第88話 作るもの
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革細工を教えてもらう対価として何か儲かるアイディアか・・・
なめした革を干しているときに考える・・・やっぱり捨ててしまう材料から作るのが1番だよなぁ
小休止のときに廃棄物置き場にやってきた
さて、何か使える材料は・・・さまざまな革の切れ端と動物の毛がある・・・何の毛なんだろう?
やはり、ブレスレットやネックレスのチェーン部分、財布等なんだろうか・・・いや、動物の毛で歯ブラシ作ってもいいんじゃないか? 消毒すれば使えるだろうし
なんかこうパッとしないなぁ・・・う~ん・・・
「なんかあったんっすか?」
ニムロフが、後ろから声をかけてきた
「いえ、廃棄した材料で作れるものを考えてたんですよ・・・たとえば、革を柔らかく加工してブレスレットやネックレスにしてもいいですし」
「え? 革をアクセサリーにするんっすか? 人気出るんっすか?」
「今度サンプルを作って見せるよ、革のみで作るのは難しいんだけどいろんな材料と組み合わせられるのが革細工の魅力だしね・・・だから、基本をしっかり叩き込んでね」
「うぃっす、任せてくださいっす」
廃棄した材料を多く貰い、夕方には屋敷に帰った
アクセサリーを作ると言っていた、アカネさんとコノミさんを探すが、まだ帰っていないようだ
財布のコンチョも作りたいと思っていたので、ケイタ君とタクミ君はいるみたいだし聞いてみよう
一応、財布に付いてるコンチョを参考にするか
地下の鍛冶の部屋に行くと、ノックをする
「ケイタ君、タクミ君、少し良い?」
「どうぞ入ってください」
ケイタ君の声が聞こえてくる
中に入ると、ほこりっぽい所に2人が向かい合わせに座っていた
「「おかえりなさい、カナタさん」」
2人はこちらを向き挨拶してくれた
「うん、ただいま。早速だけど、作ってほしい物があるんだけど良い?」
「何ですか? 武器でしょうか?」
ケイタ君が、聞いてくる
「いや、コンチョとかペンダントヘッドとか作って欲しくって、出来る?」
「ポンチョ? コンチョ? ってなんですか?」
タクミ君が首をかしげて聞いてくる
「そういうかと思って、財布持ってきたよ、これがコンチョね、どうかな? 出来そう?」
長財布のコンチョの部分を指差して言う
「この留める所も作るんですか?」
タクミ君が、裏側を指差して言う
「うん、出来れば作ってみて欲しいんだけど良い?」
「この位ならどうと言うことはないと思いますが、素材はどうするんですか?」
ケイタ君が言う
「付ける部分は、真鍮とか魔鉄かな? コンチョ自体はシルバーが良いけど、今は魔鉄しかないでしょ? 試作だし、お願いできる? それから・・・」
その後、魔鉄で作って欲しいものを言っていった・・・多すぎてメモに書く事に・・・
まず、コンチョ・ペンダントヘッド・ブーツに仕込む鉄板など、デザイン案も言っておいたが、女性受けしないだろうから、コノミさんが帰ってから、他のデザインを頼むことにしよう
「カナタさん、今時間あるんですか?」
ケイタ君が言う
「うん、時間あるけど何? 何かあった?」
「いえ、形状記憶再生のことですよ・・・報告しますと、骨の再生はある程度までしかしません、骨の粉を振り掛ければ、傷は完全にふさがるんですが、脆くなってしまうんです」
「脆くなるってどのくらい? 戦闘に全く使えないくらい?」
「そこまでではないですね、感覚でしかありませんが1割くらい脆くなる程度ですね、しかも、脆くなったところが折れると1番最初の状態から3割位脆くなりますね・・・次は7割・・・最終的にはくっ付いてるだけになります」
「なるほど、カーボンナノチューブでも一緒なの?」
