第9話 街までの道のり
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6/7改稿あり、加筆あり
小さいほうの人が、手際よく野営の準備をしている。
アイテムバッグからテントと網に足が付いている物まで出てきた。
何でもありだな・・・・こりゃ・・・
しかし、アイテムバッグから料理が出てこないかな? 調理済みの物とかさ、温かいやつ・・・
串に刺さった生肉を3つ取り出して、網に乗せる。
う~ん・・・やはり、料理し終わったものが出てくるわけではないんだな・・・
網の下にある小枝に呪文? を言うと、ポッと火が付いた。
魔法って便利よねぇ~魔法が覚えられれば、何でも出来るんじゃないかしら?・・・覚えたいわぁ、ほんとに・・・オカマ口調で色々考えていると焼き上がり、1つ渡してくれた。
あぁ・・・うまい・・・
食べ終わったら、知らない間に気絶するように眠ってしまった・・・
起きてみると葉っぱを大量にかけられて泥まみれになっていた・・・
まぁ・・・風邪引かなかったから良いとしよう・・・
起きてみると隣にハルバードが置いてあった。
トイレに行き・・・あぁ葉っぱが硬い・・・なんて思ったりしていた。
戻ると、昨日貰った水を一口のみ、詳しく確認できていないものを音を立てないように気をつけながら見ておく。
布っぽいもので出来た普通のテントと、高そうなテント・・・金の刺繍と宝石みたいなものが付いている・・・何の柄なんだろう? 良く分からないな・・・
高いテントが熊殺しさんのかな? 小さい人は、話し合いのとき執事みたいなお辞儀をしてたし、従者とかそういうのかな?
でも、テントは触らないほうがよさそうだよなぁ・・・
次に網を見てみる・・・材質はただの鉄っぽい・・・錆は付いていない。
きのうは足だと思っていたが、足じゃなかった。
ただの四角い枠で、上には網がそのままつけてある。
溶接されているところはかなり綺麗だった。
ガス溶接かなんかだと思うな~、未知の溶接法か? 魔法溶接とか?
さて、2人が起きてくる前に、薪ぐらいは拾っておいたほうが良いかな?
拾っておいても特に問題ないし、食べ物ないかな? ドングリとか果物とか。
そう思いながら近くを散策する・・・薪はすぐ集まったが・・・
食べ物がねぇよ! やっぱりあの場所が異常だったんだな、実もすごい落ちてたし、魚もかなり居たし。
お腹減ったなぁ・・・
そんな事を考えてると小さい人がテントから出てきた。
こちらをチラッと見てくるが、特に何も言わずにテントの片づけを開始する。
手伝おうと思って近づくが、手のひらを前に出し首を横に振り一言何かを言った。
手伝い入らないって事なんだろうけど、手持ち無沙汰なんだよなぁ・・・
朝食は、スープのようだった。
薪に火をつけて、網をその上に置く。
スープは鍋に直接入っていたものをアイテムバッグからそのまま取り出し、網の上に置いた。
少し温まると木で出来た大きなスプーン? おたま? でかき回している。
アイテムバッグは時間停止みたいな便利な能力は無いのかな? それでも、液体も鍋などに入れたりしたらこぼれずに持ち運べるみたいだし、便利な事に変わり無いか。
いや、待てよ・・・湯気が出てたし、時間がゆっくり過ぎてるとか? う~ん、解らん。
やっぱりファンタジーと言えば、アイテムバッグやストレージは欠かせないよな・・・欲しいなぁ。
ご飯が出来るまで特にやることも無く葉っぱの上に座っていると、熊殺しさんも起きてきた。
兜取っていると、やっぱり綺麗な人だなぁ。
こちらに気がつき見ると、右手を軽く挙げて微笑んでいる気がした。
こちらも笑顔を作り、右手を軽く挙げておく。
木のお椀に木のスプーンを入れて、黒パンを上に置いてくれた。
食器類は多めに持っているのか? アイテムバッグの容量はどのくらいなんだろう? 重さで容量決まるタイプ? それとも大きさで容量が決まるのかな? いいなぁ・・・欲しいなぁ・・・
2人に倣って一口黒パンを残し、スープを飲み干してから黒パンでお椀を拭う。
なるほど・・・最後黒パンで、お椀の掃除をするのか・・・こうやって水の消費を抑えて、持ち運ぶ量を制限してるのか。
日本では水がそこまで貴重じゃない・・・いや、貴重ではあるがそこまで意識した事はないな・・・かなり裕福だって事か・・・今更ながらそう思う。
食べ終わると片づけをさっとして、すぐに出発する。
結構寝たので体の疲れは無いし、筋肉痛も無い・・・回復力も上がったのかな?
先頭が熊殺しさん、次が小さい人、最後尾が俺だ。
最後尾って結構危ないんじゃありませんでしたっけ?
ねぇ、大丈夫? 俺、弱いっすよ?
心配を他所に特に何も無く、お昼位には森を抜けられた。
森を抜けた先は草原? になっているが、草が背の高さを超えている・・・いや、森を抜けても見通し良くなって無いんですけど・・・熊殺しさんが剣で草を刈りながら進んでいる。
最後尾になった俺は進むのに不便が無い・・・草があるから最後尾にしてくれたのかな?
