川島夕の大作戦(朝会)
もう書き始めて一年以上経ったというのに、作中では一週間という衝撃の事実です。はい。
今日は五月最後の月曜日。
晴山小は二週間に一度全校朝会が行われる。
そろそろ気温も上がってきたから、校庭ではキツいんだよね。
しかも毎回校長先生のノリに脱力させられるし。
そうこう思いつつ、校庭に向かおうと知代ちゃんを探す。
「あ、いたいた。知代ちゃ──ん?」
階段の踊り場にいる知代ちゃんを見つけて、声を掛けようとして言葉が途切れた。
階段の影で見えなかったけど、もう一人──加藤君がいた。
どうしてあの二人が?
意外すぎる組み合わせに驚いた。
そういえば、昨日一緒に帰ったんだよね。少しは仲良くなったのかな?
悪いと思いつつ、二人の様子を窺ってみる。
「おはようございます。加藤君。月曜の朝から府抜けたお顔ですね」
「おはよう、高科さん。君は(無駄に辛辣で)元気だね」
どうやら、仲良くはなってならしい。
加藤君の声は一部小声で聞き取れなかったけど、知代ちゃんの反応を見るに、あまり良いことは言わなかったようだ。
不穏な空気が二人の間に漂う。
まずいと思い、私は階段を駆け下りて二人の間に割って入った。
「夕ちゃん!」
「あ、夕っち、おはよー」
「おっはよ! 知代ちゃん、朝会始まっちゃうよ? 早く校庭行こっ。加藤君も早くねー」
私は驚く知代ちゃんの背中を押して駆け出した。
ちらりと加藤君を見てみると、何故か可笑しそうにくすくす笑っていた。
「いやぁ、五月ももう終わりですねぇ。段々気温も上がってきましたが、梅雨入りしたら冷えることもあるので、温度調整には気をつけて──」
校長先生の話を欠伸を噛み殺しながら訊く。
「ところで、皆さん見ましたか? 先週の『しののび』! いやぁ、びっくりしましたねぇ。まさか助けたと思ったお姫様が影武者で男の子だったなんて──」
あちらこちらで「ぎゃー! まだ録画見てないのに!」「ネタバレやめて!」という絶叫が飛ぶ。鬼か。
それでも校長先生はにこにこ笑顔でネタバレを続ける。
「ラストで出てきた狐面の彼は何者なんでしょうか? 気になりますね。敵か味方か・・・・・・味方だと嬉しいですね。新しい絆が見れそうです。という事で、今からチーム対抗宝探しゲームを始めます」
『はい???』
全校生徒と全教員の口からから間の抜けた声が漏れた。
これで、ずっと考えていた話が書けます。




