77.
ゴミ置き場は校舎とはだいぶ離れていて裏門の近くにある
すでに周りは暗くなってきていて下校する人も誰ひとりいない
今はまだなんとか大丈夫だがあと数分したら真っ暗になりそうなので早いところ話を終わらせて欲しい
大事な話なのだろうがそれでも怖く感じてしまうのは仕方がないのだ
「明美、あの前原とはあまり関わらない方がいいと思うの」
海音ちゃんは後ろを確認して誰もいないと確信してから私にそう言った
いつも海音ちゃんは考えて結論を出しているのだが私たちには結果だけをズバッ、と言ってくる
「…………どうしてなの」
これまで、どうやってその結果にたどり着くのかは聞こうとはしなかった
私がそれを聞いたところで分からないだろうし、海音ちゃんがそう考えたのなら全部とはいかないまでもほとんどのことは信じてもいいと思ったからだ
だけど今回はいつもとは違う
海音ちゃんは陰口なんて言うようなタイプじゃないし、人の悪口を言うなんてことはこれまでに一度もなかった
確かに悪口を言うこともあるけど、その人に直接言ったとしてもおちょくっているぐらいにしか思われないぐらいのものすごく軽いものばかり
だからなのかもしれない
海音ちゃんは絶対に人の悪口を言わないって宣言しておきながらこうやって陰口を叩いているし、それになによりも私の友達を侮辱されたことに腹がたった
「…………まだはっきりとは言えない」
「ハッキリと言えないってなんなの!!海音ちゃんはいつも人の悪口を言わないようにしてたよね!?けど今のは誰がどう見ても悪口としか思えないよ!!
まだハッキリとは言えないってことはなんなの!!それって前原さんがただ気に入らないからそうやって言ってるんじゃないの!?」
「…………確かに私もまだ根拠はないの。けど前原は私たちになにか隠してる。それに、あんなに完璧な人間ほど裏があるの」
「それって海音ちゃんの推測だよね。海音ちゃんが勝手に前原さんをこんな人だろうって決め付けてるだけだよね。…………海音ちゃんがそんな人だったなんて思わなかったよ」
「えっ、ちょっと待ちなさい、明美!!止まってってば!!」
私は海音ちゃんの制止の声を背中で受けながら一人でさっさと校舎の方に戻っていく
もう周りはだいぶ暗くなっていていつもならかなりの恐怖が襲いかかってくるはずだけど、今は恐怖の感情を受け付けられるほど心に余裕はなかった




