幕間その2
生徒会室。鈴たちは偽と言っているがこちらが実際にはしっかりした活動を行っている生徒会。重役席とも見まごう机に座って、生徒会長登呂津きいは、生徒会の職務に励んでいた。
後ろの窓の外は、相変わらずの曇り空。夏至が近いので日はまだ暮れてはいない。
そして彼女は昔のことを思い出す。
ひとりぼっちだったあの頃。登呂津財閥の一人娘だった自分は、みんなから敬遠されていた。敬して遠ざける、そのまんまの意味だ。うわべだけで付き合おうとするやつら、きいの権勢を恐れて媚びへつらうやつら。そんなものは本当の友人とは言えなかった。
そして、この極東学園中等部の入学式の際、きいは、高級リムジンで校門まで送ってもらい、とぼとぼと歩いていた。
下駄箱まで来たとき。
「きゃあっ!」
滑って転んだ。誰も助けようとしない。くすくすと笑い声が聴こえる。
悔しかった。悲しかった。心の底では自分を疎ましく思っているのだ、彼らは。
――わたくしは本当にいつもひとりぼっちなのですわね。
その時。
手が目の前に差し出された。
「おい、大丈夫か?」
きいはそのままその手を掴んだ。それはとても温かく、大きな手。初めての感触だった。いや、違う。きいの記憶にあった。それは父の手。幼いころ、しっかりと手を握ってくれた父の手に似ていたのだ。
「ドジねー、でも大丈夫?」
彼と一緒にいる小さい女の子が心配げに見つめていて。
「大丈夫ですわっ。でもとりあえず、ありがとう、と言っておきますわね」
その女の子が顔をしかめて、こう言った。
「うっわー、可愛くないっ」
「おい、鈴。やめろよ。大丈夫そうでよかったぜ。これからは気をつけな」
立ち上がってパンパンと立ち上がって、彼と鈴と呼ばれた少女が去っていくのを眺めながら。顔がかあっと熱くなるのを自分でも感じていた。
そのときの少年の顔を、書類に判子を押しながらきいは思い浮かべていた。
そしてあの小生意気な少女のことも。彼女は恋敵。決して負けることの許されない存在。
縁屋漣。
星野鈴。
中等部のころは今よりずっと絡みがあったのに、漣はきいのことを避けるようになった。あの頃に比べてずっと胸が大きくなったというのに。敬して遠ざけるどころか、あからさまに避けるようになった。
――また、いつか三人で。
ぶんぶんときいは首を振る。そしてため息をついた。外は相変わらずの曇天だ。
おっぱいは大きい方が好きですか? それならばシベリア送りだ!