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私と彼の恋模様  作者: 辰野
52/224

52.

 殴られると分かっていながら、なにも対策をせずにここに来るわけがない


 制服の下には分厚いジャンバーを着て衝撃を弱め、腕には校舎裏で見つけたチェーンを巻きつけて穴があいているところに画鋲を刺しておいた

 これなら殴ってきた時に針が刺さるかもと咄嗟の思いつきだったが思った以上の効果をもたらしてくれた


 腕が折れてしまったものの三島の方にも大ダメージが入っている

 誰も殴り合いに凶器を使ってはいけないなんて言ってないからな


 「お頭、お頭!」


 そもそもほんとに喧嘩するなら拳で殴るなんてNGだ

 拳は思っている以上に薄くて脆い

 どうせこいつなんか拳で殴ってビビらせればいいやなんて思ってたんだろうけど残念だったな


 「…………ってんめぇ」


 まぁこれでこいつが倒れるとは思っていないけど


 もう俺の体は立つことすらできない状態

 あとはなにも抵抗できずにただ蹴られ続けるだけだろう

 いきりたったこいつらは手加減をせずに容赦なく潰しに来るはずだ


 けどこいつらだって俺と同じ中学生

 学年が一つ上で確かに俺より力は強いだろうけど人を殺せるほどじゃない

 精々、病院送りにされるぐらいだ


 それに先生らだって流石にこれを見逃すわけにはいかないだろう

 これまで窓を割ったりタバコを吸ったりはしてきたが校内で暴力を振るうことはなかった

 だからこそ見逃してきたのだ、誰にも被害が出ていないからと


 でも今回でその言い訳も通用しない

 殴った本人も怪我しているし俺に至っては病院行きだ

 学校が隠蔽するにしても隠しきれないほどの被害が出てしまっている


 確かに喧嘩には負けたかもしれないが、俺の戦略的勝利だ

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