表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パレード・デイズ  作者: ふみわ
小学五年生 一学期
20/26

川島夕の休日(帰り道・知代&空良)

知代ちゃんと空良君の帰り道です。

二人とも、さっきとまでは別人です。

「・・・・・・・・・・・・」

「いつまで、膨れてるのかな?」

「貴方と別れるまでです」


 空良の質問に知代はそっぽを向いて答える。

 夕暮れの道路を二人は並んで歩いている。しかし、その雰囲気は決して穏やかなものではない。

 空良は口端を上げて笑ってはいるが、目は笑っておらず、知代は夕といた時とは打って変わって、眉間に皺を寄せている。

 二人は小学生らしからぬ表情をしたまま、歩き続ける。

 知代が空良に訊ねた。


「一体、どういう風の吹き回しですか? 貴方が私を送るなんて」

「女の子を一人で帰すのは気が引けてね」

「そうですか。別に必要なかったですけど」

「本当に高科さんは俺のこと、嫌いだよね」


 その一言に知代が足を止める。数歩進んだところで、空良も立ち止まった。

 彼女は、空良の目を真っ直ぐ見つめて言った。


「何かな?」

「単刀直入にお尋ねしますけど、加藤君も私が嫌いですよね?」

「うん。君が俺を嫌いなくらいには」


 空良があっさりと言う。

 本音を言ったからか、今度はにこりと裏のない笑みを浮かべた。


「でしょうね。まぁ、それはそれで構いません。今日は加藤君にお話があるんです」

「話?」

「ええ。加藤君、私たちはお互いが大嫌いですけど、利害は一致してます」


 ゆっくり、一言一句をはっきりと。

 話す方も聞く方も、その姿は真剣そのものだった。


「・・・・・・否定はしないね。凄く不愉快だけど」

「私たちは協力しあう方が利に叶います。大切なものを守るために」

「大切なもの?」


 空良が首を傾げる。しかし、余裕のあるは変わらない。知代が何を言いたいのかは分かっているのだ。

 これは、ただの確認作業。


「あるでしょう、私にも、貴方にも、『拠り所』が」

「それは──」


 だから、二人はその『拠り所』の名を告げた。

 自分にとっての大切な者の名を。

 その言葉は、五月の風に掻き消され、互いの耳にしか届かなかった。

はてさて、二人は何をするのでしょうか?

次話から夕ちゃん視点に戻ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