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私と彼の恋模様  作者: 辰野
34/224

34.

 海音ちゃんにバレないように下駄箱から上靴を取り出す

 下駄箱の中は扉で見えてないはず、とりあえず今日はこのままに……


 そう思っていたのだが犯人はどうしても私をいじめたいらしい

 上靴の中敷の部分にも『痴漢女』と大きな太い字で書かれていた


 上靴にまでこんなひどいことを……

 せっかく男性恐怖症が少しずつ治ってきたのに、ここにきてまた私にあの時の恐怖を植え付けてくるつもりなの……

 どこまで私を馬鹿にしたら気が済むの……


 「体調でも悪いの?保健室で休んでたほうがいいんじゃない」

 「……うん、そうだね。そうするよ。海音ちゃんは先に教室行ってて」

 「え、でも……」

 「いいから!早く行かないと授業始まっちゃうよ」

 「う、うん。分かった。気をつけてね」


 海音ちゃんは不思議そうな顔をしながら教室へと向かっていった

 きつい口調で言ってしまったしせっかくの親切を断られて海音ちゃんは機嫌を悪くしたかもしれない

 けど、いいんだ。海音ちゃんに余計な心配かけたくなかったし


 「でも、どうしたらいいんだろこれ」


 授業開始のチャイムが鳴ってここを通る人はもういなくなったので早速下駄箱の掃除へと取り掛かる

 けど、相手はサインペン。この落書きを消すには一苦労である

 そもそも消せるのかどうかも分からない


 少しでも薄くなればとダメもとで濡れた雑巾で拭いてみるとなぜか簡単に取れてしまった

 もしかしたらこの落書きは水性で書かれているのかもしれない

 それは私としては好都合だ


 もし落書きをされたまま下駄箱を使っていたらすぐに誰かに見つかってしまう

 上靴の落書きまでは消せないが足を入れる所に書かれていたのでなんとか隠せそうだ


 けどこれをやった犯人はどうして水性で書いたのかが一番気がかりだ

 油性なら簡単にとれないからいじめとして使うには最適のはず

 サインペンも大抵は油性なのにわざわざ水性を使っている


 もしかしたらいつも水性を使っているのかもしれないとも思ったがそれは考えにくい

 水性ペンって言ったら絵を書くときに使うことが多いし、休み時間に絵を書くような男子は心当たりがない


 一体誰が、どんな理由で…………


 いくら考えても私の頭では答えが思いつかなかった


 時間がかかったが下駄箱もキレイになったので保健室に向かう

 海音ちゃんにも保健室に行くと言ったし今はとりあえず休みたい

 身体的な問題よりも私の精神が削られてしまったみたいだ

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