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Riverside
流れゆく川のそばで
待っている
あなたが呟いた言葉が
海に行く前に
見届けたくて
山女魚の鱗
輝きを数え上げ
待っている
おいで
黄金の朝を乗り越えた
おはよう
おいで
漆黒の闇を捕らえるような
おやすみ
誰に呟いたものでもないのなら
私が
ちゃんと
見送るから
形も疎らな岩に
砕け散る水は
また一本の道筋となり
声を上げて
泣きたかった日々を
埋めるように
大河は
大海へと続き
おいで
声を枯らして叫んだ
あてのないごめんなさいも
おいで
今はもう手遅れの
ありがとうも
激流の中で
せせらぎの中で
薄羽の透きとおる
トンボが
川面をゆく
愚かしさの中で
あなたの
愛した日々が
流れていく
混じり合い
交じり合い
産み出された日々が
海に出され
誰のものとも
つかなくなる前に
私
流れゆく川のそばで
待っている
剥がれ落ちた言葉も
届かなかった想いも
決別よりも
優しい場所で
また巡り会うように




