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私と彼の恋模様  作者: 辰野
84/224

84.

 そう、海音ちゃんが突っ込んでくれたように私はまだ漢字テストしか見せていない

 もちろん上履きに「痴漢女」という文字が書かれているのは私と海音ちゃん、それに白崎さんたちしか知らないはずだ

 前原さんがこの漢字テストを見ただけで反応を見せる方がおかしいのだ


 「…………それで漢字テストそっくりのようにしたいって言い出したのね」

 「それなら『痴漢女』の三文字を書かせることができたからね。バレるかどうかヒヤヒヤだったよ」

 「明美にしたらなかなかの作戦だったと思うわよ。決定打にはかけるけどね」


 そう、確かに漢字の形とか癖とかじゃ断言することはできない

 私たちは普通の中学生で筆跡鑑定なんて超レアなスキルは持っていないのだ


 だから私は海音ちゃんになにか掴めていないのか連絡を取った

 そしたら今日のうちに終わらせるって言われたのでこうやって教室まで呼び出された感じである


 「浜口を脅してきた三島グループがどうやってその情報を持っていたのか気になって調べてたの。ほら、あんないかつい軍団が電車の中にいたら誰も近づかないでしょ

 まぁ、あんな奴らが満員電車に乗るとは思えないけどね。

 ならどこかでそれを教えた情報源がいるわけじゃない。その人をずっと探ってたの」


 そういえば海音ちゃんの言うとおりである

 私にとってはそれで浜口くんが脅されて三島に入院させられたことしか印象に残っていなかったので完全に忘れていた

 海音ちゃんも私以上に腹が立っていたので冷静な判断ができなかったはずだ

 たぶん昨日、浜口くんのお見舞いに行くって言ってたからそのときにでも相談したのではないだろうか


 「調べてみたらこれまでにもいろいろなことがあったみたいじゃない。少なくとも三島たちに情報を売ったのは明美が初めてじゃないでしょ。

 三島たちが積極的に活動し始めたのが去年の5月、それに学校への不登校者、不自然な時期に転校していった人が急増し始めたのも去年の5月。

 これって偶然なのかしらね」

 「さぁ、どうでしょうね。たまたまでしょ」


 この手のいじめが去年からあったことには驚愕だが海音ちゃんはどこからその情報を取ってきたのだろうか

 それに去年の5月からずっと続いているといっても、その人たちの犯行なのかもしれないしそれが可能なのは2、3年とかなり大雑把な範囲である

 それを全て前原さんがやったということは流石に根拠にはなりそうにない

 前原さんは私の犯行についてはほとんど認めているけど、それでも不確かなことを全て前原さんのせいにするわけにはいかない

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