第91話 革鎧
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「じゃあ、これから1週間の期間で大丈夫っすか? もっと長くしますか? 革は昨日なめしたものと茹でて硬くしたものでお願いするっす、材料も籠に入ってるのを使って欲しいっす」
いきなりの試験だが材料も全部そろってる・・・あれ? 籠に入っているのって俺が加工したやつじゃん
籠の中にはなめした革やゆでて硬くなった革、紐などもあるが、全部見たことがある・・・なるほど、最初から完成まで自分の作った素材でやれって事なのか
教わった革鎧は、ハードレザーアーマーとソフトレザーアーマーの2種類だ
ソフトレザーアーマーは、革のジャケットのように見えるし作り方を無理やり教わっておいた
その事を鑑みると、ハードレザーアーマーを作れって事なんだろうな・・・折角だから打刻とか少し懲りたいな
あと、鋲とかビスとか付けると面白いかな? いや、とりあえず切り分けからするか
全部をパーツごとに分け穴を開け組み立てていく
思った以上に簡単に組みあがったな~、やっぱり鋲とかあったほうがかっこいい気がするんだけど・・・今は出来る事を進めよう・・・胸の上部とかに打刻で模様でも打っておくかな
土魔法で固めた物で打刻をしていく・・・ここまできたら全体的にデザインを増やして、革の切れ端でトカゲの模様を肩の部分と左胸の部分に付けて・・・
「カナタさん、ちょっと聞きたい事が・・・なんっすかそれ? 何でもう出来上がってるんっすか!」
ニムロフは、驚きながら俺の作っている革鎧を指差す
「あ・・・いや、ちょっと落ち着いて」
やばい、ちょっと遊びすぎちゃったかな? 怒ってるかな?
「なんっすか! このデザイン・・・かっこいいっすね! これ、これも売ってもいいっすか?」
あれ? なんかいい感じに進みそう? 良かったぁ・・・びびっちゃったよ
「うん、売ってもいいよ、ただね、まだ未完成なんだよね・・・これに鋲を付けて防御力を高くしたいんだよね」
「鋲ってなんっすか? いや、完成したら作り方も教えてくださいっす・・・あ! 革細工卒業していいっすよ、こんなにきれいに出来るって事は革細工の心を持ってるんじゃないっすか?」
「どうだろう? ちゃんと確認しておくよ・・・あ! 財布とかの作り方は大丈夫?」
「もちろんっす、きっちり売り上げを伸ばしてやるっす! あ!! 聞きたい事があったんっすけど、ブラックビーフの皮を大量にギルドに売ったのって、カナタさんなんっすか?」
「あぁ、うちのクランだよ、革細工習うなら練習用にとっておけばよかったよ」
「てことは、ワイバーンも討伐したのってカナタさんのクランですか?」
「裏リーダーって呼んでる人だね、ワイバーンの革が少しまわって来そうだったから革細工を学んだんだよ」
「そうだったんっすか・・・カナタさんって、話には聞いていたっすけど、すごい人だったんすね・・・あ! いや、詮索するつもりはないっす、革鎧出来たら持って来てくださいっす」
「うん、了解、出来上がったらね」
その後、皮の切れ端や馬の鬣などを融通してもらって、屋敷に帰り歯ブラシでも作るかなって思いながら戻っていく
途中で協会に行き、ギフトの再確認したら、革細工の心を取っていた
この所、アイテムを作りまくってたからか、手先が器用になっている気がする
もしかすると、ギフトには何かしらの能力をプラスするのではないか・・・
慣れてきたからだろうか? いや、それにしても手先や指先が異常に器用になったと思う・・・マジンを注射した時にも生まれ変わったように体が動くようになったが・・・
ギフトが増えるたびにやはり変わっている気がする・・・それともLvか? やはりステータスがみれないのはきついな・・・
そんな事を考えてたら、屋敷に着いた
屋敷に着くと、木で歯ブラシの柄を作り歯ブラシを作ると馬の鬣を使用して歯ブラシの試作品を完成させると、食事に呼ばれる
