75.
前原さんと私たちは30分以上も誰もいない校舎内を歩き廻っていた
その間、前原さんはクラスのゴミ箱にゴミが残っていないか。廊下はキレイにされているか。それはもうすみからすみまで見て廻っている
もしゴミが落ちていたり、ゴミが捨てられていないクラスがあればずっと持ち歩いてきた袋に入れて全て回収
ゴミがいっぱいになって持ちきれなくなったらゴミ捨て場まで持っていき、また新しい袋を持ってきて再開
思っていた以上に生徒会は私たちがよりよく暮らせて行けるように裏で仕事をしてくれていたのだ
確かに朝、学校に来たらゴミ箱にゴミが入っていたことなんて私が知る限り一度もなかった
もしかしたら私が注意深く見ていなかっただけで、ゴミが入っていたときもあったのかもしれないが、そもそもゴミ箱を注意深く見ようと思ったことなんてない
私たちの常識は生徒会が作り上げてくれているものだと始めて気がついた
「……なんか、ごめんね。私たちのせいで」
「ん?なにが?」
4袋目がもう入らなくなって前原さんが5袋目の新しい袋をだしたときである
あまりのゴミの量に裏で動いていてくれていた生徒会の方々に申し訳なくなった
確か日直の仕事の中にゴミ捨てという項目があったとは思う
けどちゃんとごみ捨てをしていたのは1年の最初ぐらいの時までだったのではないのだろうか
なぜなら自分たちでゴミを捨てなくても翌日には綺麗さっぱりゴミがなくなっているからだ
私たちはそれが当たり前だと思って生活してきたのだ
「私たちは1年生の見本にならないといないのに……こんなんじゃ見本になんてなれないよね…………。」
1年生の教室を廻っていた時はゴミ袋がある意味なんてほとんどなかったのだ
精々、廊下で牛乳を飲む時に使うストローの袋を拾ったぐらいだ
なのに2年生の教室に来たとたん、前原さんが持ち歩いていたゴミ袋が大活躍してしまう
教室のゴミ箱にゴミが溜まっているのは当たり前
そして廊下には給食を運んでいるときにこぼしてしまったのだろう味噌汁に使っていたワカメが落ちていたりもした
そのワカメを嫌がる素振りも見せずに、前原さんはポケットからティッシュを取り出して当たり前のようにゴミ袋へと入れる
たった1年、たった1年しか違わないのにこの差である
しかも私たちより年下なのにやっていることは立派である
ほんとは立派もなにも当たり前のようにやれないといけないことのに、私たちにはできないのだ




