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私と彼の恋模様  作者: 辰野
42/224

42.

 そもそもなんで浜口が明美がいじめられていることを知っていたのだろうか

 浜口とはこれまでこれといった接点がなかったし、直接話したことがあるかどうかさえも分からない

 明美はそんな人に助けを求めたのだろうか


 いや、それはない

 明美の男性恐怖症はだいぶ治ってきたがそれでも完全に治っているわけではない

 学校でもできる限り男子とは接しないようにしていたはずだ

 初対面に近くて、なおかつ男子である浜口にそんなデリケートな話をするわけがない


 「なんであんたがこのことを知っていたのか説明が欲しいんだけど」

 「お願いだからそんな怖い顔で睨まないでくれよ。一旦冷静になってくれないか」

 「こんな時に冷静になれって方がおかしいでしょ!!明美がイジメられてたんだよ!私の知らないところで!!

 明美をイジメてるやつにも腹が立つけどなによりも腹が立ってるのは他の誰でもない、この私に対してよ!!

 明美が思い悩んでいるのに気づいてあげられなかった…………」

 「俺はまだ垣根沢たちのことをよく知らないけどさ、堀川は垣根沢に心配かけないように精一杯隠してきたんだと思うよ」

 「そんなの知らないよ!崩れそうになったときは私が支えてあげるって言ったのに…………なんで、なんで相談する前に崩れちゃうかな……」

 「相談しなかったんじゃない。相談できなかったのかもしれない」

 「えっ?」


 いつの間にか私の目には涙が浮かんでいて声をあげて泣きそうになっていた

 必死に声を殺していたのに浜口には気づかれていたらしく、こっちを見ようとせずに1枚の紙きれを渡してきた


 私は目に浮かんでいた涙を拭ってその紙切れを開いてみる

 そこには黒いサインペンで『喋ったらばらす』と書かれていた


 「他にも見てて反吐が吐きたくなるほどの悪口を書いた紙が下駄箱に入ってた。でも堀川が一番辛かったのはこの言葉じゃないかな」


 そう言って浜口が顎で明美の下駄箱を開けろと言ってきた

 見た目からしてなにも変なとこはない下駄箱

 つまり問題なのはその中身ってことだ


 恐る恐る下駄箱の蓋を開けてみるとそこにはごく普通の下駄箱があった

 壁に落書きがされたり、何かを入れられてるわけでもない


 けど私が見つめて絶句した理由は明美の上履きの中にあった

 上履きの中敷のところに書かれていた『痴漢女』という文字に

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