今日の食事は、メンチカツだった・・・パンに挟みメンチカツバーガーにして食べていると、タダシさんに声をかけられる
「カナタ、すまん」
タダシさんが、手を合わせて頭を下げてくる
「え? え? どうしたんですか? まったく何があったか解らないんですけど」
「いや、その・・・」
タダシさんが、言いにくそうに頭をかいていた
「ふぅ・・・魔法を大規模で使っちゃったのよ・・・子供が木から落ちそうになっちゃって」
ヨシさんが、言葉を続ける
「あぁ、なるほど、それは仕方ないですね・・・まぁ、いつかはそうなると思ってましたし大丈夫ですよ・・・なんたって、ワイバーンを討伐したパーティのメンバーって噂になってるみたいなので今更かもですが・・・」
「ん? 時間稼ぎをするって言ってなかったか? 大丈夫なのか?」
タダシさんが聞いてくる
「いえ、しますよ、ただ噂なら放っておきますよ、逆に騒ぐと信憑性を増してしまうだけなので」
「そうか、なら良かった・・・あと野菜を植えたんだが大丈夫か? 欲しかった物などは無いか?」
タダシさんは、胸をなでおろしながら言う
「食べ物に関しては俺は素人もいいとこなので、全部お任せします」
「あぁ、そう言うと思って事後承諾で悪いと思ったが全部植えちまったからな、後肥料も入れたから1、2週間ほどで収穫できる予定だ」
「そんなに早く!? なんか、俺たちが世界に喧嘩売ってる気がしますよ・・・法則も何もあったもんじゃない」
そんな話をしていると、フランソワーズ様がやってきてご飯を思いっきり食べている・・・朝ごはんに晩御飯って、うちのクランメンバーなんじゃないかって最近思うよ・・・本当に
「カナタよ、大進行の終息宣言が発表されたぞ、10日後に迎えが来る! しっかり準備しておいてくれ!」
フランソワーズ様が、食事をちょっと中断し言ってくる
「了解しました、ほとんど出来上がってると思うので大丈夫だと思います・・・そういえば、洋服はどうでした?」
「うむ! あのようなきれいな細工など見た事が無い! 色をあまり使っていないのにきれいな物だ」
「それは良かった、王妃様たちにも作らないとですかね?」
「うむ、たぶん作ってくれとせっつかれるだろうな・・・すまん」
「アヤコさん聞こえました?」
「聞こえていたよ・・・まぁ、作っておくかね」
アヤコさんは、あきらめたように呟く
「たぶん、普段着もほしいと言われるんじゃないですか? あと、今日出来たそのパジャマも」
「パジャマのロンパースもかい? 仕方が無いねぇ・・・」
「お願いします」
「うむ、私からもお願いする」
フランソワーズ様は、立ち上がって頭を下げる
仮にも王族に連なる人なのに、そこらへんの人に頭下げていいのかな? まぁ、それがフランソワーズ様のいいところだけど
「こうなりゃ、全部作ってやるさね! コノミちゃん、デザインが出来てただろう? 後で渡しとくれ」
アヤコさんは、コノミさんに尋ねる
「え? 解りました、後で皆一緒に優先して作る洋服を決めましょうか」
コノミさんは、皆を見回して言う
その後は、女性たちが集まって食事しながらキャイキャイと話してあっていた
洋服の話は、出来れば食べ終わってからやってほしいな・・・あ、ヨシさんが注意して収まったか・・・
「カナタさん、お願いがあるんですがいいですか?」
リョウタロウさんが話し掛けてくる
「え? どうしました? リョウタロウさん」
「バスを取りに行きたいんですけど・・・いいでしょうか?」
「あぁ、そう言えばそうですよね・・・う~ん・・・じゃあ、俺とケイタ君、ショウマ君の3人で行くのはどうでしょう?」
「で、でも、私が行った方が迷惑がかからないと思うんですが・・・」
「今の3人は、魔法にギフトの身体強化を使えるからですよ・・・俺だけ身体能力上昇なんですけど、3人なら行って帰ってくるのに30時間くらいでいけるんじゃないですか?」
結局話し合いの結果、明後日の朝早くに3人で出発する事になった