46.
いつの間にか電話は切れていて、プーーッ、プーーッと耳元で鳴り続けている
けどなぜか私にはその音が心地いい
そのとき私は気づいてしまったのだ
もしかしたら私は海音ちゃんに怒られたかったのかもしれない、と
なにしてんの、バカじゃないの、もっと周りを見ろや
海音ちゃんからだいぶキツイ事言われたけど私の心は全然痛くない
だってその言葉には愛がこもっているって分かってるから
「迷惑をかけられるから親友…………か」
海音ちゃんはいつも怒ってくれるとき、私が本当に欲しいと思っている言葉を言ってくれる
たぶん海音ちゃんはそんなこと気にせずに思ったことをそのまま口に出してるんだと思う
だからこそ私は嬉しい
それが海音ちゃんの本音で、心の底からそう思ってくれているってことだから
「でもごめんね、海音ちゃん。ちょっとだけ言いつけ破らせて」
海音ちゃんからは問題が解決するまで学校に行くなと言われた
確かに学校に行くなと言われてほっとしている私がいる
もう私があんな思いをしなくていい
海音ちゃんが全て背負ってくれる
けど、それはもうできないんだ
私だって変わっていくって決めた
海音ちゃんにずっと頼っているわけにはいかない
それに一つだけどうしても許せないことがある
死ねだとかブタ野郎だとかは自分のことだからなんとか我慢できる
でも一回だけ相手が他の人を馬鹿にしたことがある
『あの人ブサイク』
紙切れの内容から相手は私が痴漢に遭っているところを見ていたのは分かっていた
ならあの人っていうのが誰なのか
おそらく私を助けてくれた人、つまり白崎さんのことだ
私の悪口ならまだ許そう、けど私を助けてくれた白崎さんまで侮辱するのは私の許容範囲を超えている
白崎さんはあの場から私を救ってくれた
あんたとは違ってただ見てるだけでなく行動を起こしてくれたのだ
そんな恩人を侮辱する権利なんて、ただ面白がって見ていたあんたにあるわけがないだろうが




