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私と彼の恋模様  作者: 辰野
96/224

96.

 「乗り換えの電車はあと20分ぐらいあるからその間に駅弁というものを買っておきましょうよ。もう少しでお昼になるし一回でもいいから駅弁を食べて見たかったの」

 「私も食べてみたいです。けど駅弁を売ってる所ってどこにあるんだろう。ねぇ、明美なにか知らない?……明美ったら!!」

 「え、なに?」

 「なに?じゃない!!さっきから考えすぎ!!どんだけババ抜きをガチでやってたのよ。ババ抜きはあくまでただのゲーム、罰ゲームだってなかったことにしてくれたんだしもういいじゃない」


 そう、ババ抜きはただのトランプゲーム

 ゲームだから勝って嬉しいのは当たり前だし負けて悔しいのも当たり前。誰かが勝って誰かが負けるのも当たり前

 だからさっきのことなんて気にすることはなに一つないのだ


 でも私は小さい頃からかなりの負けずきらいで負けた時は人一倍悔しく感じる

 だからこれまでだってあまり負けないようにいろいろなテクニックを身につけて来たのだ

 さっきのババ抜きではいままでに覚えたテクニックをフルに使って絶対に負けないように工夫したのだ

 それをこうもあっさり突破されるとどうしても悔しいものがある


 今日じゃなくてもいいからいつか白崎さんに心理学について教わろうかなとも思っていたりもする


 「うん、そうだよね。それより駅弁ってあそこで売ってるんじゃない?ほら、あの人だかりができてるところ」

 「あーー、確かにそうかもな。なんかいい匂いするし」

 「うわ、あんたどんだけ鼻がいいのよ。犬の鼻でもくっついてんじゃないの?」

 「あ、おまえ犬をバカにしたな!犬は古来から人間と一緒に暮らしてきた歴史ある動物なんだぞ!そんな犬をバカにするなんてふざけるなよ」

 「でも私は今を生きる人だし。昔のことなんて知りませーん」

 「私も犬よりネコ派かな。手間もかからないし見てて飽きないし」

 「あ、あかりさんまで犬をバカにしないでくださいよ。犬だって賢いんですから」


 ひどくどうでもいい会話。こんなことをしている暇があったら早く駅弁を買うために列に並んだほうがいいに決まっている

 こんなくだらないことをしていたら列に並んでいる途中で新幹線が出る時間になってしまうかもだし並びながらでも会話はできる

 ものすごく不効率で時間を少しばかり無駄にしている


 けど、こうやってみんなとわいわいしながら無駄な時間を過ごすのも旅の醍醐味なんじゃないかな

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