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私と彼の恋模様  作者: 辰野
76/224

76.

 「別にいいよ。住んでいて汚れない部屋なんてないでしょ」

 「でも…………」

 「確かにね、1年生の方が格段に綺麗ではあるよ。けどさぁ、それってこの学校に慣れてないからじゃないのかって私は思うの。

 ほら、自分の部屋は汚しても友達の部屋にいって汚して帰ろうなんて思ったことないでしょ。あれと一緒。

 それに学校っていうのは社会勉強をするところじゃない。ここで汚していても社会に出てポイ捨てをしないようになればそれでいいんじゃないかな」


 確かに私も学校は社会勉強をする場所だと思っている

 先生たちも同じようなことを言っていたけどそれは単に気に食わない人とでも仲良くしなければいけないことだと思っていた

 学校とは人間関係を鍛えるためにあるものだと、そう思い込んでいた


 けどそれは大きな間違いだったのだと始めて気づかされた

 確かに人間関係も大切だけど、一番大切なのは当たり前のことを当たり前にできるようになることだ

 ポイ捨てをしない、授業中に大きな声で騒がない、時間を守る、廊下を走らない……

 そんな当たり前のことを社会に出て、当たり前にできるようになるために学校に来ていたのだ


 「私、今度から前原さんのお手伝いする」


 かといって私たちができなかったことを前原さん一人に全て任せきってしまうわけにはいかない

 私にできることはこのぐらいしかないけれど、それでも少しでも前原さんの力になれるのなら私は協力したい


 「ほら、海音ちゃんも」

 「えっ、私も行くの?」

 「当たり前じゃん。さ、はやくはやく」


 何故かさっきから海音ちゃんは私たちの会話に入ろうとしない

 私が話をふっても「うん、そうだね」とかすごく曖昧な言葉しか帰ってこない


 別に海音ちゃんの具合が悪くなっているわけではないのだ

 昔からなにか言いたいことがあるときはこうやって無言になる

 長年の経験から海音ちゃんが黙ってしまうときはおとなしく海音ちゃんの意見を聞いたほうがいい

 私みたいに思いつきで行動せずにいろいろと考えたうえで行動する人なので何かしらの根拠があって私に何かを伝えたいと思っているはずだ


 確かに前原さんの役にたちたいとは思ったが海音ちゃんが何を考えているのかも聞きたかったのでこの際にと思って抜け出させてもらった


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