57.
「で、あんたは明美を守るために三島のところに乗り込んでいったと」
「もし俺が脅さなくても今度は他の誰かが脅しに行く可能性があったからな。
あいつに殴られて問題を起こさせるのが目的だった」
私はさっきよりも大きなため息をつく
あまり浜口については知らないが明美とすごく似ていると思う
なにがあっても一人で解決しようとすること、人には心配かけないように人の前では無理して明るく振舞うところ
まるで明美の悪いところを全てコピーしているかのようだ
「あんたも明美も、もうちょっと人を頼ることを覚えなさいよ……」
「そうだな、頼れるような友達ができたらそうするよ」
「私たちは?」
「…………ん?」
「私たちを頼ってくれないの。それとも女子は頼りない?」
「頼って……いいのか?」
「いいに決まっているでしょ。もうただのクラスメイトではないと思うけど。ね、明美?」
さっきから明美が盗み聞きしているのは想像がつく
会話の途中にも何度か後ろの方で物音がしていたし、いくらなんでも飲み物を買いに行くのに時間がかかりすぎである
売店には入れなかったとしても自販機なら受付のところに行けばいくらでもあった
30分近くもかかるようなおつかいではない
「……気づいていたの?」
「……気づかれないと思ってたの!?」
明美が気まずそうに部屋の中に入ってきた
ってことは30分近くも廊下の前に立っていたのだろうか
周りから不思議な目で見られていただろうに…………
「それで、明美もなんか言うことあるんじゃない。どうせ最初の方から聞いていたんでしょ」
「てへっ」
舌をちょっとだけ出しておどけてみせる明美
久々に心の底から笑えている明美を見たような気がする
「あのね、浜口くん。ちょっと頼りないかもしれないけど、私も頼ってくれると嬉しいな。
私ね、海音ちゃんにいっつも支えられて申し訳ないなって思ったの。海音ちゃんの足を引っ張って邪魔しているだけだと思ってた。
けどね、それでもいいんだって初めて気づけたの。
私は海音ちゃんに支えられているけど、私もどこかで海音ちゃんの支えになっているんだって。支えあって生きていくからこそ人間だって言われたの」
確かに人は支え合いながらじゃないと生きていけないと私も思っている
人間は一人では生きていけない、たくさんの人の支え合いの力で生きていけると思っている
…………けど、私この話、明美にしたことあったかな?
「だから浜口くんも一人で抱え込んでないで一緒に支えあおう。今回は私が支えられたけどいつか私も浜口くんを支えてあげるから」