しっかし、モンスターに会わないなぁ・・・もしかするとモンスターを避けながら進んでるとか? だとすると、後でどうやってるのか聞いて、技術のご教授願いたいなぁ。
森から遠ざかって後ろの森を見ると、特に何も無い森って感じだった。
皆無事だと良いけど・・・俺が一番危ないといえるし、大丈夫だろう。
草の長さがだんだんと短くなっていってるように感じると、前を進む2人の速度もどんどん速くなっていった。
やっぱり1日2食なんだなぁ、お腹が減ってきたよ・・・
進んでいくと、砂利道が見え、道には2本の轍があった。
街道か? ただの砂利道なのにかなり歩きやすいな。
街道に入ったことでかなりペースが上がっていった。
前方に建物っぽいものが見えてくる。
おお! 街? 村? に着いたのか? 結構早かったなぁ!・・・そう思いながら、街を見ると・・・農村だったのであろうが、家は壊され、畑はあらされ、色々な所が燃やされ散々な状態だった・・・死体が無いのが唯一の救いと言えるかもしれない。
盗賊に襲われた? モンスターかも? いや、戦争なのか? それにしても、ミントの臭いがするなぁ・・・たまに、ハーブが魔物避けっていうのもあるけど、それなのかな?
でも、戦争していたとしたら、兵士にさせられるのかな?・・・本当に、やだなぁ・・・人を殺したいとも、殺されたいとも思わないしなぁ・・・でも、森に逃げても死ぬだけだよなぁ・・・ふぅ・・・今は、したがって歩くしかないか・・・
街に着いたときには夕方だったので、ここに泊まるみたい・・・イヤ! こえぇよ! お化け出るんじゃない? 出ないでよ・・・まじで。
あ! でも、この世界はモンスターがいるんだから、バンシーとかリッチとかか? ゴーストやゾンビもありうるよね? どっちにしろやだなぁ。
手招きをされ、街の中央の比較的崩れていない石造りと木造半々の建物にそのまま入っていく。
受け付けカウンターっぽいのがあるから、宿屋なのか?
そこまで大きくない宿屋で、無事な部屋が数室ありそこにはベッドもあった。
キッチンというより土間っぽいな・・・そこで、ご飯の準備を始める小さい人。
晩御飯は、黒パンとお肉でした。
初めて食べたときに思ったけど、このお肉って豚肉なのかな? かなり美味しい豚肉なんだよね、ブランド豚とかかな? お金持ちっぽいしね。
宿の中の一室で眠ることになったが、井戸があるので行水することにした。
そこらへんの乾いたシーツを勝手に使って、体を洗い、ふき取る。
久々に風呂入った気分・・・石鹸が欲しいな・・・
戻ると宿の受付のところに、何故かテントが置いてある・・・
もしかすると、テントに獣避け? モンスター避け? の魔法でもかかっているのかもしれない。
いいなぁ・・・マジックアイテムほしいなぁ。
特に何事も無く夜が更けていった。
朝になり、朝食を食べる・・・スープと黒パンだ。
調味料とかってないのかな? スープはただの塩味だし・・・かなり薄味だし。
そう言うスープだと思えば、美味しいから特に文句はないけどね。
早速出発していく。
速度は昨日の後半と同じ位のハイペース。
ベッドで寝れて気力体力は十分、歩いててもほとんど疲れないし、筋肉痛もほとんど無い。
やっぱり体が強くなったのかな? Lvが上がったのかな? う~ん・・・わからん。
そんな事を思いながら後を付いて行く。
どうやら街道の先のほうにある山へ向かって進んでいるようだ。
山の近く? 山の麓に街があるのか? 鉱山の街とかなのかな? 山の近くなら、このペースを維持すれば夕方ぐらいには着くんじゃないのかな?
どんな街なんだろう? ワクワクするな、かなり楽しみだ。
夕方ごろになると、山を半周した所にある門が見えるところにまで来ていた・・・山がコの字にくりぬかれている? 人工か? いや、門を見る限りそこまでの技術があるとは思えないな・・・天然の要塞なんだろうな・・・良い場所に街を作ったもんだ。
門はかなり立派な石造りの西洋門という感じで、かなり大きい。
門の上には見回りの兵士が居たり、門の近くに門番が立っていたり、ファンタジーの定番と同じような感じだ。
ただ・・・門は所々欠け、門の下に岩が落ちていたりしている・・・岩を上に持ち上げる滑車も見える・・・まさに修復中という感じだった。
やっぱり戦争でもしているのかな? それともモンスターにやられたとか? 盗賊って線は無いな・・・しかし、村も壊されて、街も壊され・・・ひどいなぁ・・・
門に近づいていくと、門番の人が熊殺しさんを見て何かを言い、胸に手を当て敬礼? と思われる礼をする。
思っているよりも立場が高い人なのかもしれない。
門の入り口で、水晶みたいなものを触ってから入るらしい。
犯罪歴とかこれで調べられるのかもだね・・・王道ファンタジーキタコレ!
俺が触れると、何も起こらなかった・・・門番の人が首をかしげていたが、熊殺しさんの一言で何も無く入れた。
街はどうなっているんだろう? 期待に胸を膨らませながら門をくぐる。
廃村:ファッケルファンラウの村だったが、モンスターの襲撃により半壊している。 村人は大きな街に待避している。
短縮イベント:村の周りにはミントが植えられていたようだ。 モンスター避けに使われた物かもしれない。
指名手配確認水晶:魔力紋により個人を特定し指名手配犯ではないかどうかを見ると共に殺人していないかも解る。
不可抗力の殺人は履歴に残らず、殺意を持った殺人のみカウントされる。