79.
「堀川さん遅かったね。もう終わっちゃっ……どうかした?」
あれから10分ぐらい泣き続けてやっと涙が止まったので前原さんのところに帰ってみたけど、やはり目は充血していたらしい
帰ってそうそう前原さんに心配された
かといってそのまま帰ったとしても前原さんの連絡先を知らないので、私がまだ学校の中にいると思って門の鍵を閉めないでくれるはずである
だから時間が経ってでも前原さんのところには戻らないといけなかった
ほんとは一人でそのまま帰りたかったけど私から見回りを見せて欲しいと言ったのでこれ以上迷惑をかけることはできなかった
「よかったら私になにがあったのか話してくれない?私にできることはなんでもやるから」
そういって前原さんは私を慰めてくれた
けど私はどうしたらいいのか分からなくなってしまっていた
海音ちゃんがあれほどまでに警戒している人
ただたに気に食わなかったから適当な事を言ったのかもしれないけど、どうしても海音ちゃんが言ったことを全て否定することはできなかった
海音ちゃんとはこれまでに喧嘩してきたけど心の底から嫌いになったことなんて一度もない
「ちょっと海音ちゃんと喧嘩しちゃった。よくあることだから気にしないで」
「…………そっか。でも話したくなったときは絶対に私を頼ってね」
「うん、そうさせてもらう」
だから私はわざと、言葉を濁してなにがあったのかだけを伝えた
確かに私は海音ちゃんと喧嘩して泣いていたけどなぜ喧嘩したのかは言わないでおいた
これで前原さんがつっこんで聞いてきたら答えていたのかもしれないけど、私たちの問題だからなのか何も聞かずに引いてくれた
この前原さんの小さな心遣いに心から感謝した
まだ私の頭はこの状況を正しく認識してくれていないのでゆっくりと考える時間が欲しかった




