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私と彼の恋模様  作者: 辰野
80/224

80.

 次の日から私と海音ちゃんの間に会話はなくなってしまっていた


 確かに今朝もわざわざ私を迎えに来てくれていたし電車の中ではいつもと変わらないようにおしゃべりした

 学校についてもいつもと同じように下駄箱の掃除も手伝ってくれたし、冗談だって言い合っていた


 けど教室に入ったとたん私には話しかけないでと言われた

 はっきり言って海音ちゃんが何をしたいのかさっぱり分からなかった


 確かにまだ私も昨日のことについては謝っていないし、電車の中でもできるだけその話題が出てこないように話を反らしていた

 けどここまです私をさけなくてもいいのでないのだろうか


 それからは私がいくら話しかけても「もう、私とは話さないで」しか言わずにそそくさと歩いて行ってしまう

 クラスのみんなもあまりの私たちの変わりようにどう対処したらいいのか戸惑っているみたいだった

 けど一番戸惑っているのは他の誰でもない、この私である


 「前原さん、私ってなにか海音ちゃんを怒らせるような事したのかな」


 あまりにも海音ちゃんの様子がおかしいので席が近くて頼りがいのある前原さんに相談してみた

 もちろん前原さんは喧嘩の内容を知らないので、私からはなんとも言えないと言われたがとりあえず謝る事を進められた

 垣根沢さんがその結論に至るのにどんな感じで考えたのかを聞いたほうが良かったのではないかという


 確かに前原さんの言いたいことも分かるしそこは私も悪かったと思っている

 けど海音ちゃんがそれだけの理由で私を無視しているとはどうしても思えなかった



 「あれ、なんで筆箱がないの!?」

 「ん?堀川さん筆箱忘れちゃったの?堀川さんが忘れ物なんて珍しいね。はい、鉛筆と消しゴム貸してあげるから使っていいよ」


 いつも筆箱はもって帰らずに机の引き出しの中に入れておくのだ

 家にもシャーペンはたくさんあるのでわざわざ家まで持って帰るなんて無駄にリュックが重たくなるだけである

 そう思っていつも引き出しの中に入れてあるので忘れるはずなんてないのだが、ここは忘れたフリをしてありがたく借りておく


 私の中ではこれが何を意味しているのか理解できていた

 これはおそらく新たなるいじめだ


 これまでは何故か最も王道で一般的なはずであるはずのものを隠したり、壊したりされたことは一度もなかった

 なので私の中ではいつかそういうことをされる時も来るのではないかと思って身構えていたのだ

 だからこそ前原さんにはこのことを知られないようにするためにもなるべく気づかれないようにした

 前原さんも特に気にしなかったらしく「今度からは気をつけるようにね」と生徒会らしい声をかけてさっきまで聞いていたはずの授業を受け始めた

 

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