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私と彼の恋模様  作者: 辰野
78/224

78.

 なんで、なんでなんでなんでなんで!!

 なんで海音ちゃんはあんなことを言ったの!?


 私は海音ちゃんとは小学校の頃から一緒にいた

 小1の時に席替えで隣の席になってからなのでざっと8年の付き合いだ

 だから海音ちゃんの癖とか考えてることとかはなんとなくだけど分かる

 今、お腹がすいてるんだな。友達に悪口を言われて悔しい思いをしているけど泣かないように我慢しているんだな

 そんな些細なことでも分かるくらい、一緒にいたのだ


 けど今は海音ちゃんが何を考えているのか分からない

 なんで海音ちゃんはあんなにも前原さんを嫌うんだろう

 前原さんと海音ちゃんが話していることなんて見たことがなかったし、今日だって私と前原さんとの会話には入ってこようとはしなかった


 たぶんこれまでで一度も話したことなんてないだろう

 なのになんで海音ちゃんは前原さんの事をあんなにも悪く言えるの?

 人は見た目と中身が一緒なんてことはまずないからよく話してから見極めるんだよって教えてくれたのは海音ちゃんじゃない


 「…………どうしちゃったの、海音ちゃん」


 冷静になっていくにつれて海音ちゃんへの怒りよりも一人になった心細さの方が強くなってきた

 海音ちゃんとはこれまでに何度も喧嘩してきた

 消しゴムを貸してくれない、手が当たって痛かった

 そんなどうでもいいことですぐに喧嘩して、喧嘩するたびに仲直りをしてきた


 けど今回は違う。どちらかが謝れば済むような軽い問題ではなくなっている

 ここで海音ちゃんが謝りに来たとしても快く許せるとは思えない

 海音ちゃんが悪口を言ってしまったことを許せたとしても、心の中で思っていることには変わりはない


 それを知っている中で海音ちゃんとこれまで通りに過ごせるかと言われたら自信がなかった

 もしかしたら私のことも悪く思っているのじゃないかって考えてしまう

 私を助けてくれたのもただ哀れに思っただけなのかもしれない

 そんなことを考え始めたらキリがないのにどうしても考えてしまう


 私の頬にすーっと冷たいものが流れ落ちる

 拭っても拭っても涙が止まることはなく、いつのまにか私は声を噛み殺して泣いてしまっていた

 誰にも聞かれないようにこっそりと


 別に海音ちゃんと喧嘩して悲しいとか後悔しているから泣いているのではない

 確かに悲しいし、後悔もしているけどこの涙はそんな軽いものではなかった


 海音ちゃんを信じてあげることができないかもしれない


 おそらくこれからは海音ちゃんが言った言葉を素直に受け止めることはできなくなるだろう

 その言葉には裏があるのではないか、もしかしたらその言葉自体が嘘なのではないか

 海音ちゃんを心から信じることはできないだろう


 そんな自分を殴り殺したい程の怒りが湧き上がった

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