35.
「明美、もう大丈夫なの」
「うん、ただの寝不足だったから」
教室に戻ってきたのは結局3時間目の始め
保健室の先生に体調が悪いからと言ってベットを貸してもらい、ずっと考えていたのだがこんなことをやる人も、なんでこんなことをしたのかも何一つ分からなかった
ただ一つ分かったのはこのまま保健室で休み続けていたら相手の思惑通りになってしまいそうだということ
痴漢に遭ってから私はずいぶんと変わったような気がする
確かに男性は怖くなった。けどそれを克服するために精一杯努力して、精神的にもだいぶ強くなったと思っている
相手がどんな人なのかはさっぱり分からないけど、私の心を折ろうとしているなら望むところだ
最近は海音ちゃんに家まで迎えに来てもらわなくてもなんとか電車に乗れるようにはなってきた
そのときは海音ちゃんも一緒になって喜んでくれた
もしかしたら私以上に喜んでくれていたかもしてない
もしここで私が少しでも暗い顔をしたら海音ちゃんはまた心配するだろう
また痴漢にあったんじゃないのか、前のトラウマがまた復活してしまったのではないか
確かに心配してくれるのは嬉しいが、私的にはもう海音ちゃんに心配をかけたくない
「それより次の授業って国語だったよね。宿題写させてくれない?」
「もう、なんでいっつも宿題やってこないかな。ほら、あともうちょっと時間あるから早く写しちゃいな」
「あいがとう海音ちゃん。大好き!!」
だから私は海音ちゃんにいつもと同じようにふるまう
海音ちゃんにこのことを悟られる前に犯人を捕まえなくちゃ
そう決心して机に座り、海音ちゃんに借りた宿題のプリントを書き写していく
引き出しからシャーペンをとったが、そこにはなにも落書きはされていなかった
犯人はこのクラスにいて普段ここには入りづらい人なのか、それともこのクラスだけどいじめていることを公にしたくないのか
そっとクラスの中を見渡してみたが、私を見ている人はほとんどいない
いたとしてもすぐに違うところに目がいったりしてじっと見つめている人はいなかった
できればクラスの仲間を疑いたくはないがどうしても疑ってしまう
落書きをされたことも悲しいことだががクラスの仲間や友達を疑わなくてはいけないことがなによりも悲しかった




