201.
「はぁ、もうたっくよぉ。なんでそんなところに一人で歩いていくかなぁ。暗いとこ苦手なくせに」
「え? 浜口くん、海音ちゃんが暗いところがだめだってこと知ってたの!?」
「まぁなんとなくだけどな」
海音ちゃんのことだから自分から弱点をさらすようなことはないはず
それが浜口くんの前ならなおさだ
つまり浜口くんが海音ちゃんの弱点を分かってしまうぐらいずっと見てきたってことか
う~ん、それって海音ちゃんのことが気になってずっと目で追っていたって解釈でいいのかなぁ…………
悩ましい…………
って、そんなこと考えている場合じゃないじゃん!!
早く海音ちゃんのところにいってあげないと!!
「浜口くん急ご!! この人の多さなら一回公園を抜けてから走った方が早くつきそう」
「だな。よし、垣根沢のところまでダッシュだ」
「あ、浜口くんに追いつけそうにないから先に行ってていいよ。すぐに追いつくから」
「でも……」
「大丈夫大丈夫。私だってすぐに追いつくから。それよりも海音ちゃんのところに行ってあげて」
私が本気で走っても、浜口くんにとってはジョギングペースだろう
しかも今は底の高い靴を履いていて、間違っても走るように作られている靴ではない
それなら先に浜口くんが海音ちゃんのところまで走って行って、神社で私が付くのを待ってくれていた方が都合がいい
確かに暗くて足元がよく見えないけど、この公園は小さいころから遊んでいて私にとっては庭のようなものである
間違っても迷子になるようなことはない
誰かさんと違ってね!!
「海音ちゃんと合流したら連絡入れて。神社で待っててくれていいから」
「でも大丈夫なのか? 暗い道をお前ひとりで」
「そんなの大丈夫だって。人が少ないって言っても、ここより少ないだけで普通にいるんだし、いざとなったら周りの人に助けてもらうよ。
それに、海音ちゃんにいろいろと教わって前の私よりグレートアップしてるんだよ」
「…………ふーん」
「あ、今バカにしたでしょ!! ほんとに強くなったんだってば!!」
「ま、いっか。じゃあそんなに急がなくてもいいから気を付けてこいよ。こけて池にドボンとか話にならないからな」
「誰がそんなことするかーー!!」




