川島夕の月曜日(女の子)
ガールズトーク(?)です。
一時間目の国語の授業が終わり、女子は体育着袋を持って教室を出る。着替えは男子が教室、女子は更衣室ですることになってる。
一階の更衣室に入り、それぞれが着替え始める。もちろん、私も。
カーディガンを脱いでいる時に、ふと隣の知代ちゃんを見て、思わず声を上げてしまった。
「知代ちゃん、ブラにしたの!?」
思わず、大声を出してしまい、回りの視線がが一斉に知代ちゃんに向けられた。
知代ちゃんは恥ずかしそうに慌てて体育の上を着る。
「夕ちゃん、声大きい」
りんごみたいに赤い顔で咎められ、「ごめん」と謝った。
だけど、ブラだよ? ブラ。
他のクラスは知らないけど、うちのクラスの女子でしてるのはまだ三分の一もいない。そんな希少種に親友がなっていたら、驚くのも無理ないよ!
「ホント、びっくり! 知代ちゃんがいつの間にか大人になってたなんて」
「大げさだよ。お姉ちゃんと買い物に行った時、そろそろ必用だからって買ってもらっただけ」
「そっかー。いいなぁ」
知代ちゃんのお姉ちゃんには何度かあったことがある知佳さんっていって、おしゃれで美人なんだよね~。知代ちゃんも大きくなったらあんな風になるのかな? きゃあ! 楽しみすぎルンルン。
「夕ちゃんも買ったら? むしろ、私より夕ちゃんに必用だと思うんだけど・・・・・・」
そう言って知代ちゃんが遠慮がちに私の胸元を見る。
うっ、ガン見されたらもちろん恥ずかしいけど、これはこれでハズイ。
今度は私が顔をりんごにしながら、自分のそれを見下ろす。シャツに包まれたそれは、確かに少し膨らんでる。そういえば、この間、遊びにきた親戚の叔母さんが「最近の子は発育いいわねぇ」って言ってた。
ふむ、どうやら私は平均よりも胸があるらしい。
「う~ん、ブラは中学でいいかなぁ。よくわかんないし」
何せ、うちには女が私しかいない。父さんや兄さんに相談するわけにもいかないし、しても無意味だろーし。
うん、やっぱまだいいや。なくても死ぬわけじゃないし。
一人で完結してると、クラス一おしゃれな飯田奈乃ちゃんが食いついてきた。
「だめだめ! 夕は買った方がいいよ」
「え~」
「早めにしとかないと形崩れるし」
「従兄のお兄ちゃんは形より質とかぶつぶつ言ってたから大丈夫」
「それに、体のバランスが取りにくくなるよ!」
「「バランス?」」
思いがけない言葉に知代ちゃんと顔を見合わせて首を傾げる。
胸でバランスとな?
「そう! 夕ちゃん、いつも転んでるでしょ?」
「え・・・・・・? ああ、はい」
奈乃ちゃんの気迫につい敬語になってしまうが、それは置いといて、確かにそうだ。今朝も転んだし。
「それは胸が大きくなってバランスが崩れてるからだよ」
「なんと! マジですか?」
「本当?」
「大マジ。お母さんが言ってたもん」
「知らなかった」
「てことは、ブラすれば転ばない?」
「うん」
しばらく考えた末、私は二人に尋ねた。
「・・・・・・知代ちゃん、奈乃ちゃん、日曜暇?」
「「暇だけど」」
「買い物つき合って!」
「ブラ買うんだね」
「いいよー」
はい。ころっと意見を変えました。だって、転ぶのはもうたくさん。前、古泉とのかけっこ勝負で、途中ですっ転んだせいで負けてすごく悔しかったし!
よぉし! ブラしてリベンジだ。
でも、その前に体育での勝負が先だ。今日はドッチだったっけ?
負けないぞー!!
気合いを入れ直し、体育着を纏った私は闘志を燃やしながら下駄箱に向かって走り出した。
本当はもっと女の子を出したかったですが、セリフが混乱しそうなので三人だけにしました。