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「じゃあ仮に私がなにもやっていないって言い張ったとするよ。そうしたら二人は私のことを信じられるのかしら。
なら、堀川さんのもやったしこれまでのも全て私がやったと言い張ったら。今度は私が誰かをかばっているのではないかと疑うのではないかしら。
だって私が罪を認めた理由なんて他の誰にも分かるわけがないもの」
「理由ならあるよ。……なんとなくだけど、分かる」
確かに私は前原さん自身ではない。これは私の推測であり、彼女の思いがこれと全く一緒だと決め付けることはあまりにも無理がある
けど私には前原さんと一緒に過ごした時間がある
短い間だったけど、前原さんがどのような考え方でどのような性格なのか、苦手なタイプに好きなタイプ、前原さんがこれまでに遭った不思議体験とかいろいろな話をした
だから前原さんがどのようなことを考えているのかがなんとなくだけど分かることもできる
「止めて欲しいんでしょ。制御が効かなくなって暴走している前原ちゃんを」
「!?」
「分かるよ、前原さんの気持ち。全部とは言えないけどなんとなく分かるよ。
さっき私が字の癖字とかで前原さんを犯人だって決めつけたけどこれだけじゃあまりにも不十分すぎる証拠だよね。
私は筆跡鑑定のプロじゃないもん。たった数十字を見ただけで誰なのか予想できるわけないもん。当たり前だよね」
今の科学がどのくらいまで発展しているのかは知らないけど少なくとも素人には到底無理な話である
癖なんて誰にもあるし女子の字は大抵似たようなものばかりである
その中からある特定の人物を特定するなんて不可能に近い
ましてや100パーセントこの人だって言い張れるわけがなかった
「私でも分かるようなこんな大きな穴をなんで前原さんは否定しなかったの?前原さんならこの穴に気づけていたはずだよ。
…………気づいていたけどわざと否定しなかったんじゃないの?」
「…………」
「前原さんだってほんとはこんなことをしたくてしてるわけじゃないんでしょ!?誰でもいいから止めて欲しいんでしょ!!違う!?」




