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私と彼の恋模様  作者: 辰野
71/224

71.

 「それにしても、こんなの言われたの明美ちゃんが初めてだなぁ。生徒会のみんなでさえ見回りなんてやりたがらないのに」

 「うん、まぁちょっとね。こっちこそ無理言ってごめんね」

 「ううん、大丈夫だよ。私も話し相手がいてくれて嬉しいし、この前水かけちゃったから少しぐらいの無理なら聞いてあげるよ」


 ん?水?

 あぁ、そういえば前原さんに水をかけられたこともあったんだっけ

 あの日から下駄箱のイタズラが続いてたから2週間ぐらい前ってことになるけどそんな昔のことも覚えててくれたんだ

 私でさえ水をかけられたことを覚えてなかったのに……


 「そういえばそんなこともあったね。あの日は頭から水かけられてちょっと寒かったよ」

 「ほんとにごめんね明美ちゃん。私がよそ見してたばかりに」

 「だから気にしなくていいってば。あれは事故だったんだし笑い話にしちゃおう」

 「そう言ってもらえると私も助かるよ」


 前原さんとはあまり話したことはなかったが話してみると気が合いそうな気がしてきた

 前原さん個人としてはあまり話すのが得意ではないのであろう

 さっきから自分から話しかけることはないし海音ちゃんとも話そうとしない

 けど前原さんはすごい聞き上手で、私もあまり喋らないほうなのにどうしても喋ってしまうのだ

 トークスキルというのは話し上手のことだけと思っていたけど、相手の言いたいことを引き出すこともトークスキルだと思った


 「キーン…コーン…カーン…コーン…………」

 「あ、予鈴だ」


 気がついたら朝の会が始まる時間になっていたので私たちは30分ぐらい話していたことになる

 いつの間にそんな時間が経過していたのだと驚くとともに前原さんの貴重な勉強時間をとってしまったことに詫びを入れる

 別にそんなことで点数変わらないって、となにも気にせず笑ってくれたが点数が変わるから1時間目に小テストがあるときはいつもやっているのである

 私みたいな人が前原さんの貴重な時間を奪ってしまって申し訳ない


 もちろん私は勉強はあまりできないし、やる気もないので朝から勉強なんてしたことないのだが……

 結局1時間目にあった小テストは10点中6点しか取れず、前原さんは満点を叩き出したことには前原さんの才能を感じるとともに、私の勉強のできなさに落胆した


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