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私と彼の恋模様  作者: 辰野
86/224

86.

 前原さんと一緒に過ごしていくに連れて段々と分かってきたことがある

 前原さんはなんでもできる、なんでもできるからこそ人に助けを求めることなんてないし全てを自分でやろうとする

 周りからは前原さんに任せておけばなんでもやってくれる、私たちが手伝っても邪魔になるだけだと思って手伝おうともしない


 そんな完璧な自分を演じるためにどれほどの努力と我慢が必要だったのかは私には分からない

 けど完璧な自分を演じることによって苦しんでいるのは目に見えて分かった


 「前原さんは私たちにどうして欲しいの?心の中に封じ込まれている前原さんはどうして欲しいの?」

 「……………………グスッ」


 目からまた一つ、また一つと増えていく涙

 声を上げてはいなくてもいつもの前原さんでは考えられないような表情だ

 心の中に封じ込まれていた前原さんが開放されたのだと悟った


 「けど、いくらあんたが泣いたところで私の心は許さないわよ。あんたがやったことには変わりないし、いじめられて転校していった子もあんたを許さないと思うし」

 「ちょっと!!海音ちゃんそんなこと言わないでよ!!」

 「いいのよ、堀川さん。私はこれまで許されないようなことをしてきたんだから。怒られようが殴られようがそれを受け入れなければならないほど大きなことをしてきたんだから。

 それと、その………いじめてごめんなさい。痴漢にあっても明るく振舞っているあなたをみて目障りと思ってしまって…………」

 「別に、もう気にしてないよ」

 「………………あなたは本当に優しすぎるわね、ありがとう。けどこんなことであなたへしたことの罪が消えるなんて思ってないからいつでも私を頼って。

 ……まぁあなたをいじめたような人を頼れなんて無理な話だろうけど」

 「そんなことないよ。だって前原さんは私の友達だもん」


 確かに出会いは最悪で、思い出したくないような関係かもしれない

 けどいくら出会いが最悪だからって私の友達であるのは変わらない

 今までのことを無条件で許せなんて言われてもできないかもしれないけど、前原さんがもうこんなことをやらないっていうなら許してあげなくもない

 誰だっていじめたくていじめる人なんていないのだ。その裏には自分の過去から逃げたかったり見栄を張りたかったりする


 「…………こんな私でも友達って言うなんてどうかしてるよ。私も胸を張ってあなたの友達でいられるようにならなくちゃね」

 「はぁ…………こんなことして許す人なんて明美ぐらいなんだからね。あんたも感謝しときなさいよ」

 「そうね。堀川さん、ありがとう。こんな私を救ってくれて」

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