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私と彼の恋模様  作者: 辰野
36/224

36.

 昼休みもいつものように図書室に居座っていた

 海音ちゃんが図書委員でほとんど毎日図書室に通っていたのでいつの間にか私も図書室に通っていた


 いつも読むジャンルは恋愛ものばっかり

 私の心を桜色に染めてくれる


 なのに今日は全然集中できなくて心の中も桜色どころかどす黒い色になってしまっている


 「ごめん、海音ちゃん。先に教室に戻っとくね」

 「うん、なにか借りてくの」

 「いや、今日はいいや。なんか本読む気持ちになれないんだ」

 「なんか珍しいね。いつもなら私が呼びに行くまでずっと読んでるのに」

 「うん、ちょっとね」


 確かに図書室は静かだが、考え事をするには向かない

 考え事をするときはぶらぶらと目的もなく歩くことが一番だ


 それに、さっきから誰かに見られているような気がして怖いのだ

 痴漢女と書かれている上履きをずっと履いているのもなんだか気持ち悪い


 上履きを誰にも見られないようにそっと下駄箱にしまって外靴に履き替えると校庭へと歩き出す

 グラウンドでサッカーをしている人、木陰で本を読んでいる人、おしゃべりしながら目的もなく歩いている人

 いつもと変わらずにみんなとても楽しそうだ


 だけどこんなに明るい世界を見ていても私の心が明るくなることはない


 「明美ちゃん危ない!!」

 「えっ」


 なにも考えずに適当に歩いていたらバシャッと冷たい水がかかってきた

 あまりにも急だったので避けきれずに頭から水を被ってしまう

 …………冷たい


 「ごめん明美ちゃん!私がよそ見してたから!!」

 「ううん、気にしないで。私は大丈夫だから」


 どうやら水をかけてきたのはクラスで前の席に座っている前原さんみたいだ

 とてもおとなしい性格で自分から行動を起こさず、人のサポートにまわることが多い

 クラスの人からの信頼も厚くて環境委員長もしているしっかり屋さんだ


 花壇に水をあげていた途中に私が通ったみたいで手には水が流れているホースを持っていた

 水を被ってしまうなんて、今日は運が悪いな……


 「へっくしゅ」

 「大変、濡れた制服着てたら寒いよね!はやく保健室に行って替えの服借りよう……というか私が水をかけたのに偉そうなこと言っちゃてごめんなさい!!」

 「いや、別に大丈夫だって。服なんて乾かせばいいんだから気にしないで」


 あのときの白崎さんもこんな気持ちだったんだろうなぁ

 さっきから謝られてばっかりで、謝られるこっちの方が困ってしまう

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