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嘘/思い出/水あめ
嘘/
つまんないことから
次々と
上手に嘘をつけるようになった
触れれば
パチンと弾ける
シャボン玉のようなそれは
誰にも
触れられることなく
飛んでいくから
僕の嘘は
どんどん
軽くなって
僕の真実も
だんだん
軽くなって
ただ
吐き続ける
ここより高く
飛べるように
思い出/
良かった、なんて
思えないんだ
だって、
ほら
僕は
細部を顕微鏡で覗いて
後悔しちゃうし
書き損じた答えばかり
頭から離れない
方だから
あの頃は良かった、なんて
そんなこと
到底
思えやしないんだ
水あめ/
どうせ最後には
意地になるだけだと
知っているのに
赤く着色された水あめは
透きとおった宝石のようで
きっと
夢のような甘さで
これ以上
いいものなんてない、
そんな気にさせるから
そう思わせるひとに
出会ってしまうと
つい
身構えてしまう
結局は
無駄な抵抗だと
分かっているのだけれど