「いえ、耐久は変わらないんです・・・魔糸にも使ってみたのですが、同じように脆くなりますので、人工物と天然ものの違いなのでしょうか?」
「可能性はあると思うけど、モンスターの素材の装備には、形状記憶再生はあまり意味がないってことだね、かなり重要な情報だね・・・ミスリルとかでもやってみたいけどねぇ・・・無いよねぇ」
「はい、出回っていませんね・・・そうでしたカナタさん、ゴラントが、鉱石を買いに行きたいそうなのですが許可して良いですか?」
「ゴラントって誰?」
「はぁ・・・カナタさん、鍛冶師の人達をゆすってた商人です」
「あぁ、いたね~、いいよ買いに行って貰って・・・あ! アルミの鉱石と錫の鉱石も買ってみて欲しいな、出来るかな?」
「う~ん・・・出来なくは無いと思いますが、冒険者を雇うしかないですね・・・ただ、大進行中なので受けてくれる人がいるかどうか・・・」
「そっか~・・・アルミで椅子とかテーブルとか作れればって思ってたんだけど、難しそうだね~」
「鍛冶場に少しはあると思いますので、今度持ってきますよ」
「うん、お願いします」
ケイタ君、タクミ君には、本当はもっとお願いしたい事があったんだけど、武器作りで急がしそうだし、止めておくかな・・・そうだ、削りだしもやっておかなくちゃな・・・
その前にアヤコさんのところに行って、野営用の寝袋とか色々作ってもらえないか聞いてみよう
同じ地下にある裁縫部屋に行き、扉をノックする
中から「どうぞ」と声がかかる
「すみませんアヤコさん、謁見で使用する洋服の進み具合はどうですか?」
「見てごらん、いい出来だと思わないかい?」
アヤコさんが、指差すほうを見る
そこには真っ白なマキシ丈のオフショルダーワンピースがあり、レースがふんだんに使われていてかなり可愛い
「めちゃくちゃいいですね・・・でも・・・やりすぎなような?」
「みんなに意見をまとめると仕方ないさね・・・パーティードレスと言うよりウェディングドレスみたいになっちまってねぇ・・・」
アヤコさんは、苦い顔をしながら言う
「ここまできたら、ヴェールとかも作ります? 刺繍をして豪華に」
「それもいいね、サクラの刺繍を施したマリアヴェールを作るのも面白そうだね」
いや、冗談だったんですけど・・・マジでウェディングドレス作るの? 俺が頼みたいものが頼みにくくなるなぁ・・・
「やる気ならいいんですけど・・・野営のときの布団とか寝袋って作れませんか? もう少し寝心地良くしたくて・・・出来ますか?」
「敷布団なら出来てるよ、掛け布団と枕は、まだ出来て無いけどね」
だから、早すぎね? どうなってんの? どうやってんの?
「早いですね・・・いや、マジで」
「デザインを話してるときに外側作ってたからさね、綿が無かったから羊毛が入ってるけど、かなり寝心地がいいものが出来たよ」
アヤコさんは、そう言ってドヤ顔をする
「そうですか、無理しない程度によろしくお願いします・・・そうだ、コノミさんが帰ってきたら俺が探してたって言ってもらっていいですか? 骨の削り出しをするので」
「解ったよ、ここに来たら言っておくね」
コノミさんが、帰ってくるまでの間に骨の削りだしと、ワイバーンの皮をなめしておかなくちゃ
ワイバーンの皮鎧は、洋服を作ったときの型紙(板)で、今までのものを参考にして作ればいいだろう
しかし、このなめすときに使う溶剤って嫌なにおいするよなぁ・・・空いてる地下の部屋でやるか・・・後でにおいは飛ばせるし
その後、皮に付いていた肉のカスなどを丁寧に取り、溶剤に入れて魔法を使って一気に進行させる・・・あとは、乾かす・・・萎んだりしないように釘と木材を用いて張って置いておく
乾くまでかなりの時間がかかるだろうし、骨の削り出しをしておくか
コノミさんが全く帰ってこないので、骨の削り出しが終わってしまった・・・どうしたんだろう?