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私と彼の恋模様  作者: 辰野
87/224

87.

 「そういえばさぁ、なんで海音ちゃんは前原さんを疑い始めたの?別に最初から疑ってたわけじゃないんでしょ」


 あれから前原さんはかなり変わった

 まず生徒会をやめ、自分がしてきた罪を全て告発して、これまでにいじめてきた人たちに頭を下げに行っている

 もちろん先生からも生徒からの信頼もガタ落ち

 他の学校に転校したりせずにこの学校に残るみたいだが、これからの風当たりはキツイものがあるだろう


 それでも前原さんは自分でこの険しくて苦痛しかない道を選んだのだ

 自分がしてきたことの重みを実感し、これまでいじめてきてしまった人たちから許してくれるまでこれを続けるのだそうだ

 けどこの学校を去っていった人たちは前原さんを許そうとするのは不可能ではないのだろうか


 私は海音ちゃんが支えてくれたおかげで精神的なダメージが少なかったので前原さんを許せたが普通の人は許さない

 前原さんもそのことを自覚した上でこの行動をとったことには流石だと言えるだろう


 「明美がいじめられ始めた最初の頃にさ、前原から水をかけられたことがあったよね」

 「あぁそういえばそんこともあったね。けど花壇の前を横切って水をかけられたんだからあれは私が悪いよ」

 「確かに花壇に水をやっててちょっとかかっちゃいましたなら分かるよ。けどあのときって前原はホースで水をあげていたんだよね」

 「…………そうだけど?」

 「おかしいと思わない?花壇に水をあげるのにホースで直で水をあげるなんて」


 確かに言われてみれば少しおかしいかもしれない

 環境委員でありずっと花壇に水を与え続けていた前原さんがホースで雑に水をあげるなんてありえるはずがなかった

 あまり花壇に水をあげないような人ならそういう間違いはあるかもしれない

 けどベテランである前原さんがそんな初歩的なミスをするとは思えなかった


 「それに明美は頭から水をかぶったよね。頭から被るような角度で水をあげるなんてただのバカでしょ」

 「…………確かに言われてみればそうかも。頭から水を被るような高さで水を出すなんて小学生のときに虹を作ろうとしたころ以来だわ」


 私は人を疑うようなことにはまるっきし向いていない

 どこからどう見ても私はすぐに人を信用してしまう人だし、人を傷つけることなんてまっぴらごめんだ


 「……今回はありがとね、海音ちゃん」

 「だから明美はそんなこと気にしなくていいの。私は明美に、明美は私に支えてもらわないといけないんだからこれぐらい当然だって」


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