ほどでは走れていた
盗賊の男たちを、どんどん離して行くと後ろから「待て」とか言われたけどシカトして走った
その後、テントのようなものが多くある村にたどり着くことが出来た・・・身体強化に慣れてきた2人が頑張ってくれたおかげで午後に差し掛かったところと言うところだ
場所的には、ウルフローナ王都の北側・・・廃村は南側にある・・・しかも、北に1日行くと塩の迷宮があると言っていた
話の流れでグルングロッコは食べられるか聞いてみたら、グルングロッコは食べられるらしい・・・血抜きしなきゃ! どうしよう・・・
それは置いといて、ダンジョンだよ! ダンジョン! ここまで着たら初ダンジョン体験したい! 初心者にお勧めだと言う、塩の迷宮に行ってみたい!
「あ・・・あの、体で払うのなんですけど出来れば1人ずつでお願いします」
センレンさんは、いきなり頭を下げた
「あぁ、そう言えばそんな話しでしたね・・・請求する物を変えてもいいですか?」
「え? でも、でも・・・お金は無いですし・・・他に払えるものなんて」
「塩の迷宮には言った事があると言ってましたよね? 私どもは塩の迷宮の事を詳しく聞きたいのです、教えていただけますか? 後は、グルングロッコの血抜きの手伝いをお願いしたいいいですか?」
「おお! 俺は血抜きの技持ってるぞ! 任せてくれ!」
モンジさんが胸をたたいて言う
皆、それで了承してくれた、俺1人だったら体で払ってもらうのもいいかもしれないが、2人は身持ち固そうだしなぁ
センレンさんは、イラクサさんを宿に預けてから合流すると言っていた
その時に協会を見つけ、Lvを上げる【Lv28.Lv27】となった
しかも血抜きの道具も持ってるって! ラッキー! 早速解体が出来る場所に行き、洗濯物のように血抜きをする
結構時間が経っていたが、モンジさんの持っていた鉄のストローみたいなものを刺すと一気に血が抜けていく・・・足りない分は土魔法で作った物で代用する・・・無いよりマシだろ
かなり手伝ってもらったので、グルングロッコの羽根で武器が作れないか見てみる・・・羽根の長さ的に、少し長いナイフくらいなら作れそうだな
「ケイタ君、ここで魔鉄の加工って出来る?」
「小さいものなら出来なくは無いですが、ちゃんとした鍛冶のギフトを持っていませんよ?」
「ナイフの柄を作ってもらいたいだけだから、適当でいいよ、手を貸そうか?」
「なるほど、羽根でナイフを作るんですか・・・やります、1つ刃を作って下さい、それを見ながら柄を作りますので」
「うん、ありがとう、じゃあ作っちゃうね」
そう言いながら壷を取り出し渡す
迷宮の話を聞きながらナイフ作りの作業していると、センレンさんとモンジさんは、何をしているのか気にしてるが聞いちゃまずいかもと思ったのか聞いて来なかった
ナイフを1つ作り終わると、驚きの表情をしていた・・・まぁ、一気に作り終わったんだし手品みたいに見えなくも無い
「モンジさん、そのナイフ見てみて」
「いいんですかい? 傍から見ても良い物のように見えますが・・・持ち逃げとかされたら困るんじゃ?」
「いいから、持って振ってみて」
「へい・・・おお! こりゃ良い! 手に持ち易くて、試し切りしても?」
試し切りが終わるとモンジさんは、こんなナイフが欲しい! 頑張って金をためて買うから、取って置いて欲しいと頭を下げられた
そんなにいい物か? 魔鉄より少し軽く切れ味が落ちにくい気がする程度だろう
盗賊の男を出し抜くために、報酬を放棄させてしまった訳だし、グルングロッコから逃げ出す時に、武器も捨てたと言ってたし
当初の予定通り、簡易的な木の鞘を作り3人にナイフを1本ずつプレゼントしよう